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夫より出世したわたしに嫌味を言う旦那…どうすればいいでしょうか?【ひとみしょうのお悩み解決】

  • 2019.9.4
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“【お便り募集】文筆家ひとみしょうさんにあなたのお悩み解決してもらいませんか?”にお悩みを送ってくれた方の中から、ピックアップしてひとみしょうさんが解決していきます。

〜「ははさん 40歳」のお悩み〜

夫とは同じ会社の同期です。私が夫よりも出世したことで関係がギクシャクしています。いちいち今までなら言わなかったような嫌みを言われ、うんざりしています。こちらが折れるのも嫌で、嫌みは無視しています。そして、私の心がどんどん夫から離れてることを感じます。

一体わたしはどうするべきでしょうか? ここは夫をたてるべきなんでしょうか。

ちなみに夫以外に好きな人がいます。その人とどうにか、とは考えてはおらず、子供もいますし、なんとか夫と穏便な生活を続けたいとは思っています。

〜ひとみしょうさんのお悩み解決コラム〜

ほかに好きな人がいたら、余計に旦那さんのダメっぷりが鼻についてイヤになるんだろうなあと思います。同情します。が、男としては同情ばかりしていられないので、思うところを以下に記します。

一般論としての女性

一般論として、女性って、旦那の器の小ささを知った時と、旦那の稼ぎが下がった時に、ほかの男に気持ちがなびく傾向があるように思います。

ははさんの場合だと、出世についてグズグズ言う旦那さんに、器の小ささを見てしまった、ということですよね。

旦那さんからすれば、出世は人生におけるめちゃ大事なことなわけですよ。それこそが「俺のプライド」であり「生きている前提条件」なわけです。それを、女性はなぜか「出世ごときで」とかと思うじゃないですか。ははさんだけのことを言っているのではないですよ。ぼくが実際に会って話を聞いた女性の中にも、ははさんのような考え方をする女性がいるんです。だからぼくは、女って怖い、と思うのです!

生きるのがうまいのが女子

出世って、ホント「出世ごとき」です。出世していくらお給料が上がるのかといえば、20万も50万も上がらないですよね? 会社によっては数万円程度の手当てがつくとか、もっと少ない場合だと5000円の部長手当しかつかないとか、そんな感じでしょう? 場合によっては、出世によって給料が上がったものの、残業手当がなくなったから、出世してもしなくても手取りの金額に変化がないなんて会社もあると聞きます。

だから、サラリーマンの出世を経済の面から見ると、さほど大きな問題ではないといえるはずなんです。

がしかし、男のプライドからすれば、人生を左右する大問題です。なぜなら、男は、いい大学に入るために必死になって勉強してきたからです。同級生の地頭のいい女子が、放課後に男子と楽しくデートしているのを横目に、彼は必死になって勉強してきたはずです(で、結果的に彼女は、彼と同等かそれ以上の大学に指定校推薦で入ったとか!)。

男が必死になって勉強するのは、直接的にはいい大学に入るためですが、つまりはいい会社に入って出世するため、だったはずです。

つまり、旦那さんは、「放課後に男子と楽しく遊んでいた女子が、おれを差し置いて出世するなんて! そんなのありえない!」と思っているのです(怒っているのです)。

ははさんが、高校時代に、放課後、誰かと楽しく遊んでいたかどうかは知らないですよ。でも、男から「一般的な女性」を見た場合、どうしてもそういう思考になるのです。なぜなら、一般的にいって、男は女性より不器用であり、男はその事実をいやというほど認識しているからです。

出世が「しょせん」な理由

出世が「しょせん」な理由は、出世って、多くの場合、過去を生きることにほかならないからです。先に書いたように、高校生の頃から、男たちはいい会社に入って出世する「ために」勉強してきました。これがすでに「過去に生きている」のです。

およそ「〇〇のために」やる行為って、ぜんぶ過去を生きているのです。「〇〇のために」と考えたのは過去だからです。過去に考え、信じることにしたある価値観というのは、時制でいえば過去です。

つまり、旦那さんは、ただ今現在を生きていないのです。ただ今現在を生きていない人とは、感覚器官が死んでいる人です。旦那さん、休日にリビングに花を活けたりしないでしょ? 五感が死んでいる人って、まず花を活けようという発想が湧いてこないのです。

対して女性は……出世するような賢い女性であっても、感覚と頭で考えること(理性)のバランスがいいんですよね。これはなぜなのかわからないのだけれど、女性は男に比べ、感覚と理性のバランスがすごくいいです。だから、女性が社長になったり市長になったりすれば、わりとまともなことをするのだと思います。男が社長になったり市長になったりすれば、私利私欲に走る人が目につくというのは、報道等で誰もが知っていますよね。

ほかの男性と遊ぶのは、別にかまわないと思うんです

頭で出世を考えて一生を終える人の人生は悲惨だとぼくは思います。ぼくは文章を書いて食えるようになるまで、大手通信会社の本社で派遣社員として働いてきました。Nがつく、むかし国営企業だった会社です。

ぼくがいた部署には、出世したくてしたくてたまらないおじさんか、出世をあきらめて有給をとりまくっているおじさんかのいずれかしかいませんでした。理性と感覚のバランスに優れている人も、いるにはいましたが、ホントにごく一握りでした。また、それなりに出世を果たし、定年退職したあと、1年と経たずにお亡くなりになられた方もいました。

彼らは、たとえば「今日はこんなに天気がいいのだから、近所の公園にお弁当をもって行こう!」という発想をしません。「公園に行って、妻と植物を愛でよう」なんて発想もありません。「今」を生きていない人にとって、花鳥風月は存在しないのです。

ははさんが出世したことによって旦那さんがグズグズ言うのなら、旦那さんに内緒でほかの男性と遊ぶのは別にかまわないと思います。そういう旦那さんに我慢しつつ品行方正に暮らしましょうなんてきれいごとを言う人って、ぼくはどこかしら間違っていると思うからです。間違っているというか、「生きてない」のだろうと思うのです。だから、ほかの男性と遊ぶのはけっこうなことだと思います。

ははさんが今できること

がしかし、今からでも遅くないので、旦那さんが過去を生きるのではなく、「今」を生きれるようにしてあげるのも、奥さんとしてのははさんの役割だろうと思います。

「今」って、「いま」と言ったそばから過去になるのだから、感じるしかないものです。

旦那さんと「感じる」を一緒にしてみてはどうでしょうか? 花鳥風月を愛でるとか、音楽会に行くとか(音楽って、音を発したそばから消えていくので、「今」の彫刻が音楽です)。

「今」を感じることを、いま旦那さんに教えないと、旦那さんは過去に生きたまま淋しくこの世を去ることになると思うのです。

Nがつく超巨大企業は、入社時に、学歴によって出世のルートが決められていると言われています。つまり、東大京大卒を除くほぼ全員の従業員に対し、見方によっては、過去に生きることを強制している会社です。だからなのか、「カオナシ」的な人が多かった印象があります。もちろん部署にもよると思うんですが、ぼくがいた部署はそういう人が多かった。

旦那さんをカオナシ状態から救ってあげれるのは、ははさんしかいないのではないでしょうか。

(ひとみしょう/作家)

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