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【GLAMなオトコ】Vol.26小栗旬、本能と衝動で生きた色男の文豪、太宰治への共感と羨望とは?

  • 2019.9.6
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GLAM_小栗旬01

映画や舞台、ドラマと、常にトップを走り続けてきた俳優、小栗旬。声優を務めた『天気の子』も社会現象級のメガヒットとなり、ハリウッド進出を果たす『ゴジラVSコング(仮)』も待機中で、まさに向かうところ敵なしです。そんな彼の俳優としての円熟味と芳醇な色気に溢れた最新主演映画が、『Diner ダイナー』の蜷川実花監督作『人間失格 太宰治と3人の女たち』(9月13日公開)です。

小栗が演じるのは、日本が世界に誇る文豪・太宰治役。太宰の実人生は、身重の妻・美知子と2人の子どもの父親でありながら、恋多き男として名を馳せ、何度も自殺未遂を繰り返すなど、スキャンダルまみれでした。そんな太宰役を、小栗は体重を大幅に落として挑戦。さらに、彼の人生を彩り、作品を生み出す源となった3人の女役の正妻・美知子を宮沢りえ、弟子であり愛人である静子を沢尻エリカ、太宰最後の女・富栄を二階堂ふみが演じました。そこで小栗旬にインタビューし、エネルギッシュな蜷川組の舞台裏と、彼にとっての“GLAM(魅力的・幸せ)”な時間をうかがいました。

(C)2019「人間失格」製作委員会

Q. 蜷川実花監督から、太宰治役のオファーを受けた時の感想から聞かせてください。

実花さんから「太宰治の映画をやりたいんだけど、太宰は私の中で、小栗くんしか考えられない」と言われました。僕は「そうですか」と言いながらも、自分としてはあまりピンと来てなかったんです。でも、できあがった脚本がとてつもなく面白かったので、この内容でやらないというのは、役者としてどうなんだろう? と思いました。ただ、太宰役をやるのは大変そうだったので、少し悩みました。

Q. 太宰自身と彼を愛した3人の女たちの目線から描かれる物語が非常に興味深いです。小栗さんは、どんな点で出演に躊躇されたのですか?

内容が衝撃的すぎたのと、太宰は本当にひどい人間だったので、そんな役を演じるとなったら、私生活に影響が出るんじゃないかと思ってしまいました。結果的には、大丈夫でしたが(笑)。

Q. 演じる役柄には、私生活でも影響を受けてしまうタイプですか?

もともと役を引きずるところがありました。でも、子どもが産まれてからは、家に仕事を持って帰ることができなくなったので、そこから切り替えられるようになった感じです。それがいいことか悪いことかはわからないけど。自分たちの仕事では、ある種、パラレルワールドみたいなところに行ってしまうけど、子どもたちは一瞬で、僕を現実に引き戻してくれます。

Q. 役作りでかなりの減量をされたそうですね。

全部で10kg以上落としました。減量している最中に子どもといるのが一番きつかったです。彼らは目の前でお菓子をバクバク食べるから(苦笑)。

減量した点がどのくらい伝わるのかわかりませんが、後半で「この人やつれてきたな」という感じにはなったのではないかと。また、太宰は常に酔っ払っていたそうなので、撮影期間中は意識的にお酒を飲むようにしていたので、けだるさみたいなものは上手く出たかなと思います。

(C)2019「人間失格」製作委員会
Q. 素晴らしい才能の持ち主の太宰ですが、私生活は女たらしで、とことんダメな男です。同じ男として共感するところはありましたか?

いっぱいありました。太宰は自由だし、本能と衝動で生きているので、本当に人間らしいなと思います。今の時代、太宰治みたいな人はもう生まれてこないんじゃないかと。これで、彼が何も書いてなかったら、本当にただのクズ野郎ですが、結果として数多くの傑作小説を残したんです。そうすると不思議なもので、その人生を肯定せざるを得ないかなと。

Q. 蜷川監督とは、太宰についてどんな話をされたのですか?

仕事をとるのか、家庭をとるのか、また、自分の人生を取るのか、作品を残すのかという究極のテーマについて話しました。実花さんもお子さんがいるけど、帰れない日は家族に任せながら、映画に没頭する時間を過ごしているそうで、そうなるとどこかバランスが壊れてしまうと言われていました。

もちろん、時と場合によってチョイスしていかないといけないし、太宰の場合、ここまで行っちゃいけないといういい例でもあると思いますが、行くところまで行って、本当にすごいものが残せるのなら、それはそれでいいんじゃないかと思う部分もあります。

