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何故、ヘイリー・スタインフェルドは次世代から支持されるのか?。【ジーン・クレールが選ぶVOGUEな女性】

  • 2019.5.27
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何故、ヘイリー・スタインフェルドは次世代から支持されるのか?。【ジーン・クレールが選ぶVOGUEな女性】
2019.05.27 12:00
今回のジーン・クレールが選ぶVOGUEな女性は、ハリウッドのヤングタレント界をリードするヘイリー・スタインフェルドだ。天性のエンターテインメント性を誇る彼女は、22歳という若さながらも、アクティビストとしての一面も持つ、次世代のロールモデルである。米アカデミー賞にノミネートされてから約9年経った今、多方面で活躍する彼女の才能を改めて振り返る。

米アカデミー賞も驚かせた、圧倒的な才能。


人は一目で恋に落ちるもの、というのが私の持論だ。ヘイリー・スタインフェルドを初めて見たときも、私の心にときめきが湧き上がるのを感じた。女優、歌手と類稀なる才能に恵まれたヘイリーは、22歳の若さで、すでに確かなキャリアを築いている。フィリピン系とユダヤ系の血筋を継いでいる点も、同世代俳優にはないユニークな個性だ。


彼女のこれまでのキャリアは、多くの人の心をゆさぶり、勇気を与えてくれる。『ピッチ・パーフェクト』シリーズ(2013〜)や『スウィート17モンスター』(2016)といったユーモア作品ではコメディエンヌとしての才能も開花し、特に後者ではゴールデングローブ賞のノミネートを受けるほどの評価を受けた。


しかし、彼女のブレイクを決定づけたのは、何よりも『トゥルー・グリット』(2010年)のマティ・ロス役だろう。この年のベストとも称賛される、目の覚めるような名演技で、ヘイリーは史上最年少でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたのだ。オスカー賞につきものである、政治的な駆け引きさえなければ、受賞していたのは彼女だったに違いない。

ユニークなアイデンティティーを武器に。


カリフォルニア育ちのヘイリーが演技を始めたのは、10歳の時だった。ショートフィルムやテレビ番組の端役を演じたあと、13歳の時には『トゥルー・グリット』のマティー・ロス役を獲得し、一気にハリウッドのスターダムを駆け抜けた。そんな注目の若手俳優となった今でも特に印象に残っているのが、ロサンゼルスの「ミュージアム・オブ・トレランス(寛容の博物館)」で開かれたアンネ・フランク展でナレーションを務めた仕事だった。彼女の華々しいキャリアの中では地味ながら、とても立派な仕事のひとつとして、ぜひ挙げておきたい。彼女自身もユダヤ系の血を引くだけに、感動的な体験であり、誇るべき実績となったはずだ。

その勢いは止まらない。シンガーとしても活躍。


2015年には、ヒットシリーズの第2作となる『ピッチ・パーフェクト2』(2015)で主役級の役を演じ、演技だけでなくパワフルな歌声も披露した。これをきっかけに、ヘイリーはあるイベントで同席したリパブリック・レコードの重役の目に留まり、シンガーとしてデビューを果たした。


メジャー契約をつかみとったヘイリーは、今度は歌手としてもそのキャリアを開花させていく。デビュー・シングル「ラヴ・マイセルフ」(2015年)で大いに注目を集め、その後はデビュー・ミニアルバム『ヘイズ』(2016年)をリリース。さらに世界的DJのゼッドとコラボした2016年のシングル「スターヴィング」がスマッシュヒットを記録し、音楽界でも着実に実績を積み重ねている。とはいえ、私が彼女の最高傑作と評価している楽曲は、「モスト・ガールズ」(2017年)。彼女のファンだけでなく、ひろく音楽好きの心をつかむ、良質なポップソングに仕上がっている。

エンターテイメントを武器にアクティビストとしても活動。


さらに俳優、歌手としての活動のほかに、彼女が力を入れているのが「ホワッツ・ユア・ミッション?」プロジェクトだ。この活動は、金銭的や身体的など、助けを必要としている人たちをサポートする取り組みで、ポップスターからアスリートまで、複数の有名人が賛同者に名を連ねている。ヘイリーは、自身のエンターテイメント性を武器に、このムーブメントに積極的に関わり、中心人物として活動を続けている。その志の高さには敬服するしかない。献身的な姿勢と才能、どれをとっても、彼女の世代のなかでも最高レベルだ。私がこうした若い世代に注目するのは、彼らこそが、これからの社会を作っていく存在だからだ。



マルチな才能だけでなく、次世代の意見を代表する存在でもあるヘイリー・スタインフェルド。まだ20代前半の若さながら、その何ごとにも真摯な姿勢は、年齢を超えた魅力を備えている。

Text: Gene Krell

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