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付き合おうという言葉なくズルズル一緒にいるふたりの未来とは?【ひとみしょうのお悩み解決】

  • 2019.4.2
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“【お便り募集】文筆家ひとみしょうさんにあなたのお悩み解決してもらいませんか?”にお悩みを送ってくれた方の中から、ピックアップしてひとみしょうさんが解決していきます。

〜「ぐりんさん 23歳」のお悩み〜

もう離れなくてはいけないと頭では分かっていてもどうしても会い続けてしまう同じ歳の男性がいます。その人とは、21歳の大学4年生の時に出会いました。

当時住んでいた家が近かったということもあり、頻繁に遊ぶようになり、身体の関係も持ってしまいました。その後も週に何度か会う関係を続け、クリスマスや誕生日、バレンタインなどイベントごとも一緒に過ごしましたが、付き合っているのか怖くて聞けませんでした。

ただ、社会人になる直前に毎日やり取りをしていたラインが来なくなりました。これで終わったんだと言い聞かせ、もう会うのをやめようと思っていましたが、社会人になった4月にまた連絡がきたのです。相手が新居に引っ越すこととなり、そのお手伝いで再び会うことにしてしまいました。

それからは、お互い会いたいときに連絡を取り合い、ご飯にいったり、出かけたりするときもあればしない時もあります。ただイベントごとに会うことはやめました。一度、付き合うということに対してどう考えているのか、気になり、「今誰かに告白されたら嬉しいか」聞いたこともあります。それに対して、彼は「以前5年付き合っていた彼女がものすごく束縛の激しい子で、その子といるうちに自分まで相手を縛るようになって辛かったし、もう戻りたくない。結局彼女に浮気されて別れたけど、付き合うっていう言葉は今更必要なの?結婚を考えていないわけでもないし、この人!と決めたら伝えるだろうし」と言われてしまいました。

たしかにご飯に行ったときなど、彼が吸ってたたばこの名前を間違えてしまっただけで、だれと間違えてるの?など異常に聞かれたりすることが多く、私は彼しか見ていないのに疑われるのが悲しくなることもありました。ただこれ以降好きだと伝えたら終わってしまうのではないかという気持ちが強くなりました。会えば会うほど好きになってしまうのですが、どんどん欲張りにもなります。もっと前みたいに連絡を取りたいとか、直前ではなくて前もって会う約束をしたいとか、他にも女の子がいるんだろうかとか、自分でも感情が追いつきません。彼の友達に会わせてもらったり、何気ない言葉に期待を見出しては、まだ可能性があるのではないかと思ってしまいます。今年のクリスマスの3連休、勇気を出して誘ってみたのですが、全部予定が埋まっていると言われてしまいました。

普段ならそこまで引きずらないようにするのですが、今回は現実を突きつけられた気がしてズルズル引きずっています。どうしても手放したくない気持ちと、もう離れるべきなのか、最後くらい気持ちを伝えてもいいのかなど、色々な気持ちが堂々巡りしています。この恋の正解は何でしょうか。長文でごめんなさい。是非アドバイスをください。よろしくお願いします。

〜ひとみしょうさんのお悩み解決コラム〜

ぐりんさんが気を悪くされたらごめんなさいですが、相談メールを読んだ後、僕は彼のことを卑怯な人だなあと思いました。もちろん男として、彼の気持ちもわからなくはないんですよ。5年付き合っていた元カノが束縛の激しい人で、しかもその彼女に浮気されて別れたという経験があれば、どうしても恋愛を素直に見られないでしょうから、付き合おうという言葉を言いたいけど言い出せないのも、なんとなくわかるんですよね。相談文の流れから、彼は結婚を前提としたちゃんとした交際をしたいと思っているマジメな人なんだろうなあとも思うんですよ。

でも彼は卑怯です。自分が傷つくことを恐れているのみで、あなたの気持ちに対する配慮に欠けるからです。

彼の恋愛観って、こんな感じ?

