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予備選レースをひた走る、米民主党議員カマラ・ハリスってどんな人?

  • 2019.7.10
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2020年11月3日に予定されているアメリカの大統領選。これに向けた民主党の予備選レースの一環として、6月27日に候補者討論会が開催された。ここで際立ったパフォーマンスを見せ、一躍脚光を浴びているのが民主党の上院議員のカマラ・ハリス。気骨ある検事としての経歴と、最上の「アメリカン・ドリーム」と呼ぶにふさわしい家族史を支えに、アメリカ合衆国初のアフリカ系女性大統領を狙う。

民主党の候補者討論会に参加したカマラ・ハリス。(アメリカ・マイアミ、2019年6月27日)photo:Getty Images

「母はよく私にこう言いました。『カマラ、あなたは将来きっとたくさんのことを実現する最初の女性になるわ。ビリにならないようにがんばりなさい』って」。カマラ・ハリス上院議員は支持者の前で、何度もこの話をしてきた。1960年代のカリフォルニア州オークランドの進歩主義的風土で育ったハリス。父はジャマイカ出身で経済学教授、いまは亡き母はインド出身の乳がん研究者だった。現在54歳のハリスは、自らのルーツにことあるごとに触れ、移民として市民権獲得のために闘った両親を誇りに思うと語る。

去る6月27日、民主党の候補者討論会に入念な準備をして臨んだと見られるハリス。彼女はまず、同じく候補者である前副大統領のジョー・バイデンに対し、彼が人種差別を肯定する上院議員たちと「慇懃な」態度で会話するのを聞いて傷ついたという、数年前の個人的なエピソードを述べた。続けて、時折感情も露わに、自らの子ども時代のエピソードを語った。ハリスの子どもの頃は、長く行われてきた人種隔離政策が撤廃された後。彼女は白人居住区にある学校に通う、アフリカ系の小学生専用の送迎バスを利用していたという。さらに、ジョー・バイデンがこの公的サービスに反対の立場を取っていたとして、バイデンを糾弾した。これに対して76歳のバイデンは、非難を完全に否定して応戦した。

カリフォルニア州初の女性検事。

現在、民主党の候補者の中では世論調査で最も支持を集めているバイデン候補。彼に対するハリスの攻撃は、民主党予備選史上、最高視聴率を記録した今回の公開討論会で強烈な印象を与えた。そして、ホワイトハウスを狙う候補者指名争いで、現在彼女は上位に浮上している。一方でハリス陣営は、彼女の検事としての経歴を強調する構えだ。支持者らによると、共和党のドナルド・トランプ現大統領を「弾劾裁判にかけ」、2020年11月の大統領選挙で共和党を破るために、ハリスはこれ以上ない適任だという。

キャリアの当初から、ハリスは先駆者のタイトルを次々と獲得してきた。サンフランシスコ地方検事を2期(2004-2011年)務めた後、カリフォルニア州司法長官に2度選出(2011-2017年)され、アメリカで最大の人口を誇るカリフォルニア州の司法を統率する地位に就いた初の女性、そして初のアフリカ系アメリカ人となった。2017年1月には、上院で就任宣誓を行い、南アジアにルーツを持つ女性初の上院議員となる。これはアフリカ系女性としても史上2人目という快挙だ。

ふだんは穏やかだが、信念のためには冷徹に。

ハリスが司法、行政、立法それぞれの分野で重ねてきた経験を活かせば、彼女は完璧な候補になれる。かつてサウスカロライナ州知事選に出馬したマルグリート・ウィリス元民主党候補はAFPにそう明かしている。「彼女はまだ若いですし、(中略)それに黒人女性です。こうした点は現在とても重要なことです」とウィリスは語っている。トランプ政権下のアメリカでは、人種差別意識が強まりつつある。「それに、ハリス候補は女性です。彼女は自分が望むものを手に入れる方法を知っています」

ハリスはふたりの子どもの父親である弁護士と2014年8月に結婚している。妹のマヤは、ヒラリー・クリントンのシニアアドバイザーとして2016年の大統領選キャンペーンを率いた人物だ。

ふだんは温情家の彼女だが、必要とあれば厳しい態度を取ることも辞さない。特に上院では、緊張感のみなぎる公聴会の場で、ときに冷やかな口調で、厳しい質問をして注目された。たとえば2018年、連邦最高裁判事に指名された保守派のブレット・カバノー候補の承認をめぐる公聴会でも、物議を醸した候補に対して、冷徹な批判を展開している。

バラク・オバマ前大統領に重ねる支持者も。

ハリスの支持者たちは、こうした厳格さも彼女が強い意志を持った人物であることの証と捉えている。「ハリス候補はこれまでも、自分にそれが可能だと思ったら進んで声を大にして発言してきた」と言うのは、ハリスに会うためにサウスカロライナの州都コロンビアにやってきた支持者のひとり、デイトラ・マチュー。とりわけアフリカ系アメリカ人の代弁者として、より公正な司法制度を実現するためにハリスは闘ってきたと彼女は言う。「2007年以来、予備選挙の候補者にこんなに熱狂したことはないわ」。バラク・オバマ大統領が誕生したのはその翌年、2008年のことだ。

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