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茶室を思わせる、京都御所南のカフェで、幻の甘味〝すはま〟を堪能

  • 2019.3.3
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2018年11月、京都御所のほど近くに小さなカフェ「すはま屋」がオープンしました。名前通り、煎った大豆を粉にして水飴や砂糖とともに練り上げた和菓子「洲濱(すはま)」を販売するお店です。実はこのお店、京都でちょっとした期待を背負って誕生した注目のお店なのです。その理由を見つけに訪れてみました。

茶室を思わせる、京都御所南のカフェで、幻の甘味〝すはま〟を堪能
茶室を思わせる、京都御所南のカフェで、幻の甘味〝すはま〟を堪能
老舗の味がカフェで復活
茶室を思わせる、京都御所南のカフェで、幻の甘味〝すはま〟を堪能
ガラス扉で明るく入りやすい雰囲気

地下鉄・丸太町駅から徒歩3分、丸太町通を西にまっすぐ進んだところに「すはま屋」はあります。目印は歴史を感じさせる「すはま」と書かれた小さな看板。

茶室を思わせる、京都御所南のカフェで、幻の甘味〝すはま〟を堪能
元のお店の看板をそのまま受け継ぐ

扉を開けると、看板の雰囲気とは対象的なナチュラルな雰囲気のカフェが広がります。販売スペースとテーブル4卓のみというミニマムな空間ながらも、どこかお茶室の気配を連想させる洗練されたスペースです。

茶室を思わせる、京都御所南のカフェで、幻の甘味〝すはま〟を堪能
お店の奥にはつくばいもあり、お茶室の雰囲気を味わえる

店内をよく見渡すと、壁に年期の入った札が掛けられていることに気がつきます。実はこちらのお店、元々は360年の歴史をもつ洲濱の老舗「植村義次」があった場所。ご主人が高齢のためお店を続けることが難しく、数年前に惜しまれつつお店を閉めたのです。そこで立ち上がったのが、現在の店主・芳野綾子さん。伝統のお菓子・洲濱とコーヒーをともに味わえるカフェを開きました。

茶室を思わせる、京都御所南のカフェで、幻の甘味〝すはま〟を堪能
「植村義次」の店内にあった札。「春日乃豆」との商品名が書かれている

茶道家元教授の家に生まれた芳野さんは、毎年初釜の時に使われる「植村義次」の洲濱が幼い頃から大好物だったのだそう。閉店が決まった後も「次の初釜でも洲濱を出したい」と願い、ご主人に相談。結果、レシピを教えてもらえることになったのです。「自分がまた洲濱を食べたいという思いだけで、最初はお店を始めようとは思っていなかったんです」と芳野さん。ですが、お店を始めてみると、「植村義次」の味を愛してやまなかった昔からの常連さんたちに大変喜ばれたと言います。

ごまかしの効かないシンプルで懐かしいお菓子
茶室を思わせる、京都御所南のカフェで、幻の甘味〝すはま〟を堪能
どこか懐かしいほっとする素朴な味わいの「洲濱」

「洲濱」とは、きな粉より少し浅めの大豆粉と水飴、砂糖のみを使って練り込んで仕上げる竿菓子のこと。材料も作り方もシンプルがゆえにごまかしが効きません。気温や湿度によって水分量が変わるため、その調整が難しいのです。ちなみに黄色と緑で表現された独特なかたちは浜辺の入り込みをモチーフにしたもので、古くから結婚式などで使用される飾り台「洲浜台」にも使われる縁起のよい文様なのだそう。

茶室を思わせる、京都御所南のカフェで、幻の甘味〝すはま〟を堪能
ドリンクにさりげなく添えられた「春日の豆」がうれしい

洲濱2切れとドリンクがセットになった「洲濱セット」(648円)は、珈琲・紅茶・お抹茶から好きなドリンクを選ぶことができます。おすすめは、京都・北山の人気店「サーカスコーヒー」の豆を使った珈琲との組み合わせ。洲濱ならではの大豆の香ばしい風味やかすかに残る砂糖のシャリシャリとした食感が、すっきりとした味わいの珈琲とよく合います。イートインメニューはほかに「チーズケーキセット」(864円)もあり、芳野さん手作りのしっとりとしたベイクドチーズケーキが味わえます。

茶室を思わせる、京都御所南のカフェで、幻の甘味〝すはま〟を堪能
「春日の豆」とは、お店がある丸太町通がその昔「春日通」と呼ばれていたことに由来

「洲濱」のお持ち帰りは2日前までに予約が必要ですが、かわいらしいそら豆をかたどった「春日の豆」(702円)は当日でも購入できます。ひとくちサイズの生地がうっすら砂糖をまとっているので、「洲濱」とはまた違った口あたりを楽しめますよ。

どこか懐かしい味を求めてお店に立ち寄ってみませんか?

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