Q. そういう太宰の生き方を羨ましいと思うところもありますか?

そうですね。僕は、みんながみんな品行方正である必要なんて全くないと思っていますが、どうしても今の時代、みんながそうあることを求められています。それは芸術的な部分でいうと、首を締めていることにつながるのではないかと。だからこそ、本作で今一度、ものを生み出すのって、大変そうじゃない? というニュアンスが伝わればいいなと思います。

Q. 蜷川実花監督の演出で印象に残った点を聞かせてください。

実花さんが芝居について細かく言うことはあまりなくて、僕たち役者に寄り添ってくれているという感じでした。現場では、段取りや動きがしっかりと実花さんの中でできあがっていましたし。ただ、ラブシーンに関しては、意外と熱が入っていました。

Q. ラブシーンの演出はどんなふうにされたのですか?

「この瞬間、こういう感じで、エロく触ってほしい」というふうな指示が入ります。僕がやる前に、実花さんが女優さんに対してやって見せてくれるので、僕はすごくやりやすかったです。ただ初日は、静子(沢尻エリカ)とオペラを観たあと、壇蜜さん演じるマダムがいる店の奥で静子の胸を触るシーンだったんですが、あの日だけは、太宰が静子に対して少し遠慮しているんです(苦笑)。

監督から「手がこういうふうに動くから、絶対におっぱいを触ってほしい」と言われたけど、なかなか触れなくて。でも、あれ以降は、大丈夫でした。実際、現場では女優のみなさんがウェルカムの状態でいてくれたので、いろいろやらせていただきました。ただ、初日だけは、静子に少し負けましたね(苦笑)。

GLAM_小栗旬02
Q. 2020年公開の映画『ゴジラVSコング(仮)』で海外作品への参加もされますが、以前から海外進出は意識されていたのですか?

ハリウッドでやってみたいというよりは、日本だけじゃなく、いろいろなところで仕事ができるようになりたいと、前から思っていました。自分はアジア人なので、アジアで仕事がしたいという思いがずっとあったんです。

今のままだと、日本のエンターテインメントは世界から忘れられそうなところへ来ているというか、アジアの人たちにも置いていかれている感じがするので、僕たちが頑張らなきゃいけないと思っています。いつかアジアの人たちと『オーシャンズ11』みたいな映画を作りたいです。

Q. パワフルに仕事に打ち込む小栗さんにとって、日常で“GLAM(魅力的・幸せ)”を感じる瞬間とは?

最近はゴルフですね。初めて1年少しです。なぜゴルフなのかというと、自分と向き合えるから。どんなことが起こっても誰にも怒られないし、常に自分1人の問題で、18ホールあると、いろんなドラマがあるので、非常に面白いです。

1個前のホールですごくいいスコアが出て、調子にのって次のホールへ行ったら、バカみたいに叩いちゃって、心の中がグッチャグチャになるわけです。上手い人がパンパンといいスコアを出しているのを見ると、本当にイライラしますし(笑)。また、ゴルフ場は開放感があってすごく気持ちがいいので、ゴルフはオススメです。

【プロフィール】
小栗 旬/1982年12月26日生まれ、東京都出身の俳優。映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍。故・蜷川幸雄監督作は、『ハムレット』、『お気に召すまま』、『カリギュラ』など、多数の舞台に出演した。近年の主な映画出演作は、『銀魂』シリーズ、『信長協奏曲』(2016年)、『ミュージアム』(2016年)、『追憶』(2017年)、『君の膵臓をたべたい』(2017年)、『響-HIBIKI-』(2018年)など。蜷川実花監督作『Diner ダイナー』、声優として出演した『天気の子』が現在公開中。ハリウッド版『ゴジラVSコング(仮)』、『罪の声』が2020年日本公開予定。


『人間失格 太宰治と3人の女たち』
9月13日(金)全国ロードショー
監督:蜷川実花
出演:小栗旬 宮沢りえ 沢尻エリカ 二階堂ふみ
成田 凌 / 千葉雄大 瀬戸康史 高良健吾 / 藤原竜也
配給:松竹、アスミック・エース
公式サイト


Photographer/ Masakazu Sugino Writer/ Nobuko Yamazaki
Hairmake/ KIMURA CHIKA (tsujimanagement) Stylist/ Takashi Usui(THYMON Inc.)

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