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祝・月面着陸50周年! 宇宙でヒロインが大活躍する名作映画8選。

  • 2019.7.3
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祝・月面着陸50周年! 宇宙でヒロインが大活躍する名作映画8選。
2019.07.03 10:00
アポロ11号が月面着陸に成功してから7月20日で50年。これを祝して、『エイリアン』(1979年)のシガニー・ウィーバーから『ゼロ・グラビティ』(2013年)のサンドラ・ブロック、『バーバレラ』(1967年)のジェーン・フォンダまで、宇宙を題材に女性たちの奮闘を描いた名作を厳選して紹介しよう。


1969年7月20日、ニール・アームストロングとバズ・オルドリンという2人の宇宙飛行士が人類初の月面着陸を成し遂げた。人類史の新たな章の幕開けを印象付けるこの偉業は、ハリウッドにもさらなる夢とインスピレーションをもたらした。SF映画は無声映画時代から人気のジャンルだったが、ついにそれがフィクションではなくなったのだ。この出来事は映画業界のイマジネーションに火をつけ、『スター・ウォーズ』(1977年〜)シリーズや、スティーヴン・スピルバーグ監督の『未知との遭遇』(1977年)などに代表される宇宙映画の黄金時代へとつながっていく。その後も、『フラッシュ・ゴードン』(1980年)や、『アポロ13』(1995年)、『アルマゲドン』(1998年)、そして『ファースト・マン』(2018年)などの作品が発表され、人類の宇宙への果てなき憧れを示してきた。


一つ残念なのは、映画で描かれるのは男性の宇宙飛行士が圧倒的に多いことだ。確かにNASAのデータベース(2019年4月時点)によると、これまでに宇宙に行った男性宇宙飛行士の合計499人に対し、女性宇宙飛行士はたった63人(もちろんそこには日本人の女性宇宙飛行士、向井千秋と山崎直子も含まれる)という現実がある。


とはいえ、この状況は今後大きく改善されていくはずだ。そんな希望を胸に、宇宙開発競争にスポットを当てたクロニクル的作品からディストピア的な未来像を描いた作品、そして、はるか遠くの銀河が舞台のシリーズまで、女性を中心に据えたSF映画をピックアップしてみよう。

『ゼロ・グラビティ』(2013年)


アルフォンソ・キュアロン監督が手がけたこの映画は、搭乗運用技術者のライアン・ストーン博士を演じたサンドラ・ブロックにとっても記念碑的な作品だ。共演はジョージ・クルーニー


ロシアのミサイル攻撃が引き起こした宇宙ゴミの衝突により宇宙船外に投げ出されたライアン博士は、限られた時間と減少していく酸素供給の中で、国際宇宙ステーションに到達しなければならないというミッションを背負う。サンドラ・ブロックは、宇宙空間という孤立した状況下でのライアン博士の感情を見事に演じた。圧倒されるような撮影技術や素晴らしい視覚効果もさることながら、私たち観客の胸を打つのは、地球がゆっくりと見えなくなるのを眺めているサンドラの呼吸音だけが聞こえるシーンだ。

『インターステラー』(2014年)


21世紀半ば、砂塵嵐と飢饉が地球を脅かしていた時代。NASAの元パイロットが、他の居住可能な惑星を見つけるためのミッションに誘われる。苦境に立たされるエンジニアのジョセフ・クーパーを演じたマシュー・マコノヒーの演技も素晴らしかったが、本作を支えているのは、ジョセフ・クーパーの娘で科学者マーフを演じたジェシカ・チャステインと、宇宙飛行士アメリア・ブランドを演じたアン・ハサウェイという2人の女性たちだ。生命を求めて極寒の惑星を横断しているときにも、地球に帰還しブラックホール研究に没頭するときにも、彼女たちなくして決してミッションはコンプリートしない。人類の命運は、2人の肩にかかっているのだ。   

『ドリーム』(2016年)


セオドア・メルフィ監督による実話に基づいた本作は、まだ黒人と白人の分離政策が敷かれていた1961年のNASAが舞台。キャサリン・ジョンソン(タラジ・P・ヘンソン)、ドロシー・ヴォーン(オクタヴィア・スペンサー)、そしてメアリー・ジャクソン(ジャネール・モネイ)という、NASAによる有人宇宙船計画に大きな貢献を果たした3人の黒人女性数学者たちにスポットライトを当てている。


いまだ黒人差別が色濃く残る当時のアメリカにおいて、3人が働くNASAのラングレー研究所も決して例外ではなかった。オフィスから遠く離れた黒人専用トイレの利用を強いられるなど、不当な扱いを受けながらも、彼女たちはその明晰な頭脳と機知を盾に、平等な権利を手にするべく奮闘するのだ。


