日本にある色々な国の料理を通して、様々な文化に触れていく「世界の胃袋TRIP」。第21回目となる今回は中央ヨーロッパにある、ハンガリーをピックアップします!
7つの国に囲まれる内陸国ハンガリー。名前は耳にするけれど、どんな食文化が広がっているかはすぐにはイメージしづらいかもしれませんね。ハンガリーは四季があり、農業国としても知られる国なんです!その魅力に迫るべく、今回はハンガリー料理店へTRIPしてきました!
原宿エリアに佇む、ハンガリー政府公認のレストラン
今回伺った、ハンガリーレストラン「アズ フィノム」は原宿駅から歩いて10分ほどの閑静なエリアにあります。ハンガリー政府の依頼を受けて誕生したレストランで、ハンガリーなどヨーロッパ出身の方も多く足を運び、日本でも本場の味を楽しめると大人気です。
今回お話してくれたのは、オーナーの東さんと上記写真のシェフのジョルジュさん。ジョルジュさんはハンガリーの首都・ブダペストの出身です!
ワイン大国ハンガリー!フルーツで作る蒸留酒も大人気
農業大国であるハンガリーは、ワイン大国としても知られています。夏は暑く乾燥しており、冬は寒さが厳しいという気候の特徴がワイン作りにも最適。さらに、資本投資と先進設備導入の成果もあり、ワイン通となるほどの品質の良さになりました。特にハンガリー北東のトカイで造られる「トカイ・アスー」は世界三大貴腐ワインとして称えられています。「アズ フィノム」でもたくさんの種類のワインがラインナップされていますよ!
もう1つ押さえておきたいのが、乾杯の際に欠かせない蒸留酒「パーリンカ」。アプリコットや洋梨、チェリーなどさまざまな種類のフレッシュなフルーツで作っています。ハンガリーで人気なのは香りがドライなプラム。そして日本人ウケするのは、フルーティな香りがしっかりと感じられるアプリコットなのだとか。市販されているものはアルコール度数が40度ほどですが、家庭でもよく作られていて50度や60度のものを作ることもあるのだそう。パーリンカにこだわりを持つバーも多く、ハンガリーではとても親しまれているアルコールの1つです。
ハンガリーの食卓では欠かせないスープの存在
ハンガリーの食文化を語る上で欠かせないのが、スープ!前菜とメイン料理の間に提供されるのが一般的です。今回出していただいたのは、定番の「ミックスベリーの冷製スープ」です。
一見スムージのようですが、生クリームとベリー、牛乳の絶妙なバランスと爽やかな甘みで食欲が増進してきます。砂糖などで甘みを添加するわけではないので、スイーツとは別物の感覚ですよ。また、この他にも桃の冷製スープなどいろんな種類のスープがよく食べられているのだとか。
ザワークラウト×ごはん!?新感覚ロールキャベツにうっとり
日本でも人気のロールキャベツは、海を越えたハンガリーでも家庭料理の鉄板メニュー!日常的に食べるのはもちろんのこと、結婚式やクリスマスなどのお祝いの時にも欠かすことのできないひと品です。
日本のたわら型と違い、ハンガリーではパプリカを象ったものがベーシック。というのも、ハンガリー料理にパプリカは欠かせない食材なのです。生でも煮込んでもドライにしてパウダーにしても食べられるので、使い方は多種多様。今回のロールキャベツにもパプリカパウダーを使用しています。
ちなみにパプリカを初めて作ったのもハンガリー人!さらにそこからビタミンCを発見し、ノーベル賞を受賞しており、ハンガリーを語るには欠かせない食材なのです…!
中身は豚のひき肉とごはんが入っています。添えてあるザワークラウトは3度ほど水洗いをし、塩気と酸味を抜いて同量の千切りキャベツとロールキャベツを一緒に煮込んだものは、酸味がほどよく肉の旨みを引き立てています。また、ハンガリーでごはんは主食ではなく、野菜のような位置づけ。柔らかな食感がロールキャベツを一層美味しくさせています!ハンガリーの主食、パンとともにいただいても絶品です!
国を挙げて守った!国宝の豚「マンガリッツァ」
かつて1900年代初頭には「マンガリッツァ」という1900年代初頭にはハンガリー固有の希少な豚が生産されていました。ところが1990年頃には198頭まで激減。そこで国を挙げて保護策をとり、現在は5万頭ほどに回復し、ハンガリーの国宝にも指定されました。
マンガリッツァは7割近くが脂肪分で、霜降り肉のようにサシが入っています。ソテーにしていただくと、口の中に旨味がじゅわ〜っと溶け出します!臭みが少なく、豚肉が苦手な人でも何度も食べたくなってしまうのだそう。付け合わせの紫キャベツの酸みが豚の甘さをさらに引き立てます!
ハンガリーの定番スイーツ、クレープに舌鼓
ハンガリーを代表するスイーツといえば、クレープの「クンデルパラチンタ」!くるみとレーズンをくるりと巻いた温かいクレープにビターチョコレートがたっぷりとかかっています。レーズンのほんのりとした甘みで優しい味わいがたまりません。日本のようにひんやりとしたクレープではなく、ハンガリーは夏でも温かいクレープをいただくんですよ!
このチョコレートはシェフのジョルジュさんがココアから作った特製チョコレート!普通のチョコレートでは出せない、美しい艶と口いっぱいに広がるカカオの香りにうっとり。
家庭でもクレープはよく食べられており、中身はカッテージチーズやジャムなどいろいろなものを巻くのだそうです。
農業大国ゆえに食材も豊富でいろいろな食事が楽しめるハンガリー。家庭でもみんなで食べることや料理することを大切にしており、自家製蒸留酒を作るほどのこだわりぶりでした!
次回はハンガリーの文化や国民性についてご紹介します。シェフのジョルジュさんの出身地、ブダペストはなんと街全体が世界遺産に登録されているのだとか…!?一体どんな街並みが広がっているのでしょうか?9/29配信予定です。お楽しみに!
Writing: 竹林佑子(エフェクト)
Edit+Design: TRILL