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熱い恋なんてもうできないかもしれない…私は今後どうなっていくのでしょうか?【ひとみしょうのお悩み解決】

  • 2019.7.2

“【お便り募集】文筆家ひとみしょうさんにあなたのお悩み解決してもらいませんか?”にお悩みを送ってくれた方の中から、ピックアップしてひとみしょうさんが解決していきます。

〜「ちこさん 31歳」のお悩み〜

はじめまして。

私は今まで、1年以上人と付き合ったことがなく、ほとんど遠距離です。

7人と付き合い、7人としました(した人の中には付き合ってないワンナイトの人もいます)。

こんな私は、もう誰かを本気で好きになって、結婚まで行くことがないように思います。

友達に聞いても、そんな数している人はあまりいないし、一生に一人!みたいな感覚の恋や結婚は私にはできないと思います。

いま気になってる人も、外国人です。

私は今後どうなっていくのでしょうか。ずっとこのまま、ぷらぷらして人生を終えるのか不安です。

〜ひとみしょうさんのお悩み解決コラム〜

31歳で7人でしょう? ぜんぜん普通ですよ。というものの、僕はたとえば31歳で300人とエッチしていると聞いても、べつになんとも思わない「変態」です。でも普通ですよ。ちこさんの友達はそんなにたくさんの人としていないというだけで、ちこさんの知らない世界にいる人たちは、もっとお盛んだったりしますよ。

あなたの人生があなたに求めていること

今、ちこさんの人生がちこさんに求めていることは明確で、もっといろんな世界を知ろう! ということです。

具体的には、自分で交通費を払ってどこかに行くこと、行った先で多少恥ずかしくても知らない人とお話をすること。知らないおいしいものを食べること。見たことのない美しい景色を見ることなどなど。

ちこさんに限らず、ときどき「一生に一人みたいな感覚の恋や結婚は私にはできないと思います」とか「私は今後どうなっていくのでしょうか。ずっとこのまま、ぷらぷらして人生を終えるのか不安です」というような相談メールが届きます。今の時代、多くの人は頭であれこれ考えちゃうんですよね。だからその手の相談がしばしば来るのだろうと思います。

経験人数が7人もいるわたしはもう本気で誰かのことを好きになることはないかもしれない「と、頭で考えている」わけですよね? 身体が何を言うのかは、その時にならないとわからないことでしょう? ある日、突然、超タイプの男性がちこさんの目の前に現れたら、頭で自制しても、身体が疼いて、つい彼とホテルに行ってラブラブな関係になるかもしれないでしょう? そんなの「その時になってみないと」「やってみないと」わからないことでしょう?

そういうのを全部まるっと度外視して、頭だけで先々の人生を考え、まだ見てもいない未来を自分で勝手に暗いものにしてしまう――これが今の多くの「頭で生きている人」の良くないところです。

人生はわりとシンプルにできている

人生って、じつはわりとシンプルにできていて、経験を積めば、あるていどは自由に、自分の思い通りに生きていけるんですよね。

というようなことを、わたしたちの先達が、実際に身体を動かして証明し、なおかつ本にしてくれています。たとえば、実存主義という哲学のカテゴリがありますが、実存主義の哲学者って、たいてい、自分の実人生と本に書くことがイコールか、ニアイコールなんですね。

総じて、みなさん、いろんなことに悩み、それを解決させようと何らかに挑戦し、失敗し、ふたたび挑戦する、というのを繰り返して、やっと「自分の生き方はこれでいいのだ。こう生きることが真に生きることなのだ」という境地にたどり着いているんですね。

なにも破格にすごい経験をしている人ばかりではありません。教育パパのことがイヤで、親のことでいやというほど葛藤し、また、好きな女性と婚約したと思ったら婚約破棄をし、というような、いわば普通の経験をして、結果、「俺の人生はこれでいいのだ」と思えるようになった哲学者もいます。その人は35歳くらいまで「俺みたいな男は、今後どうなっていくのだろうか。ずっとこのまま、ぷらぷらして人生を終えるのだろうか」と、不安にさいなまれ続けていました。

「まさか!」と思える瞬間が、今後、自分の人生に訪れることを知ること

なにかに迷い、挑戦し、失敗し、ふたたび挑戦する、その繰り返しの中で、自分で知らず知らずのうちに育んでいる感覚のことを自信と呼びます。簡単にいえば、なんでもいいので経験をする中で、自然と人が手にするようになるものが自信です。

ちこさんをはじめ、今の多くの人は、経験しなさすぎです。だから僕のところにいろんな人生相談や恋愛相談が届き、僕は食うに困らなくなって良かったのですが、そういう話をしている場合ではない。

とにかく、まだ自分が知らない世界があることを知ること。「まさか!」と思える瞬間が、今後、自分の人生に訪れることを知ること! 今のちこさんに必要なのはこの2つです。

この2つを知ろうと思えば、身銭を切って何かをすることです。週末に小旅行に行くでもいいし、海外が好きなら海外に行くでもいいし、何らかの勉強がしたいのであれば、社会人を受け入れてくれる大学や専門学校はたくさんあるのだから行くことです。

希望が生まれるメカニズム

意識の世界に生きていたら(つまり頭でっかちに生きていたら)、感覚が死んできます。そしたら、人は自分で自分に絶望するしかなくなります。意識(言葉の世界、つまり頭であれこれ考えること)と感覚(つまり身体を動かしていろんな経験をすること)のバランスが、その人なりにとれたとき、人は、みずから希望を生み出すことができるようになります。

というようなことを、哲学者であるキルケゴールの本をもとに、僕はいま論文にまとめている最中です。論文は来年いっぱいかかるので、何かわからないことがあれば、また相談メールを編集部に送ってください。僕の勉強が進むと、今回ここに書いたことをもう少しわかりやすく説明できると思います。

とりあえず、お互いがんばって生きていきましょう!

(ひとみしょう/作家)

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