心も身体も研ぎ澄ませる、セージの神秘

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品の良い柔らかな楕円を描くその葉を千切ると、青くて強い清涼感ある芳香が。囓ってみれば、その香りはより強くほろ苦さと少しの渋みを伴って舌に伝わる…。大昔のヨーロッパの人々は、セージのそんな独特な風味に神秘的なものを感じ「長生きをしたければセージを食べろ」と言われるほど、健康を象徴する薬草として神聖視していました。地中海原産で、ヨーロッパでは昔から脂っこい肉料理や魚料理にすっきりとした風味を加えるために多く用いられてきたハーブで、青みのある清涼感は乳製品とも相性が良く、クリームソースやバターソースに加えても美味しいことから、キッチンハーブとしても楽しまれています。
英語の “sage” には「賢い」と言った意味もあり、名前の由来も「死から救う・癒す」というラテン語から来ている…という、ちょっと只者ではない雰囲気のセージ。食用のものを特に『コモンセージ』と呼び、和名を『薬用セージ』と呼び、和名を『薬用サルビア』と言います。その和名が表す通りサルビアとも近縁であり、咲く花の美しさからたくさんの園芸品種や近縁種のある植物のため、セージの仲間は世界中で儀式に使われてきた歴史があります。
例えば、アメリカ・カリフォルニア州南西部に自生するホワイトセージがもっともメジャーなセージの仲間。葉の白い独特な風貌で、ネイティブアメリカンの儀式の場で焚かれてきた歴史のある伝統的なハーブです。コモンセージ自体も五感を活性化させる作用があると信じられてきましたが、ホワイトセージも同じく感覚を研ぎ澄ますようなスッキリとした強い香りが特徴で、現在でも「浄化をするハーブ」として、自宅で燻して使ったり、使い終わったヨガのスタジオや帰る前のオフィスに焚きしめて空間を浄化するのに使われており、その香りにはやはり、感覚的に神秘的な “なにか” を思わせるものがあることは確かなようです。

他にもセージには抗酸化・抗菌・抗ウイルス作用があることがわかっており、他にも抗アレルギー作用や抗酸化作用のあるポリフェノールの一種・ロスマリン酸やタンニン、フラボノイドが含まれているため、ヨーロッパの薬草学ではのどの痛みや口内炎、歯肉炎などの治療としてセージティーを呑んだり、セージティーでうがいをすることを薦めています。歯磨き粉ができる前は「歯を白くし、歯茎を丈夫にする」と言われていたため、葉を噛んだり歯や歯茎をこすって清めていたとも言われています。
また、肌を引き締める収れん作用や発汗を抑える作用があるため、肌をさっぱりとさせたい時のスキンケアに最適。民間療法や伝統療法では月経痛にも良いとされ、ホルモンバランスを整えると言われるため、月の満ち欠けや生理周期に合わせて飲むハーブティーの種類を変えるように、スキンケアも新月に向かうデトックスの時期には、セージのアイテムを使うなど使い分けるのも良いかもしれません。

お願い事さえ叶えてくれそうなほど、神秘のエナジー満ちる可憐な薬草。

Sage

料理の風味を引き締め、臭みを中和するのに使うだけでなく、精神的にも肉体的にも「研ぎ澄ませる」という言葉がぴったりなセージの効能。集中したい時やここぞという時には、精油をアロマランプに少量垂らしてみたり、先述のホワイトセージを焚いてみるのもいいでしょう。ただし、セージの主成分であるケトン類のツヨンは大量に摂取すると神経毒性、麻痺性などを引き起こす成分。おそらく儀式の時はたっぷり使って、陶酔気分を味わうためにも使われていたほどですから、妊婦はもちろん、通常時にも大量摂取は禁物です。
それでも「女性のためのハーブ」と呼ばれることの多いセージ。ぜひ、上手に使いたいものです。