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『伊藤家の晩酌』~第二夜1本目/微発泡の美味しさみなぎる「米鶴 ピンクのかっぱ純米酒」~

  • 2019.8.19

弱冠22歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入! 酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?第二夜の1本目は、あっと驚く味わいのピンク色のお酒から。
(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)

今宵1本目は、これも日本酒!?と誰もが驚く「米鶴 ピンクのかっぱ純米酒」

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Hanako 編集部

娘・ひいな(以下、ひいな)「このお酒はね、ワイングラスで飲んでほしいんだ」
父・徹也(以下、テツヤ)「お!? ワインぽいってこと?」
ひいな「いいから、まずは飲んでみてよ!」

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テツヤ「おぉ、すごいピンクだね!! 茶色の瓶だからわからなかった!」
ひいな「ロゼワインっぽいでしょ? 食前酒にいいかなと思って」
テツヤ「うわっ、うんまー!! これ、もうワインじゃない?」
ひいな「革命でしょ?」
テツヤ「うん、衝撃的。これはすごいね。いい酒だよ。がぶがぶ飲める」
ひいな「まだ1本目だから、ほどほどに(笑)」
テツヤ「これは確かにワイングラスに合うね」
ひいな「甘い香りがふんわりとあがってくるから、ワイングラスがいいかなって」
テツヤ「これさ、足のついてるグラスにしてみない?」

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Hanako 編集部

テツヤ「味は変わらないけど、香りは立つね。気分はワイン」
ひいな「お父さんはワイン好きだから、1杯目にいいかなと思って」
テツヤ「うれしいねぇ。しみじみうまいねぇ」
ひいな「山形の『米鶴』って酒造なんだけど、かっぱのお酒が他にもあるの。これはピンク」
テツヤ「俺も頭、かっぱみたいだからちょうどいいわ」
ひいな「(笑)。ピンクになるのは、酵母が違うの。赤色酵母っていうのを使ってて」
テツヤ「赤色酵母って何?」
ひいな「酵母っていろいろな名前がついてるんだけど、10号酵母が突然変異してできたのが赤色酵母なの」
テツヤ「え!? 変異して赤くなっちゃったんだ」
ひいな「発酵力が弱いからアルコール度数があんまり上がらないのも特徴なの。『ピンクのかっぱ』は10度なんだよ」
テツヤ「日本酒にしては低いね」
ひいな「そうだね、普通は17度くらいかな。ワインが13度くらい」
テツヤ「ワインよりも低いんだね」

「ピンクのかっぱ」に合わせるおつまみは「オレンジとにんじんのラペ」

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Hanako 編集部

ひいな「きゅっとしまった酸味があるお酒だから、さらに酸味を合わせてみようと思って」
テツヤ「酸味×酸味!酸味のオンパレードだね」
ひいな「ワインビネガーを使ってみたよ。どう?」
テツヤ「うわ、この日本酒と合う合う! 酸をぶつけるというよりも、乗っかっていく感じだね」
ひいな「それをイメージした。味をぶつけたくなるけど、あえて同じ方向に乗っかる感じで」
テツヤ「なんかさ、ほかの補う味の要素を足したくなるじゃない。たとえば……ちょっとまったりとしたものとかさ。同じ味の方向にもっていくのはおもしろいね。これは進んじゃうなぁ」

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Hanako 編集部

ひいな「この前、バイト先の板前さんと話をしてて。お酒とおつまみの組み合わせについて、+1と−1のものを合わせて0にしがちだって言われたの(笑)」
テツヤ「相反するものを組み合わせちゃうと、マイナスになるものもあるってことだな」
ひいな「味を補うんじゃなくて、両方のレベルを上げるっていうことを板前さんに教えてもらって」
テツヤ「難しいな……。反対のものを持ってくることでお互いに引き立つものもありそうだけど……。必ずしもそうじゃないんだね」
ひいな「この前教えてもらったのは、ものすごい酸が立つお酒があって、それに牛タンシチューを合わせるっていう」
テツヤ「そりゃすごいな。おいしかった?」
ひいな「いや、食べてないんだけど(笑)。そういう組み合わせもあるんだなって勉強になった。それを思いついてお客さんに提案する発想はなかった」
テツヤ「ワインもさ、マリアージュって難しいじゃない? それが合ってるかどうかってわかんないもんね」
ひいな「それぞれ感性が違うからね」
テツヤ「料理を主体に考える人とお酒を主体に考える人でも違ってきそうだもんな」

感動するほどのおいしさで、「ピンクのかっぱ」リピ決定!

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Hanako 編集部

テツヤ「これは自分のお気に入りとしてストックしておくと喜ばれるかもね」
ひいな「うん、パーティに持っていったらみんな驚くよね」
テツヤ「みんな洒落たワイン持ってきてるなかでさ、『日本酒持ってきちゃった』と言いながら話題をさらってね」
ひいな「でもね、これなかなか東京では買えなくて」
テツヤ「どこで買ったの?」
ひいな「彼氏がね、この間『米鶴』の酒造に行って田植え体験をしてきて。その時に買ってきてもらったの」
テツヤ「いいヤツだな。今度、ここに連れてきなさい(笑)」

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Hanako 編集部

ひいな「日本酒ってすごいなって思ったのが、いまは科学的にこの色が赤色酵母だからってわかるけど、昔はわからなかったんだよね」
テツヤ「そうだよなぁ。なんで赤くなるのか不思議だっただろうな」
ひいな「そうそう。だから妖怪の仕業だって言われてたらしいんだよね」
テツヤ「へぇ! かっぱがいたずらしたってことなのかな?」
ひいな「それで『猩々(しょうじょう)もろみ』って呼ばれてるの」
テツヤ「おもしろいなぁ」
ひいな「このお酒はアルコール度数が低いだけじゃなくて、日本酒度が−14なの」
テツヤ「ラベルによく+と−って書いてあるけど、違いを教えて」
ひいな「簡単に言うと+だと辛口、−になると甘口と言われてるんだけど、−14っていうのは相当甘口ってこと」
テツヤ「でもこれ、イヤな甘さじゃないんだよな。甘ったるさではないんだよ!」
ひいな「まったりさはないよね」
テツヤ「お米は本来、こんな甘みを持ってるってことだよね?」
ひいな「そう。お米を削って芯に近くなればなるほど甘くてフルーティになるんだけど、30%の精米歩合のお酒でも割と辛めのキリッとしたお酒もある」
テツヤ「いわゆる純米大吟醸ってさ、食事に合わないイメージがあるんだけど」
ひいな「そういうイメージあるよね。だから精米歩合は30%だけど、大吟醸って言いたくないっていう酒蔵もあったりとか」
テツヤ「あえて純米って言いたいんだな?」
ひいな「純米酒って規定がないから」
テツヤ「え、そうなの? じゃ、このお酒も純米酒?」
ひいな「そう。純米酒でこの甘さはなかなか」
テツヤ「いやぁ、改めて、すばらしいお酒だね」
ひいな「絶賛だね(笑)」
テツヤ「ラペと一緒にこのお酒飲むと、本当にワインみたい」
ひいな「うれしいなぁ。ワイン好きなお父さんに飲んでみてほしかったから。あと、珍しい味だからびっくりしてほしいっていうのもあって」
テツヤ「これは知っておくと自慢できるね。とっておきだね」

第一夜4本目「陸奥 八仙 いさり火」はコチラから
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(次回は8月25日更新予定です)

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