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キアヌ・リーブス再降臨! もう一度観たい名作ベスト11。

  • 2019.7.24
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キアヌ・リーブス再降臨! もう一度観たい名作ベスト11。
2019.07.23 17:00
数々の名作映画に主演してきたスーパースターでありながら、最近になって「庶民派!」「いい人!」「優しすぎ!」との絶賛の声があとを絶たないキアヌ・リーブス。その人気再燃ぶりは、ネット上で「キアヌサンス」(キアヌとルネッサンスの造語)なんて言葉が生まれるほど。そんなキアヌの多面的な魅力を再発見すべく、出演作の中から11本の名作を選りすぐり。今週末は、キアヌ三昧に決定! 


90年代アクション映画のプリンス、キアヌ・リーブスがいま、すごいことになっている。キアヌとルネサンスを組み合わせた「Keanussance(キアヌサンス)」という造語が生まれ、「Internet’s Boyfriend(ネット上の彼氏)」と呼ばれるほどに、その人気が凄まじい勢いで再燃中なのだ。


ハリウッドスターであるにもかかわらず、ソーシャルメディア上では彼が哀愁を全身に纏いながら、公園や街中のベンチで「ぼっち飯」をとる姿が度々報告され、世界中でギャップ萌えが発生。また、デイヴィッド・シムズが撮り下ろしたサンローラン2019-20年秋冬キャンペーンで変わらぬイケメンぶりを披露したかと思えば、BuzzFeedのYouTubeでは、子犬たちと無邪気に遊びながらファンの質問に丁寧に答える優しさを見せ、男女の垣根を超えて「いいやつ」と絶賛された。


こうして周囲はその一挙手一投足に注目しているわけだが、彼は長いキャリアの中で、一貫して謎めいた人物であり続けてきた。ベイルート出身で、イギリス人と中国系ハワイ人のルーツを持つ彼は、世界各地を転々としながら幼少期を過ごした。キアヌが、かつてアイスホッケーに夢中になったり、バイクを愛していることを知る人は多いだろう。また、1990年代後半に、恋人ジェニファー・サイムが二人の子どもを妊娠するも死産し、彼女と破局したこと、それから2年も経たないうちに、サイムが自動車事故で亡くなったことなど、キアヌには哀しい過去があるということも。けれどやはり、キアヌの私生活は、どこまでも謎のままだ。でも、それでいい。ときどき、私たちをほっこり幸せな気分にさせてくれる姿を披露してくれさえすれば。そして、彼の主戦場である映画の世界で、独特の存在感を放ってくれさえすれば。


というわけで、これまでの出演作の中からキアヌがもっとも輝いていた11作品を紹介しよう。

1. ビルとテッドの大冒険(1989)&ビルとテッドの地獄旅行(1991)


アメリカのテレビアニメ『ビーバス・アンド・バットヘッド』(1994〜)やコメディ映画『ジム・キャリーはMr.ダマー』(1994)が登場する前から、ビルとテッドは存在していた。空っぽアタマの2人組、リーブス演じるテッドとアレックス・ウィンター演じるビルがタイムトラベルし、歴史の口頭試験に合格するために歴史上の人物に会いに行くという冒険物語。’91年にリリースされた続編では、少し大人になったものの相変わらず空っぽアタマの2人がロボットに殺され、この世に戻るために死神グリム・リーパー(ウィリアム・サドラー)に勝負を挑む。どちらもビルとテッドの馬鹿っぷりが愛おしく、ファンのラブコールに応えて今年、新作となるシリーズ3作目の制作が決定(公開は来夏予定)。

2. マイ・プライベート・アイダホ(1991)


『ヘンリー四世』(1969年)が原作のガス・ヴァン・サント監督作品。ナルコレプシーを患い、精神的にも行き詰まった同性愛の男娼、マイク役のリヴァー・フェニックスの高い演技力が絶賛された本作だが、親友スコット・フェイヴァーを演じたキアヌだって負けてはいない。生い立ちは対照的ながら、マイク同様に荒れた生活を送るスコットは、市長の息子という特権から将来に不安はないが、ゆえに刹那的に生きている。マイクの生き別れになった母親を探すため、二人はポートランドからオレゴン、アイダホ、そしてイタリアへと旅に出るのだが……。若く美しいキアヌとリヴァーに、とにかく目が釘付け。

3. ハートブルー(1991)


膝を故障したFBI捜査官、ジョニー・ユタを演じたリーブスは、ボディ(パトリック・スウェイジ)が率いるサーファー銀行強盗団に潜入するが、その仲間の一人、タイラー(ロリ・ペティ)に恋に落ち、メンバーたちにも魅了されていく。キャスリン・ビグローが監督を務めた本作は、アクションと哲学的なテーマが詰まった、真のカルトクラシックだ。

4. ドラキュラ(1992)


