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日本の現代美術家6人による、「文学的」アプローチ。

  • 2019.10.9
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文学的なアプローチで手にした、豊かな視覚言語。

『話しているのは誰? 現代美術に潜む文学』

小林エリカ『わたしのトーチ』2019年、作家蔵。かつて原子力の恩恵は未来を照らす灯りのはずだった。

山城知佳子『チンビン・ウェスタン「家族の表象」』2019年、作家蔵。土着の物語を紡ぐ生々しい語り口はときに中南米作家の小説を彷彿とさせる。ほか、北島敬三、ミヤギフトシ、田村友一郎、豊嶋康子が参画する。

美術と文学の関係は歴史的に深く、見事な“コラボ”や“オマージュ”は枚挙に暇がない。ただし日本の現代美術家6名による本展では、文学の形式だけでなく、「文学的」アプローチをとる表現に焦点を当てる。

小林エリカは、小説、マンガ、彫刻など、自身の手で生み出せるすべてのメディアを駆使し、「放射能の科学史」という決して忘却してはならないテーマにライフワークとして取り組んできた。放射能という目に見えない物の存在を、時間と歴史、家族の記憶を通して紐解き、語りかける。山城知佳子は、知られざる史実や伝承された物語をもとに、主に映像とパフォーマンスによって、沖縄の土地に根ざす独自の史観を表明してきた。そのテーマは沖縄戦や米軍基地から出発し、近年は世界に遍在する歴史構造に肉薄する。同じく沖縄出身のミヤギフトシは、セクシュアリティとマイノリティの観点から社会や政治を洞察する。「沖縄で沖縄人男性とアメリカ人男性が恋に落ちることは可能か」という問いから始まり、現在も進行中のプロジェクト「American Boyfriend」は海外ドラマの中毒性にも似た魅惑的な煌めきを放つ。

現代を生きる以上、アーティストは政治や社会と無縁ではいられない。本展では、文学的な視覚言語によって丹念に仕上げられた表現が、「自由」度の豊かな幅を獲得していることにも、いま特に注目したい。

『話しているのは誰? 現代美術に潜む文学』会期:開催中~11/11国立新美術館(東京・六本木)営)10時~18時(9月の金、土は~21時、10月以降の金、土は~20時)休)火(10/22は開館)、10/23一般¥1,000●問い合わせ先:tel:03-5777-8600(ハローダイヤル)www.nact.jp

※『フィガロジャポン』2019年11月号より抜粋

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