1. トップ
  2. 恋愛
  3. ノリのいい不倫相手のホンネを気まずくならずに知る方法?【ひとみしょうのお悩み解決】

ノリのいい不倫相手のホンネを気まずくならずに知る方法?【ひとみしょうのお悩み解決】

  • 2019.4.10
  • 14145 views

“【お便り募集】文筆家ひとみしょうさんにあなたのお悩み解決してもらいませんか?”にお悩みを送ってくれた方の中から、ピックアップしてひとみしょうさんが解決していきます。

〜「ららさん 37歳」のお悩み〜

しょうさんこんにちは。いつも男性目線でスッと心に落ちてくるコラムを楽しみにしています。

私は既婚で、先日会社の上司(既婚者)と半年前に知り合いました。会社の飲み会後一緒に帰ったとき手を繋がれ別れ際にキスされ、それ以降わたしは彼のことを意識するようになりましたし、2人で飲みに行くようになって今に至っています。

でも告白とかお互いの気持ちを確認しあったことがなく、彼の言動にモヤモヤさせられたりすることも・・・。 一見飄々としてる彼ですが、2人の時は普段とは違ういい感じのお店に連れていってくれたり、対応も色々考えてくれるのを感じますし、連絡も毎日ではないですが取り合えています。

ただ彼はお酒大好きで、仕事後は毎日飲みに行って深夜~明け方帰り、遊びも好きでワイワイした雰囲気とかだとテンション上がってノリも軽くなってるように感じます。

一緒にいるときはそんな雰囲気でも気遣ってくれますが、元々性的な表現も多くて、性的に好き、エロい、触りたい、などと言われています。

お互いスキンシップやセックスも楽しめてるとは思いますが、本音だったら嬉しい言葉も、勢いとかノリなのかもって思ってしまったり、性的な話ばかりになってくるとなんとも言えない気持ちになるときもあります。会いたいときに会って、言いたいときに言いたいこと言って、エッチしたいときにできればいいのかなぁと。食事はご馳走してくれることが多いですが、お礼をいうと「じゃあ、エッチしよう」っていう反応も多いです。

ただ最近、しょうさんのコラムを読んだりして、自身でもそれだけではないのかなぁと思うようにもなりました。 わたしが家庭優先にしなきゃいけないと思っているのと、重いと思われたくないのもあって、飲みに誘うのは私からが多いものの、自分の気持ちはあまり表現できていないかもしれません。 彼に泊まろうとか一緒にいたいと言われても必ず帰っていますし、どこどこで飲んでるとか待ってると言われても帰宅後はもちろん時間によっては行けないですが、寂しいと思わせてるのかなと思ったり、LINEも深夜や夫といるときだとタイミングがなく返信しないことがあるのに、いざ自分が既読スルーされると彼にも事情あるだろうし返信の必要を感じてないだけかもしれないのに気になってしまうんですよね。

少し前に旅行に行こうと言われ、行きたいと伝えていますが、2人きりになれるタイミングがとれなかったり、彼が本気で言ってるのかわからず今度話せる機会にと思っていました。ただ最近、旅行ほんとに行けるの?と聞かれ、そのときは周りに職場の人もいたので答えようがなかったのですが、以前別のお泊まりに誘われたとき夫のことを考えて断ったことがあり、もしかして色々気にさせてしまってるのかも、とも思ったんです。

他にも「旦那とのセックスも気持ちいいんだろうけど、俺もすっごい気持ちいいと思ってる」と言われ、彼は酔っぱらっていたし微妙な発言でなんかもう体しか興味ないのかなと思ってしまったんですけど、実は彼なりのアピールだったのかなぁと・・・。うぬぼれや勘違いかもしれませんが、お互い一緒に過ごす時間が心地よくて大切にしたいと思っているなら、もう少しわたしも自分の気持ちを伝えた方がいいのかなとも思い始めました。

でもいつか別れると思っていますし、お互いわかりあうとか、うまくいきたいって難しいかな?とか、彼は自由な雰囲気だったり、性的な雰囲気のときも多く、めんどくさいと思われたら関係が終わるかも、と悪い方に考えてしまいます。仕事でも関わりがあり、とてもお世話になっているので気まずくなりたくないのもあります。

かなり長文になってしまいましたが、もしなにかコメントいただけるような機会があればうれしいです。

〜ひとみしょうさんのお悩み解決コラム〜

ノリのいい、というか、ノリの軽い男って、恋愛において不利なんだよなあ、というのが、最初の読後感です。ノリのいい男の人って、じつは繊細でやさしいハートを持っているのだけど、男としてどんなに相手の女性のことを気づかっても、女性に「この男の人はノリがいいな」思われてしまえば、結局「彼の真意はどこにあるの?彼はホントに私のことが好きなの?いつか私は彼に重たいと思われて振られるんじゃないのかな?」などと思われちゃうんですよねえ。

