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ファンタジーが詰まったMETの展覧会「キャンプ」を早速レポート!

  • 2019.5.11
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ファンタジーが詰まったMETの展覧会「キャンプ」を早速レポート!
2019.05.11 12:00
メトロポリタン美術館コスチュームインスティテュート主催の服飾展覧会「キャンプ:ファッションいついてのノート(Camp: Notes on Fashion)」がいよいよ開幕した。シュールな中に究極のファンタジーを感じるモードな作品が詰まったこの展覧会。早速その様子をレポートする。


ここ数年、メトロポリタン美術館の服飾展企画は美術館全体を通しても非常に人気が高く、展覧会の開催に合わせ開催される壮大なスケールのガラパーティーは、ゲストの顔ぶれ、その衣装など、どれをとってもパーティー・オブ・ジ・イヤーと称されるほどの豪華絢爛さだ。ドキュメンタリー映画「メットガラ(2016年製作、日本では2017年公開)」にもなったので記憶にある方も多いに違いない。


ガラパーティーは毎年、5月の第1月曜日の夜と決まっているが、展覧会はその午前中、一般公開に先駆けて開催されるプレスプレビューが世界初公開の場となる。各国から集うプレス関係者はもとより、展示作品のデザイナーたちにとっては、自分たちのクリエーションが“アート”として世界3大美術館のひとつに飾られる名誉というのもあって、今回メインスポンサーとなったグッチのアレッサンドロ・ミケーレをはじめ、多数の作品がピックアップされたモスキーノのジェレミー・スコット、そして2月にニューヨークでセンセーショナルなデビューをしたばかりのトモ・コイズミの小泉智貴らもプレビューに駆けつけた。


展覧会は艶やかなピンクの壁を基調としたルームから始まり、フィナーレは虹のようにカラフルなブースがずらりと並ぶ大きな展示会場へといった流れ。レインボーカラーといえば今回のテーマ「キャンプ」の元となったスーザン・ソンタグのエッセイ「Notes on Camp(1964年)」の美学にも共鳴してきたゲイコミュニティの象徴でもある。


ファッション業界は伝統的にゲイカルチャーにはもっとも柔軟であり、彼らの自由で、時にユーモアや皮肉もあり、そして何よりドリーミーでファビュラスなアイディアは、歴史的にもファッション分野のクリエーションにおいて、なくてはならない存在となり続けてきた。今回展示された実にカラフルでゴージャスなデザインの作品の多くは、ゲイのデザイナーたちによって作られたものであり、ショーや雑誌の撮影の現場などではヘアメイクやスタイリスト、エディターなどといった職種でもゲイ、そしてLGBTQたちが活躍してきた。


そして夜のメットガラでは、美術館前の大階段に敷かれた“ピンクカーペット”の上でLGBTQはもとより、様々な体型、肌色のゲストたちが自分たちのアイデンティティを最大限に礼賛し、そしてファッションを楽しもう! という意気込みの感じられるダイバーシティに満ち溢れたドレスアップの競演が繰り広げられた。彼ら、そして彼女たちの偏愛とも言えるファッションにかける情熱は、最近のマーケットでは忘れられがちだったことでもある。ここ数年、スポーティでカジュアルなトレンドが席巻していたが、「そんな貧乏臭い格好していたらダメよ! ダーリン」というメッセージが伝わってくるようだ。


ガラに出席できるのは一部のゲストだけではあるが、展覧会場にはまさにガラのゲストたちが着用するためにデザインされたコスチュームの“全て”があるといっていい。たった一晩のパーティーのためだけに最高の素材や超絶的な技巧を凝らし、究極のファンタジーを追求したクリエーションの数々。それはまさに世界最高の美術館で鑑賞するにふさわしい“アート”に他ならない。

Photos & Text: Akiko Ichikawa Editor: Maki Hashida

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