たぶん彼は元カノとのことがトラウマみたいになっているのだろうと思います。5年付き合って別れたということは、きっと彼と元カノは高校生くらいから付き合い始めたのかな。

高校生の頃って、すごく感受性が強い時期だから、相手の何気ない言動でこの世が終わってしまうかのような暗澹たる気持ちになるし、反対に、エッチのすばらしさ&気持ちよさにこの世の春を謳歌することもありますよね。ありましたよね。

大人になれば、彼女の何気ない言動をスルーする術も覚えるし、スルーしないでいつまでも「傷ついた」と言い立てることのみっともなさもわかるし、エッチのすばらしさを特段声高らかに歌おうとも思わなくなるけど、高校生の頃って、なんか、今から思えば些末と思えることに一喜一憂していましたよね。

彼もきっとそんなふうに、高校生の頃は、ものすごく感受性豊かなガラスのようなハートで恋愛していたのだろうと思います。しかも5年間もその彼女といたわけでしょ?そしたら彼にとって恋愛とは、その元カノがすべてなんですよね。束縛されたりしたりする関係はどこかしらおかしいと思っていても、「それしか知らない」から「それでふつうに思えてくる」んですよね。

しかたのないこと?やっぱり卑怯?

そういうのはある意味しかたないことなのだろうと思います。いつまでも、と言うと彼に失礼かもだけど、いつまでも元カノとのことを引きずって、いま目の前にいるあなたのことを素直にまっすぐ見られないのは、ある意味でしかたのないことかもしれない。

元カノが束縛する人だったから、彼も束縛する人になってもしかたないのかもしれない。あなたが彼のタバコの銘柄を間違うと怒ってもしかたないのかもしれない。あなたが言葉で「付き合おう」と言ってもらいたいと思っているにもかかわらず、恋や愛が怖くて、それを言わない彼には、ある種の正当性があるのかもしれない。

でも、過去と現在をごっちゃにしているから、彼は卑怯です。元カノの影を、あなたという真新しい相手に投影してしまっているから、彼は卑怯です。

23歳くらいの恋愛とは

23歳くらいの恋愛って、自分探しみたいなものだと僕は思います。高校生の痛い恋愛から立ち直る途中に、偶然新しい誰かに好かれて、なんとなく一緒に寝るようになって、なんとなく一緒に食事をするようになって……でも社会人になったら学生のときとは比べものにならないほど広い世界を知り、そこでまた生きていく自信を失い、同時に広い世界に羽ばたきたいと強く願うんですよね。

とくに女子は、大学生から社会人になると、付き合っている彼氏が色あせて見えてくるんですよね。就職したら、同い年くらいの彼とはちがうオトナのかっこいい男性がそこここにいるし、そういう人がチヤホヤしてくれるしね。

だからふつうは、大学生から付き合っているカップルは、社会人になると、彼女から彼に別れを切り出しますよね。学生時代から付き合っている彼と29歳で結婚しましたという女性は、彼に内緒でつまみ食いしてたりするしね。彼の学歴と勤務先とルックスと性格のすべてが好きで結婚したい……でも、社会人になってはじめて知ったステキなオトナの男性とも、彼氏に内緒でちょっと遊びたい……みたいな女性もいますしね。

反対に、学生時代から付き合っているふたりが、社会人になって別れるケースは、恋愛的なことが原因で別れるというより、ふたりの人生における目標がちがってきたから別れるというケースが多いんですよね。

この恋の正解は

あなたが彼のことしか見ていないにもかかわらず、タバコの銘柄を間違ったあなたに、彼が「誰と間違えているのか」と怒り、あなたが哀しくなったときに、すでにふたりの関係は終了していると僕は思います。だって、そんなのあんまりじゃないですか。ひどすぎる話ですよ。

あなたというまっさらな彼女を、元カノというメガネを通してしか見ることのできない彼は、だから卑怯だと言ったのです。

この恋の正解は「彼とお別れして、新しい彼氏をつくる」です。

あなたはなかなか心がきれいな女性です。彼と別れると、ほどなくして、まっすぐしっかりとした足取りで人生を歩いているオトナの男性に見初められるでしょう。見初められたときが、あなたの人生の本番が始まるときです。

彼との恋は、学生時代のあいまいな、淡く切ない思い出としてリボンをかけて、あなたの心のなかの倉庫に眠らせておくといいでしょう。

(ひとみしょう/作家)

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