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フィンランド発のテキスタイルがくれる、やさしい家時間。

  • 2019.10.25
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フィンランドの小さな町にある、老舗テキスタイルメーカー「ラプアン カンクリ」。熟練した職人の手によって作られるハイクオリティなテキスタイルは、どれも温かみのある天然素材のものばかり。個性あふれるデザイナーたちを迎えて、ラプアン カンクリのテキスタイルには唯一無二の表情が閉じ込められている。オーナーのエスコ&ヤーナ・ヒェルトに、思わず手に取りたくなってしまうその魅力と、ふたりが暮らすフィンランドの小さな町について聞いた。

ラプアン カンクリのオーナー、エスコ・ヒェルト(右)とヤーナ・ヒェルト(左)。

――ラプアン カンクリが生まれたのはフィンランドの小さな町と聞いています。どのような場所で、ブランドは誕生したのですか。

エスコ:ブランド名にもなっていますが、“ラプア”という小さな町でラプアン カンクリは生まれました。今年で102年を迎えるテキスタイルの会社なんです。ラプアという町は、ヘルシンキから列車で4時間ほど北上したところにあるんですが、近所中が顔見知りというような本当に小さな町で、いまもこの町に工場があります。

――ラプアという町のテキスタイルの家業を継いだ、というわけですね?

エスコ:はい、私が4代目としてファミリービジネスを継ぎました。家業の始まりは1917年で、当初は曾祖父が廃材と手撚りの毛糸からフェルトブーツを作っていました。その後、紡績と織物の会社へと発展し、現在はブランケットやベッドカバー、リネンなども手がけるようになりました。受け継いだ歴史ある家業は、まだまだ長い旅の途中にあるといってもいいでしょうね。

――ヘルシンキに店舗を持ちながら、おふたりはラプアの町でいまも生活をしているのですね。

ヤーナ:ラプアは私たちのホームタウンであり、いまもブランドの工房がある場所なんです。ヘルシンキのショップにも、自然豊かなラプアの雰囲気を閉じ込めていて、人々がショッピングの合間にゆっくりしにくるような、まるで自然の中にいるかのような雰囲気のお店なんです。

――10月にオープンした東京・表参道の店も、ヘルシンキの店舗と雰囲気が似ているのでしょうか。

エスコ:東京店はヘルシンキ店ととても雰囲気が似ていて、私たちも初めて見た時は感動しました。ブランドの雰囲気を凝縮したような心地よさに満ちたショップで、ヘルシンキ店との共通点は静かな裏通りにあるということと、屋内にいながらにして外の空気を感じられるという点ですね。日本に店をオープンさせることは長年の夢でしたから、とてもうれしいですね。

――ラプアン カンクリでは、鈴木マサルや鹿児島睦をはじめ、日本人のデザイナーを多く起用されていますが、それはなぜですか。

エスコ:日本人の描くデザインは、自分たちの作るナチュラルな素材にフィットしているし、何より、時を経ても変わらない魅力があるからです。長年フィンランドのアアルト大学とともに、天然素材やリサイクル素材について開発をともにしていますが、その時、大学でデザインを学ぶ若い日本人デザイナーに協力を得ることも多かったというのも、ひとつのキッカケでした。ラプアン カンクリで起用するデザイナーたちはみな、フィンランドや北欧の文化への理解がとてもある方たちばかりです。彼らのデザインを見ていると、日本とフィンランドのモダンデザインの共通点も随所で感じることができるんです。テキスタイルひとつをとっても、好みやセンスも似ていると感じる。たとえば、ヨーロッパのほかの国でラプアン カンクリはときに“日本っぽい”と表現されることもあるくらいなんです。ヨーロッパの展覧会では不思議と毎年、日本メーカーの隣にブースを用意されますしね(笑)。さまざまな点で、日本人とは理解し合えると思っているんです。

――確かに、日本人とフィンランド人はどことなく性格が似ていますよね?

ヤーナ:そのとおりです。ほかのどの国に行っても、こんな気持ちになったことはありません。素敵だと思うことが似ていたり、話が理解し合えたり。コミュケーションが簡単に取れると感じています。

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――歴史あるメーカーが新しいデザインや手法を取り入れるいっぽう、変えてはいけないことはありますか?

エスコ:ラプアという町で製造をしているということと、その町で102年もの歴史が作った技術だと思います。デザインチームが素材を選び、その素材に合った編み柄、編み目を組んでいきますが、テキスタイルを作り上げるのにはそのバランスがとても大切です。ウールからリネンまで、布の表情はまったく違いますから、とにかくたくさんの時間を費やしてようやくひとつの布が生まれるんです。色や絵柄について、外部のデザイナーとコラボレートするなど、私たちのテキスタイルは可能性に満ちているんですよ。

――ところで、おふたりはラプアで出会ったのですか?

ヤーナ:まだ15歳の学生でしたね。小さな町なのでみんな同じ学校だったんですが、同じクラスになったのが出会いです。高校生になって、また出会ったんです。その時、私は建築家になりたくて、いつも絵を描いていました。そして、私はいつも、エスコのお母さんがテキスタイルの下絵を描くのを手伝っていたんです。当時はジャカード織りの下絵を手描きで行っていましたから。エスコの家で夕食をとると、いつもエスコの母が下絵描きを手伝ってほしいと言っていました。私たちは夜遅くまで一緒にした絵を描いていたのがいい思い出なんですよ。いま思えば、16歳の時から家族の一員だったのかもしれませんね。私の母も祖母も自宅でカーペットを編んでいましたし、ウィーバー(編み師)でしたから、とても自然な流れでした。

――ラプアという町は、誰もが手仕事をしているような町なのですね。

エスコ:フィンランドの田舎では、農家の手仕事と呼べるかもしれませんね。男性が外に働きに出ている間に家で座って編み物などの仕事をし、家計を助けるというのが、昔の女性たちの仕事でしたから。確かにラプアの町ではいまも多くの手仕事が残っているかもしれません。

――おふたりのラプアでの暮らしは、自然に囲まれて素敵でしょうね。

ヤーナ:ラプアという町は、町を通るラプア川からその名前がきています。我が家はその川沿いにある家ですが、バックヤードにはフィンランドらしい自然がそのまま残っているんですよ。冬には雪がたくさん降り、ラプア川も凍って、クロスカントリースキーやスケートで移動するんです。真っ白な雪は、暗い冬のフィンランドを明るく照らしてくれるキャンドルのような存在なんです。それに、寒い冬こそ家の暖かさを感じるいい季節でもあります。春には光が差し込んで、すべてがクリーンになったような感覚をくれるし、夏の白夜も本当に美しい。四季すべてが自然の残されたラプアの魅力かもしれません。仕事でいろいろな国に出かけますが、ラプアに戻ると、なんてシンプルな生活なんだろうと思い知らされます。私たちにとっても、ラプアン カンクリにとっても、そのシンプルさがとても大切だと感じています。

●問い合わせ先:ラプアン カンクリ 表参道東京都渋谷区神宮前5-13-12tel : 03-6803-8210営)12時〜20時休)火www.lapuankankurit.jp

※この記事に記載している価格は、標準税率10%の税込価格です。

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