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人工クモ糸のスパイバー、次は“カツラ革命”

  • 2019.3.19
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人工クモの糸で知られるスタートアップ企業のスパイバーはアデランスと共同で、新しい人工毛髪素材の研究をスタートした。人工毛はこれまでナイロンやポリエステルなどの合成繊維などが使用されてきたが、スパイバーの人工タンパク質素材を使うことで、ウィッグでも通常の毛髪用のヘアカラー剤やパーマ剤なども使用できるようになるという。両社は2年後の2021年の商品化を計画する。

スパイバーはこれまでゴールドウインとスポーツ・アウトドアウエア「ムーンパーカ(MOON PARKA)」を、源馬大輔・源馬大輔事務所代表をアドバイザーにカシミヤ代替素材を、トヨタなどの自動車メーカーとドアパネルなどを開発してきたが、関山和秀スパイバー取締役兼代表執行役は、「起業したばかりのころ、祖父と母が相次いでガンになり、母は抗がん剤治療で髪の毛が抜けて苦しんだ。アデランスの津村佳宏社長からオファーを受けたときに、自分たちにもそうしたヘアドネーション(髪の毛を寄付すること)のようにできることがあるならと快諾した」という。

アデランスは、自社で使用する人工毛に関して研究開発から生産までを一貫して行っており、フィリピンで年間9.6トン、タイで3トンのナイロン製の人工毛を生産している。アデランスの津村社長は、「実はわれわれも10年以上前からタンパク質を原料にしたウィッグ素材の開発に取り組んできたが、どうしても強度の面をクリアできなかった。5年前に一度、そして昨年もう一度オファーして共同開発にこぎつけた」という。スパイバーが原料になる人工タンパク質素材の開発と生産を、アデランスが自社工場で紡糸以降の人工毛生産を行う。ナイロンは空気中で高分子が安定する溶融紡糸法だが、スパイバーの人工タンパク質素材は紡糸法が異なるため、紡糸工程のみ新たな生産設備が必要になるが、投資額は小さくて済むようだ。

両社は、スパイバーが現在タイで建設中の人工タンパク質の量産工場の稼働後の商品化を目指す。

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