彼の心の中ってこんな感じ

ノリがいい男性とか、お酒が入るとエロくなる男性って、自分の本心を相手に伝えるのが恥ずかしいからそうしている、ということがあります。恥ずかしいというのは、少年のようなガラスの恋心を持っているのが彼女に(つまり、ららさんに)バレるのが恥ずかしいというより、「超マイナーな感覚をもって生きている自分の、その超マイナーな価値観を表に出すのが恥ずかしい」んですよね。

ららさんの彼がどのような価値観を持っているのか、知る由もないけれど、一見ひょうひょうと見える男の人って、なにか自分独自の価値観を持っているし、その価値観はきっと、独自性がありすぎて世間の人に理解してもらえないようなものではないか?と、僕は思っています。だから、一見クールに振る舞うのだし、だから<彼は酔っぱらって><微妙な発言>をするし、だから、ららさんが<もう体しか興味ないのかなと思ってしま>うんですよ。

あなたと彼との「正しい関係」とは

なので、不倫だからどうとか、エッチがどうとか、先のことうんぬんはさておき、彼が心の奥底に持っている(そう簡単に表に出せない)価値観とは、どのような価値観なのかを、まず知るように努めてみたらどうかなと思います。

それは彼にとって、きっと奥さんにも恥ずかしくて見せることのできない価値観だろうと思います。彼の心の奥底にずっと存在し続けているその価値観は、ときどき彼の心を蹴って、表に出たいと言っているのだと思います。

だから、彼がお酒を飲まずに、いつでもららさんの前ですっとその価値観を出せるように導いてあげることが、ららさんの仕事です。それができれば、ふたりの関係は、ちょうどいいところに収まるでしょう。

ちょっとむずかしいので、このパラグラフは読み飛ばしてくださっても

ちなみに、恥ずかしくて奥さんにも見せることのできない価値観って、僕はわりと多くの男性が持っていると思っています。

たとえば「なぜ僕は僕として生まれてきたのだろう」という問いを、子どもの頃からオトナになった今でも、ずっと胸に抱え続けている人がいます。「お父さんとお母さんがセックスしたから」は、この問いの答えにはなりません。それは「僕が生まれてきた理由」であって「僕が僕として生まれてきたのはなぜか」ということについて答えていないから。

こういう考え方は、哲学の世界では独我論(唯我論)として、昔から存在しているらしいのだけど、でも、そういう疑問を持っている多くの人は(ほぼ全員は)、そういう疑問を持っているとは言わないですよね。だから独我論という言葉は超マイナーです。人知れず「なぜ僕は(私は)、僕として(私として)生まれてきたのだろう。僕は(私は)、蚊として生まれてきたのかもしれないし」と、切実に思っている人は、確実にこの世にいるにもかかわらず!

でも、それを友達に言っても、問いの意味すら理解してくれない、だから誰にも言わなくなった――こういう人って、たとえば大学の哲学科にいますが、でも哲学科にいる人の多くは、この疑問を(独我論)を、自分の言葉で語れないんですよね。自分にとって適当と思える言葉を見つけるのと、一般的な独我論を理解するのとは、また別のことだから。

きっと何かが「いい方向に」変わるはずです

つまり、自分独自の(おいそれと他人に言えない)価値観って、それを理解してくれる理解者を求めており、その人に自分の価値観を自分なりに精一杯説明されたがっています。つまり、ららさんの彼氏は、ららさんによき理解者になってもらいたがっているのではないか、と、相談文を読みながら、僕は感じました。

彼はチャラくてエロくて、みんなでお酒を飲んでバカ騒ぎをするのが好きな男ではなく、自分のことを手持ちの言葉で他人に説明できない人なのかもしれない。手持ちの言葉で説明できない価値観を持っている人は、説明可能な言葉を求めてさまよいつつ、でも人生に軽く絶望していてチャラっと、エロく、酒場に頻出するんです。

もっとも、彼が「哲学を持っている男」なのか、「哲学を持っているふりをしている男」なのかは、相談メールからだけではわからないので、もしかしたら「持っているふり」をしている彼かもしれないけれど、でもね、男って、おいそれと他人に言えない価値観を持っているから不倫するんですよね。

不倫を道徳的視点からしか見ない人(不倫=悪と決めつけて、それゆえ不倫について考察するだけでも怒る人)は、それがわかっていないんですよね。

おそらく、ららさんと彼は、そう悪い方向にはいかないと思うので、ネガティブになることなく、彼の心の奥を捉えるように意識してみてください。きっと何かが「いい方向に」変わるはずです。

(ひとみしょう/作家)

元記事で読む
の記事をもっとみる