本作は興行的にも大成功を収め、全米映画俳優組合賞キャスト賞も受賞。さらに本作がきっかけとなり、アメリカ国務省は、科学、技術、工学、数学を扱う仕事に従事する女性のための「Hidden No More」と呼ばれる公的資金による交流プログラムを設立した。公開から3年が経った今でもこの映画のインパクトは消えていない。今年6月、ワシントンD.C.のNASA本部前の通りは、彼女たち3人の女性に敬意を表して「ヒドゥン・フィギュアズ・ウェイ」と改名された。

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年)


『スター・ウォーズ』(1977年〜)シリーズの第7作目は、女性を中心に据えたアクション満載のストーリーだ。本作で主要人物となるのは、新進気鋭の人気女優デイジー・リドリー演じる見習いジェダイのレイだ。ライトセーバーを巧みに操るレイは、BB-8を救出し、ミレニアム・ファルコンを盗み出した後、ジャクーからの脱出に成功。そしてハン・ソロに会い、BB-8をレジスタンスに届けるためにファースト・オーダーと戦うのだ。


2017年に公開された次作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でも、ルーク・スカイウォーカーを隠居から復帰させようとレイが大活躍。今年公開の『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』では、ジェダイ・オーダーとシスとの数千年にわたる戦いの終焉が描かれることになっている。

『フィフス・エレメント』(1997年)


リュック・ベッソン監督による大ヒットSF作品『フィフス・エレメント』の主役リー・ルーを演じたのは、ミラ・ジョヴォヴィッチ。タンジェリン色のボブと白のボンデージボディスーツという鮮烈な容姿は、ポップカルチャーにも一大センセーションを巻き起こした。


悪を滅ぼすパワーを備えたヒューマノイドのリー・ルーは、ある日、研究施設から脱出し、崖から飛び降り、ブルース・ウィリス演じる元軍人コーベン・ダラスが運転する空飛ぶタクシーに着地する。そして、ゲイリー・オールドマン演じる邪悪な資本家、ジャン・パプチスト・エマニュエル・ゾーグから世界を救うため、二人はエレメント・ストーン探しの旅に出るのだった。


公開当時、このドタバタ宇宙劇に対する批評家の評価は真っ二つに分かれたが、現在では、カルト的な人気を誇るSFの名作になっている。

『ハイ・ライフ』(2018年)


往々にして宇宙映画は、困難に立ち向かう人類にスポットライトを当てたクロニクル的作品になりがちだ。その意味で、クレール・ドニ監督の『ハイ・ライフ』は異彩を放っている。というのも、本作の主役が、科学実験の一環としてブラックホールを目指して旅する死刑囚の乗組員たちだからだ。


乗組員に選ばれたのは、ロバート・パティンソン演じるミステリアスで悩める男性のモンテや、ミア・ゴス演じる反抗的な女性のボイジー、ジュリエット・ビノシュ演じる人工授精による妊娠実験に憑りつかれた狂気の医師ディブス。銀河の遠く離れた場所を舞台に、悪夢のような欲望や恐怖、贖いの実験を描いた異色作だ。 

『エイリアン』(1979年)


リドリー・スコット監督による『エイリアン』(1979年〜)シリーズは、シガニー・ウィーバー演じるヒロイン、エレン・リプリー中尉の容赦なく強固な意志なくして成立しない。エイリアンが宇宙船に入り込み宇宙飛行士たちを攻撃しようと、リプリー中尉はひるむことなく男性顔負けの大活躍をみせ、エイリアンを追い詰めてしまうのだ。グレーのボイラースーツに身を包み、パルスライフルを手に突き進む彼女は、女性アクション・スターの先駆けとなった。

『バーバレラ』(1968年)


ロジェ・ヴァディム監督による銀河系間を舞台としたキッチュでエロティックな本作は、1962年に出版された同題のジャン=クロード・フォレによるフレンチSFコミックを映画化したもの。原作を忠実に映像化した不条理で破綻したストーリーテリングは、エロティカSFの傑作と讃えられ、スペースエイジのパコ ラバンヌ(PACO RABANNE)によるキュートな衣装が作品に華を添えている。


本作の主役は、邪悪な科学者であるデュラン・デュランの兵器、ポジトロニック・レイが悪の手に渡るのを防ごうと奮闘する宇宙冒険家のバーバレラ。主演のジェーン・フォンダのコケティッシュな魅力も見どころだ。1960年代後半にSF映画を再定義し、新世代の女性像を印象づけた名作だ。

Text: Radhika Seth

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