キアヌ自身は、あまりうまく演じることができなかったと述懐しているが、キアヌとウィノナ・ライダーが共演するフランシス・フォード・コッポラ監督作と聞けば、観ずにはいられない。キアヌ演じるジョナサン・ハーカーは、ゲイリー・オールドマン演じる15世紀のヴラド公、ドラキュラ伯爵がハーカーの婚約者であるミナ(ウィノナ)に恋したことで、ドラキュラ伯爵に囚われる。キアヌとウィノナは、恐らく史上もっとも「口論の多い」ロマンチックコメディー『おとなの恋は、まわり道』(2018年)で再び共演を果たした。

5. から騒ぎ(1993)


シェイクスピアの熱心なファンであることを公言しているキアヌだが(お気に入りは『リア王』)、本人は、(近年の目撃情報からも察するとおり)とくに雄弁さに恵まれているわけではない。けれどそれこそが、本作でキアヌが輝く所以でもある。このシェイクスピアの『空騒ぎ』を映画化したケネス・ブラナー監督作は、ケイト・ベッキンセイル、デンゼル・ワシントン、エマ・トンプソンという実力派が勢ぞろい。キアヌはその中で、ハンサムで感情を表に出さないハマリ役、ドン・ジョンを好演している。ネットミームにもなった「私は口数の多くない男だ」という彼の台詞が、まさにアイコニック。

6. スピード(1994)


ありえないストーリーで大ヒットした本作でキアヌが演じたのは、ロサンゼルス市の熱血警官、ジャック・トラヴェン。ジャックは、時速50マイルを下回ると爆発する「走る爆弾」と化したバスの乗客たち(彼が恋心を寄せる、サンドラ・ブロック演じるアニーを含む)を助けるべく、あらゆる手を尽くす。生死に関わる危機的状況で「そんなんあり!?」と思わず吹き出しそうになるシーンもあるが、キアヌとサンドラがあまりにお似合いなので、それもよしとしよう。

7. 『マトリックス』シリーズ(1999〜)


キアヌの出世作といえば、アクション映画の定義を覆したとして映画史に残る名作『マトリックス』で異論はないだろう。ラナ&リリー・ウォシャウスキー姉妹(二人とも男性から女性になったトランスジェンダー)によるこのSF3部作で、キアヌは、カウンターカルチャー・ハッカーから救世主に変わる主人公ネオを演じ、一躍スターの仲間入りを果たした。従来のヒーロー像を覆したネオの異端ぶりは、キアヌの独特の存在感と繊細さの賜物だ。

8. サムサッカー(2005)


マイク・ミルズの監督デビュー作となった本作は、ウォルター・キルンによる同題の小説が原作。キアヌが演じるのは、親指をしゃぶる癖が治らない17歳の主人公ジャスティン(ルー・テイラー・プッチ)に手を差し伸べる、優しき歯科矯正医のペリー・ライマン。ジャスティンが「あなたは僕の歯医者じゃないの?」と尋ねたとき、リーブス演じるライマン医師が「自分はそれ以上の存在であると思いたい」と答えるシーンは格別。物語の素晴らしさも手伝って、本作で披露されるキアヌのこれまでとは異なる魅力に、すっかり心を掴まれること請け合い。

9. コンスタンティン(2005)


フランシス・ローレンスが監督を務めた、DCコミックス『ヘルブレイザー』が着想源の本作は、自殺未遂を起こした罪を償うため、人間界で悪魔祓いを行っているジョン・コンスタンティン(キアヌ・リーヴス)をめぐるストーリー。天国の神に気に入られようと努力することに辟易したコンスタンティンを、寡黙に皮肉にキアヌが演じている。物語は、女刑事アンジェラ・ドットソン(レイチェル・ワイズ)の双子の妹が自殺したことを機に、まさに地獄のような展開に……。

10. スキャナー・ダークリー(2006)


フィリップ・K・ディックによる原作『暗闇のスキャナー』を、ロトスコープという技術を用いて実写からアニメ化した本作は、現実と幻覚とが交錯するパラノイアの世界がテーマ。キアヌは、異常なまでの監視社会と化した近未来のアメリカで、自身が麻薬中毒であることを隠しながら潜入捜査官として生きるフレッド=ボブ・アークターを演じている。

11. 『ジョン・ウィック』シリーズ(2014〜)


妻を亡くし悲しみに暮れる、かつて凄腕の殺し屋だったジョン・ウィックをキアヌが熱演した人気アクション映画の3部作。すべてをマフィアに奪われたジョンは、復讐に燃え、再び殺し屋として生きる決意をする。キアヌの魂のこもった演技が、心身に痛みを抱えながらも威厳を保って生きようとするジョンのキャラクターに命を吹き込み、思わず没入してしまう良作。シリアスながら、ところどころに散りばめられたユーモアも秀逸だ。最終章となる『ジョン・ウィック: パラベラム』(2019)は10月公開予定。

Text: Sam Rogers

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