1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. ライオン小和田部長に聞く!女性リーダーとして働くということとは?

ライオン小和田部長に聞く!女性リーダーとして働くということとは?

  • 2019.9.30

ライオンは2017年10月、それまでの宣伝部を新たに「コミュニケーションデザイン部」として再編。併せてCXプランニング室を新設し、顧客の視点でコミュニケーションを図ることに注力し始めています。ライオン一筋で、現在コミュニケーションデザイン部長を務める小和田みどりさんにお話を伺いました。

undefined

生活者の視点でコミュニケーションを考える新たな時代に

新設した室のCXというのは“consumer experience”の略です。生活者の行動に寄り添って、どのタイミングで何を使ってもらえるかをもっと立体的に考えようということで、新しいチームを作りました。

例えばオーラルケア一つを取っても当社には複数のブランドがあり、ブランド担当者は自分のブランドにとって一番いいことを考えてコミュニケーションを設計実行していましたが、当社のブランド同士が競合してしまうこともありました。それがCXプランニング室ができて、生活者にとってのオーラルケアとは、という全体のことも考えられるように変わりました。例えば「クリニカ」というブランドを使っていた人が「システマ」というブランドに変えるときはどういう時なの?とか。ブランド視点だけでなく生活者視点という、もっと大きなくくりで考えられるようになりましたね。

――顧客視点を忘れないために、普段から心がけていることはありますか?

undefined

どうしても、メーカー視点で「商品のここが凄い」、「ここが良くなりました」と言いたくなるのですが、それってお客様にとってどうなの?ということを必ず言うようにしています。例えば○○が2倍になったと言われても、2倍になったらどうなるわけ?と、ちょっといじわる風に言う(笑)。つい自分たちと同じ位お客様も商品のことを知ってると思いがちですが、普通の人には難しいこと、細かいことを言われても全然伝わらないよと。たくさんある商品の中でどうやったらお客さんの心に引っかかるのか、どういったらその商品を買いたくなるのか、常に普通の人の感覚を忘れずに考えるようにしています。

――コミュニケーションデザインという仕事の面白さはどんなところにありますか?

1+1が2にならないっていうところでしょうか。100になることもあれば、マイナスになることもあります。そんな中でいつも言っているのは、必ず自分で仮説を立てて結果を検証するということ。その仮説が正しかったのはなぜか、正しくなかったのはどこだったのかというのをしっかり分析して、次に繋げたり横展開できるようにしています。

「働く」とは、みんなに喜んでもらうために動くこと

undefined

――小和田さんの人生の中で、転機だったと思われることはありましたか?

やっぱり、子会社を任せられて初めて会社を経営することになった時ですね。それまで経営とか全く考えたこともなかったし、ただ自分の与えられた仕事を一生懸命こなせばいいんだと思っていたのですが、経営者になって「君は社員の家族までちゃんと面倒を見られるのか」と言われ、衝撃を受けました。

会社の経営って、単に「物が売れて良かった」じゃないんだなと気づかされたんです。どうしたらみんなにハッピーに働いてもらえるか、どうしたらこの部署や会社のメンバーで良かったと思ってもらえるかということをすごく考えさせられました。

その経験が今の自分にもつながっているかなと思っています。宣伝部に来た時に一番気になったのは、みんながハッピーかどうかということでした。今も、50人くらいの部のメンバー全員一人一人と、悩んでいることや、仕事以外のことも含めて話す場を設けています。顔色なども気にしてますが、やっぱり、話さないと分からないことがありますよね。

――社員一人一人を大切にされているんですね。

何かで読んだのですが、「人は誰かのために生きている」、ということにすごく共感しました。家族のため、というのはもちろんですが、例えば私はライオンという会社に所属しているので、会社が喜ぶこと、もしくは自分の部下が喜ぶこと、その先のお客さんが喜ぶことをしてあげられるのがとても嬉しいんです。「働く」ということは、そういう風にみんなに喜んでもらうために動くことなのかなって思いますね。

もっと女性が活躍できる社会を目指したい

――今の日本では、女性のリーダーはまだまだ少ないですよね。そんな中で活躍し続けるために大事なことはなんでしょうか?

undefined

私は、男性と女性で能力の差なんてそうないと思っています。違うとすると、目の付けどころだったり、視野が男性は広くて、女性は狭いという傾向があるだけでそれぞれの良さがあると思っています。その中で、本当に女性が活躍できるかどうかというのは、周りの人(多くは男性ですが)が評価して引き上げくれるかどうかにかかっているなと感じています。

私の知人でも、「男性の方を早く昇格させたいから、君は我慢しろ」ってはっきり言われた女性がいます。でも当時私が所属していた商品を開発する部署ではそういう男女差がなく、しっかり個人を評価してもらえる環境で、本当にありがたかったなと感じています。自分だけが頑張っても、この日本社会の中で活躍するのは難しいですね。だから本当に女性がもっと活躍する為にやらなきゃいけないのは、男性の管理職の教育じゃないの?って、大きな声では言えないけど、そう思っています。

