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離婚したら不倫相手は私と再婚してくれるでしょうか?【ひとみしょうのお悩み解決】

  • 2019.4.13
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“【お便り募集】文筆家ひとみしょうさんにあなたのお悩み解決してもらいませんか?”にお悩みを送ってくれた方の中から、ピックアップしてひとみしょうさんが解決していきます。

〜「リリさん 41歳」のお悩み〜

はじめまして。私には結婚14年目になる夫と2人の娘がいます。セックスレス4~5年。わたしは美容師をしていますが、2年くらい前から同じ職場の9歳年下の男性とよく食事や飲みに行くようになり…ちょうど1年前から体の関係を持ちはじめました。

私はどんどん彼に惹かれていくのですが…彼には結婚願望があり「早く結婚したい」「子供も欲しい」と私の気持ちを知りながらよく言ってきます。「○○さん(私の名前)は結婚もして子供もいて、俺にないものを全部持っているのにずるいよ。欲張りだよ」と言われます。それでも「好きですよ」と言ってはくれますが、そこに恋愛感情があるのかはわかりません。 そして彼は鬱を患っており、会社内では殆ど知りません。私はそんな彼の支えにもなりたいと思っています。

彼は、私に依存してると言ってくれました。でもきっとそれは、私という存在が、悩みを聞き、甘え、気持ちを落ち着かせることのできる存在であるだけなんでしょうね。 9歳という年の差も気にならないといえば嘘になりますが、40歳を過ぎてしまった今、どことなく焦ってしまう自分もいます。

もし離婚できるとするなら、彼は私の元に来てくれるのでしょうか?

〜ひとみしょうさんのお悩み解決コラム〜

あなたが離婚しても、彼はあなたと結婚しないでしょうね。ふたりの関係が続くとすれば、結婚というカタチではない、何か別のカタチで続くでしょう。

僕はわりと鬱っぽい人に好かれるんですが、鬱っぽい人って、メンタルが弱いだけではなく、往々にして体も弱いんですよね。その体の弱さをわかれと言われても、想像はできても、究極的には理解できないでしょう?リリさんも心身ともに健康であれば、そうですよね。男性に対して、女性が、生理の痛みやつらさを理解しろと言っても、それは想像できたり同情できたりしても、真に「理解」はできないでしょう?それと同じです。

結婚は同情でできるかもしれないけど、結婚生活は同情だけでは成り立たないのだから、リリさんと彼は、結婚というカタチではない、なにか別のカタチになるように思います。

現状維持という選択肢もある

というのが、僕の基本的な考え方です。あとは、リリさんが彼に対してどれくらい同情しているのか(あるいはしていないのか)、というのと、同情を抜きにしてどれだけ純粋に彼のことを愛しているのか?というのが問題になってくるだろうと思います。

でも思うんですが、そんなこと誰にもわからないですよね。リリさんだって「私は彼に2割くらい同情していて、あとの8割は純愛です」とかって言えないですよね。そもそも同情と純愛の境目ってどこらへん?

9歳下の男子が甘えてくるとかわいいと思うし、もっと甘えさせてあげたいし、彼の気持ちをもっと理解してあげたいと思うのであれば、今の関係のままでいいのではないかと、僕は思います。なぜならそれらは、結婚しないとできないことではないから。結婚しなくてもできることだから。

リリさんが今の旦那さんとセックスレスで、それに耐えれないということであれば、彼とエッチしていればよく、それだって結婚しなくてもできることですよね。

なので、相談メールだけから判断するなら、結婚する必然性がどこにもないから、べつに結婚というカタチにこだわる必要性もどこにもない、としか言えないです。

今の結婚生活がなんとなくイヤで、鬱っぽい彼がリリさんとの結婚を望んでいるから、今の旦那さんと別れて彼と結婚したいということであれば、なおさら結婚する必然性や必要性が見えてこないんですよね。「彼となら今より素晴らしい結婚生活になるだろう」という、甘美な推測から生まれた「もし離婚できるとするなら、彼は私の元に来てくれるのでしょうか?」という問いに見えてくるんです。

ふたりの関係を「担保するもの」は何?

人生って、究極的には偶然性と奇跡性でできていると僕は考えています。なぜ、ほかの時代(江戸時代とか)ではなくこの時代に、火星など他の惑星にではなくこの地球に、自分という人格をもった人間が「わたし」として存在しているのか?と考えたとき、そんなの偶然に生まれた、奇跡的にも生まれた、としか答えようがないじゃないですか。だから、僕もリリさんも、奇跡的にも、偶然、今、この地球にいて、さらに偶然にも奇跡的なことに、リリさんは僕の存在を知り、こうやって文章を通して会話している、ということですよね。

リリさんと彼との関係も同じはずです。奇跡的にも、偶然ふたりは出会い、惹かれ、付き合うようになった、ということですよね。その偶然性と必然性とを担保するものが、相談メールからは見えてこないんですよね。

今この地球に生きている偶然性と奇跡性は、苦しみというものが担保していると僕は考えます。生きることって苦しいじゃないですか。結婚しているにもかかわらず、誰かのことを好きになったり、生活費を稼ぐべくこうやって原稿を書かなくちゃならないし、必死に書いた原稿が掲載されたら、なぜか偶然にも(?)クレームのメールが来ることがあるし、その対応もしなくちゃならないし。そういう「苦」が、生の偶然性と奇跡性を担保していると僕は思います。だから私たちは、苦を苦と認識している限りにおいて、生の偶然性と奇跡性をおおいに楽しむ権利を持っている――僕はこう考えます。

リリさんと彼との関係も同じだと考えます。偶然、奇跡的なことにふたりは出会い、惹かれあった。その喜びを十分享受しようと思えば、それを担保するものが必要で、それはリリさんにとって何?というのが、相談メールからは見えてこないんですよね。ただただ、年下の、甘えてくる彼が好き、としか読めないんです。

鬱の人を限りなく愛そうと試み、それに敗れた経験から僕が思うこと

100歩譲って、好きがこうじて結婚したいのであれば、そうするのは誰にとっても自由だ、という前提に立った場合、さて、鬱の彼がどう出てくるか、が問題ですよね。

僕の経験からいえば、鬱の人って、結局、土壇場で逃げるんですよね。理由は鬱だからです。彼/彼女が、究極のところで逃げるのは、彼/彼女が卑怯だからではなく、その持病ゆえである(だから彼/彼女の逃走は、好意的に見るべきだ)、というのが、僕の見立てです。

彼が土壇場で逃げてもいいから、彼との恋に(愛に)掛けるのか(=今の旦那さんと離婚するのか)、結婚する必然性が見当たらないからとりあえず現状維持でいくのか?

僕は時間にその選択をさせるといいように思います。時がその流れの中で、自然と浮かび上がらせてくる答えというものがあることくらい、リリさんもわかっていますよね。その答えを、じっと待つ――そういう「強さ」を持つことも、彼を愛するうえで大事じゃないかなと思います。

鬱の人を限りなく愛そうと試み、それに敗れた経験から、僕はこう思います。

(ひとみしょう/作家)

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