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初公開の新作も! ジュリアン・オピーの大型個展。

  • 2019.8.8
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極限まで簡略化された、都市生活のイメージ。『ジュリアン・オピー』

『Telephone』2018年。人物表現の簡略化に伴い、タイトルも同様にシンプルで普遍的なものになっていく。

『Walking in New York1』2019年。都市の群像にふさわしく、目鼻の表情を省略した匿名性もまたオピーの表現の特徴だ。

1980年代にアートシーンに登場し、英国を代表するアーティストとして活躍してきたジュリアン・オピー。点と線という最小限の表現言語によって、驚くほど豊かな情報量が詰め込まれた人物像や風景画は、絵画の既成概念を大きく揺さぶった。90年代後半から2000年代前半には、くっきりした輪郭線と黒い点の目だけで特徴や個性を的確に捉えた、ポップでありながらコンセプチュアルなポートレートが話題を呼び、コレクターやミュージシャンなどのセレブリティたちが、こぞってコミッションワークを望んだものだ。

かつてのインタビューで、オピーは自ら収集する日本の浮世絵やアニメのセル画の表現様式、生まれ持った色覚の誤差による独自の平明な視覚世界が、自身の作風に影響していることを語ってくれた。

近年は、街を行き交う人々やその間を駆け抜けるランナーを表現した絵画や映像、都市のビル群にカラス、田園風景、羊の立体など、幅広い作品を手がける。LEDディスプレイや看板といったメディアを取り入れ、都市の秩序を司るグラフィックデザインやピクトグラムともシンクロするオピーの作品世界には、絵画の枠を超えたハイブリッドな魅力がある。なかでも、極限まで簡略化された人物の全身像は、ますます均質化の進むグローバル世界のどこの都市でもすぐ隣で見られる光景を出現させ、装飾性を削ぎ落とした都市生活者の“現在”が浮かび上がるはずだ。

『ジュリアン・オピー』会期:開催中~9/23東京オペラシティ アートギャラリー(東京・初台)営)11時~19時(金、土は~20時)休)月、8/4一般¥1,200●問い合わせ先:tel:03-5777-8600(ハローダイヤル)www.operacity.jp/ag

※『フィガロジャポン』2019年9月号より抜粋

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