日本にある色々な国の料理を通して、様々な文化に触れていく「世界の胃袋TRIP」。第6回目となる今回は、エジプトへTRIPしました!ピラミッドやスフィンクスなど連想されるものは多いものの、「エジプトのごはん」は意外と思い浮かびづらいのではないでしょうか?
エジプトはアフリカ大陸の北東に位置し、首都のカイロはアフリカを代表する世界都市。また、紀元前から古代エジプト文明を発展させてきた歴史の地としても知られています。さまざまな歴史が交差するエジプトでは、どうやら食文化も豊かなようです!
アラビアンナイトを彷彿させるエキゾチックなお店が、東京にあるとのこと。六本木駅から歩くこと3分ほど、大通りに面して立ち並ぶエジプト料理店「ネフェルティティ東京」へ伺いました。扉を開けると、そこに広がる席はゴールドのレースカーテンで飾られ、まるで王宮のよう。
店内には古代エジプトの壁画のような絵やアラビアンな細工が施されたヴィンテージの照明もあり、異国の雰囲気が漂っています。
今回お話ししてくれたのは、オーナーの河本イマドさん(左)とシェフのサーミホ(右)さんです。河本さんは20歳までエジプトで育ったのち、来日。一般社団法人日本エジプト親交協会の代表理事を務めるなど、エジプトと日本の架け橋となる取り組みをされています。
サーミホさんは、カイロの5つ星ホテルに勤めていたシェフなので、ここでいただく料理はエジプトの中でも最高ランクの味なのです!
エジプト人のソウルフード!日本でいう「おにぎり」はこれ!
エジプト料理を知るにあたり、最初に押さえておきたいのが「クシャリ」。現地では屋台だけでなく3つ星レストランでも扱う国民食です。河本さん曰く、「日本でいうとおにぎりのようなもの。どこでも食べられて国民にとって愛着のあるフードです」
ライス、マカロニ、ひよこ豆、レンズ豆がトマトソースで和えられていて、おいしさはもちろんのこと腹持ちも抜群。忙しい時のスピード飯にもぴったりです。宗教の事情で肉が食べられない人にとっても、クシャリなら気にすることなくいただけるのもここまで普及したポイントなのかもしれません。
続いては、エジプトを代表する家庭料理「ムサアー」。ナスとポテトの間にホワイトソースとトマトソースを何層も重ねたラザニアです。添えられたピタパンと一緒にいただきます。こちらも野菜オンリーのベジタリアンフード。トマトソースにコクがあるので、物足りなさは一切ありませんよ。
そしてこの器は、日本でもブームになったタジン鍋!水を入れずに素材そのものの水分を活かして蒸し料理ができる鍋で、エジプトではどの家庭でも必ず1台はあるのだとか。
エジプトの食生活を豊かにした、ナイル川
エジプトの南北をつなぐように流れる、世界最長の河川がナイル川です。「エジプトはナイルの賜物」とよく聞きますが、これには訳があるんです。水源として重宝されただけでなく、定期的に氾濫することで肥沃な土壌を運んできました。だからこそ、乾燥帯のこの地域でもエジプトは農業が盛んなのです。現在もナスの生産量は世界3位、トマトやタマネギは5位と世界的にみても高い生産量を誇っています。
ナイル川や地中海で魚が獲れるので、エジプトではよく魚料理をいただきます。今回ご用意いただいたのは、世界三大淡水魚の1つ「ナイルパーチのグリル」。スズキのようにクセがなく食べやすい味わいで、コクのあるクリームソースとの相性も抜群です。
豚はNG!牛や羊が日常的で、たまにハト?!
エジプトは国民の95%がイスラム教徒なので、豚肉を食べる習慣がほとんどありません。肉より魚派という人も多いようですが、主に食べられる種類としては、牛肉や羊肉、ハト肉など。日本人にとってハト肉は珍しいですが、エジプトでは高級食材として食べられています。
今回出していただいたのはエジプトでメジャーな料理、「コフタ・マシュウィヤ」。牛と羊の合挽き肉を串焼きで、肉質柔らかく、濃厚な旨味がジュワ〜っと溢れ出て、とってもジューシーです。そして、炭焼きをしているため、余分な脂も落ちてヘルシーにいただけます。
幼い頃に必ず食べた、ママの味
締めはこちら。まるでグラタンのようなスイーツです。「オム・アリ」といい、ココナッツミルクと生クリームに砕いたパイ生地とレーズンを加え、オーブンで焼き上げています。こちらはエジプトの“ママの味”で、幼い頃は家庭でよく作られ、おやつの時間にいただくそうです。中に入る具材は冷蔵庫の余り物であることが多く、それぞれの家庭によって味も異なるのだそう。
どれを食べても、なんだか食べたことがあるような味わい。
河本さんは、「エジプトと日本は比較的、料理の味付けが似ていると思います。まず米は日本と全く同じですからね。70年前にナイル川が氾濫して米が取れなくなってしまってから、日本の品種を育てるようになりました。だからエジプトでは、もちもちの日本米を当たり前に食べていますよ」と話してくれました。
そう言われるとなんだか納得…。たしかにクシャリのお米はいつもの日本米のおいしさでした!魚料理が多く、野菜も豊富、そんな共通点から、エジプト料理は日本人にとっても親しみやすい味わいなのかもしれませんね。
さて、次回はエジプトの文化や国民性についてもご紹介します。7000年の歴史を持つエジプト文明。テレビのチャンネルは1200以上の国?!2/24(日)配信予定。お楽しみに!
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<information>
ネフェルティティ東京
http://www.nefertititokyo.com/
03-6844-8208
営業時間:
11:00〜15:00(完全予約制・コースのみ)
15:00〜25:00(金、土曜は〜27:00)
定休日:不定休
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Writing: 竹林佑子(エフェクト)
Edit, Design, Photo: TRILL