――なるほど。日本社会には、まだまだ課題がありますよね。

はい。ちょっと話は違いますが、今日本で貧困がかなり問題になっています。まさかこの時代に貧困なんて、と数年前は思っていました。特にシングルマザーにおける貧困率が先進国の中で突出して深刻です。実は貧困と子供のむし歯ということには関連があることがわかっています。子供を育てるための収入を得るために、昼夜問わず働かなければいけない場合が多く。子供がきちんとハミガキをしているか見てあげられないために虫歯になっているというケースが多くみられています。特に沖縄ではその事例が顕著です。12歳以下のむし歯の罹患率は全国平均で1本を切っているのに、沖縄では平均で約2本、エリアによっては子供の100%がむし歯があるという状況です(※)。ハミガキって子供にとって面倒なものだから、習慣化するためには幼い時期に、親がどれくらい子供に関与してあげられるかっていうのがすごく大事なんです。
※H28年学校保健統計調査、H25年度沖縄県福祉保健部調べ

とはいえ、現実問題なかなか解決できない状況をどうにかしないと、という思いはあります。もっと子供たちが自主的にハミガキをするようになるプログラムの開発、学校と自治体と組んだ施策など、いろいろなプロジェクトを進めようとしています。

――仕事以外にも幅広く活動されているのですね。小和田さんの今後の目標や、実現したいことはなんでしょうか?

もっと女性が働きやすい社会になるために、何かできることはないだろうか、ということを思っています。会社にロールモデルがいなくて困っているとか、初の女性管理職で相談したい、といった人たちのための勉強会や女子会をやったりしています。難しいのは、女性は本当に価値観がバラバラなので、全員が仕事や働き方に対して強い思いを持っているわけじゃない、というところです。ただ、そういう思いを持っている人が、自分の会社以外に駆けこめる、相談できる場所があればいいのではないかと思っています。

――TRILLは20、30代の働く女性をメインターゲットにしていますが、その時期に経験しておいた方が良いことや、アドバイスがあれば教えてください。

自分の得意なことが見つかっているならそこに全力で取り組むというのも一つの方法だし、見つかっていなくても、20、30代ならまだまだ可能性があるので、思い込まずにいろんなことにチャレンジして欲しいと思います。その中で自分が好きだなって思うものが見つかったらそれを極めていけばいいのではと思ってます。私がいつも部下と面談して気にしているのは、楽しいかどうか。仕事で8時間以上も会社にいるのに、「つらい」とか「嫌だ」とかしかなかったら、かなしいじゃないですか。もちろん仕事だから楽しいことばっかりじゃないし、人生の中できつい時は必ずあります。仕事だけじゃなく家庭とか、プライベートとか人によっていろんなきつい場面があると思いますが、そこを乗り越えるために、小さい喜びを日々見つけて「今日も楽しかった」で終わってほしいなと思います。

異動がある時期には、自分が気づいていない能力や、得意なことに気づかされるチャンスだとも思います。思ってもいない部署に異動が決まり本位じゃないと思ってても、誰かがちゃんと自分を見てくれていて、「この人ならこれができる」とか、「この仕事に向いている」と考えてくれての異動のはずなので。本当に小さいことでも良いので、「自分はここに選ばれた理由はなんだろう?どんなことで役に立てるんだろう?」というのを探してみるのもモチベーションになるかなと思いますね。異動したての時は文句をいってた人が後々輝いて仕事をしている事例はたくさんみています。決め付けずに自分の可能性を広げたいですね。

undefined

ーーTRILLとはTRUE&REALの造語で、「自分らしく生きる」というテーマのメディアです。小和田さんは、マーケティングのご担当ですが、TRILLにはどんなことを期待されますか?

TRILLはコンセプトがしっかりした、芯のあるメディアですよね。これだけ情報が溢れている中で、常に迷ったらここに来れば良いという存在になることを期待しています。ライオンも働く20代、30代の女性をターゲットとした商材があるので、疲れた足や頭痛を我慢しなくていいんだよ、というメッセージが響くのは「自分らしさ」をテーマにしているTRILLのようなメディアなのかなと思います。

――素敵なお話を、ありがとうございました。10月以降も、気持ちを新たに頑張っていきたいと思います!

今回、第一線で活躍する数少ない女性リーダー、小和田さんの貴重なお話を聞くことができました。女性が仕事で活躍する上で、常に消費者視点を忘れず物事を考えるということは非常に大事ですよね。また、周りのみんなにハッピーでいてほしいという思いや、仕事に楽しみを見出すことの大切さは、同じ働く女性としてとても勇気の出るお話でした。皆さんの、新たな一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

 

Edit:TRILL編集部

の記事をもっとみる