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ユナイテッドアローズが試着のシェアアプリ 真の狙いは店頭接客のデータ化

  • 2019.3.1
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戦略コンサルティング会社のシグマクシス(SIGMAXYZ)とユナイテッドアローズ、博報堂DYメディアパートナーズの3社は試着画像のシェアアプリ「フィットム(fitom)」を開発、3月1日付で同名の合弁会社を設立した。「フィットム」はお客の店頭での試着画像とECサイトでの購買を結びつけるアプリで、5月上旬の提供開始を計画する。これまでデータ化が難しかった購入前のニーズ情報を、“試着”で店舗とECに結びつける。店頭接客に情熱を注いできたユナイテッドアローズならではの発想で、新しいファッションビジネスのプラットフォーム化を狙う。

資本金は1億円で、社長にはシグマクシスの安藤望プリンシパルが就任。出資比率はシグマクシス39%、ユナイテッドアローズ34%、博報堂DYメディアパートナーズ27%になる。初年度で100万ダウンロード、5年後に1000万ダウンロード、流通額1000億円を目指す。

「フィットム」は商品のリアルなスタイリング画像を求めるネット通販の顧客と、店頭でのお客の試着画像を結びつけるアプリ。試着画像の提供者にはリクエストの数に応じて画像提供に対するインセンティブ(フィットムポイント)が付与される。「フィットム」で閲覧できる商品画像はECサイトと連動し、アプリの提供開始時にはユナイテッドアローズの主力ブランドのほとんどが参加するという。

アプリの開発に関わり、新会社の執行役員に就任するユナイテッドアローズ経営企画チームの村上悠氏は「ユナイテッドアローズの店頭だけでも年間で1億人の入店があり、800万回の試着がある。一方ネット通販で最大のネックは試着ができないこと。この2つをうまくつなぐことで、新たな購買を喚起できる」と語る。

同アプリの最大のポイントは、これまで分断されていたECと店頭での接客や試着などの顧客の動態を、データとして蓄積・統合し、将来的な購買や商品開発とつなぐこと。「店頭で販売員がコーディネートを組んで試着したとしても最終的に通販サイトで購入する、ということも少なくない。また、試着というプロセスは購入という最終結果以上に、購買する前の検討という一番欲しい情報とも言える。アプリには接客した販売員の情報を入れられる機能もあり、店頭での接客価値を最大化することにも取り組みたい」という。

ユナイテッドアローズは同業にも同アプリへの参加を呼びかける考えで、年内には数社が参加を検討しているという。

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