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豊かな自然が育んだ、沖縄文化とアートに触れる。【リュクスな沖縄】

  • 2019.7.17
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豊かな自然が育んだ、沖縄文化とアートに触れる。【リュクスな沖縄】
2019.07.17 15:00
7月は日本の最南端の楽園、沖縄から。初回の宮古島・伊良部島の離島リゾートに続く第二回目は、沖縄独自のアートにフォーカス。沖縄の自然と歴史が創り出したアートに恵まれたリゾートホテルと、素朴な美しさと力強さが魅力の焼物・やちむんの窯元を巡る。

自然の美しさに包まれたオーシャンフロントのリゾート。


沖縄県南城市は、琉球創世の神が降り立ったといわれる久高島や世界文化遺産の一部でもある聖地・斎場御嶽(セーファウタキ)がある県内随一のパワースポット。その海辺に建つ「百名伽藍(ひゃくながらん)」は、亜熱帯の濃いグリーンの山を背に、透明なブルーの海と白い砂浜が目の前に広がるリゾートホテルだ。


琉球石灰岩、月桃紙、チャーギ(イヌマキ)など地元素材をふんだんに使用した琉球様式の建物は、屋根の赤瓦と海のブルーのコントラストが、琉球王国にタイムスリップしたかのよう。中庭に生い茂る巨大なガジュマルを囲むようにして回廊が巡らされ、光と影と風を意識して照明を控えた館内を、心地よい風が通り抜けていく。さらに220度の視界に海が広がり、同じ場所にいながら日の出と日の入りの両方を楽しむことができる。遮るもののない絶景は、まさに自然が作り出すアートだ。

沖縄らしさを感じる歴史と文化に恵まれたホテル。


客室は本館の17室と、専有露天風呂を持ち、661㎡もの敷地を占める別館の1室のみで、全室オーシャンビューのテラスかバルコニー、専用ガーデン付きだ。さらに屋上には茶室を模した6室の離れ「方丈庵」があり、ゲストは好みの部屋を貸し切ることができる。6室とも海に面した露天風呂付きで、ゆったりと湯に浸りながら愛でる絶景は格別だ。


“禅”をホテルのコンセプトの中心に置き、インテリアは虚飾を排除したシンプルモダンを追求。地下エントランスを抜けた先の大きな吹き抜けの洞窟(ガマ)には、巨大な石仏が鎮座し、仏様らしい柔和な表情を見せている。1階のスペースには古い絵巻物から再現した絵画や、琉球王国で活躍した人物の肖像画など、琉球の歴史をたどる作品が展示され、ホテルのいたるところで沖縄の歴史と文化を体感できる。

百名伽藍

沖縄県南城市玉城字百名山下原1299-1

Tel./098-949-1011

Fax./098-852-6588

料金/1人1泊(2名1室・夕朝食付)50,000円~(2019年7月現在)
http://www.hyakunagaran.com/

やちむんの伝統を後世に伝える名匠たちの窯元。


沖縄では、芭蕉布、琉球絣、首里織などの織物、琉球ガラス、琉球漆器など、独自の文化や芸術が発達し、今でもその伝統が大切に受け継がれている。「やちむん」と呼ばれる素朴で味のある焼き物もそのひとつだ。沖縄本島の中央、東シナ海に面した読谷(よみたん)村には、19軒のやちむんの窯元が集まった「やちむんの里」がある。中でも宮城正享、與那原正守、松田米司、松田共司の4人の親方の共同窯である「北窯」は、沖縄の焼き物の伝統を後世に伝える窯元のひとつだ。


坂に沿って造られ、内部が複数の部屋に分かれている窯を連房式登り窯と呼ぶが、北窯は13房にも分かれる巨大な登り窯だ。これを年に5回だけ焚き、火入れから窯出しまで常に窯の状態に目を配りながら、三日三晩ほどかけて工房ごとに交代しながら焼き上げる。そうして生まれたやちむんの器は、やや厚手で丸みを帯び、どっしりとした重みと素朴な美しさが魅力だ。

読谷山焼 北窯

沖縄県読谷村座喜味2653-1(やちむんの里内)

Tel./098-958-6488

夫婦で営む窯から生まれるモダンで力強いやちむん。


沖縄本島北部、大宜味村の「田村窯」は、田村将敏・麻衣子夫妻が共同で作陶するやちむん工房だ。大阪出身の将敏さんは、北窯の宮城正享氏のもとで、愛媛出身の麻衣子さんは、同じ北窯の松田米司氏のもとで修行。2010年に独立したという北窯チルドレンのふたりだ。


海が見える眺めの良い高台に自宅兼工房を構え、北窯で身に着けたやちむんの伝統技法をベースに現代的なエッセンスを取り入れた作品作りに取り組む。土や釉薬はできるかぎり県内産を使い、その土地でしかできない焼き物作りにこだわっている。厚手で丸みを帯びた器には、海、風、太陽、草木など沖縄の自然の恵みを表現した絵柄が多く描かれ、若い作家ならではの力強さ、明るさ、伸びやかさが感じられる。工房脇の棚に所狭しと並べられた焼き物は購入も可能。沖縄の思い出と共に持ち帰りたい。

田村窯

沖縄県大宜味村津波57-2

Tel./0980-44-1908

Text: Yuka Kumano

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