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まるで『おっさんずラブ』!?2匹のオス猫たちの思わず笑っちゃう行動とは

  • 2019.1.27

猫の猫らしい行動に、自分の生き方を重ねてハッとする瞬間があります。版画家の猫野ぺすかさんもその一人。毛並みの手触りや体温までも感じる、ぺすかさんの描く動物たち。今まで飼った11匹の猫をはじめ様々な動物から教わった「生きているということ」が詰まった、ぺすかさんの絵の秘密に迫ります。

見ているのに、触れているような絵

16歳の老猫「まだちゃん」の長い尻尾にじゃれて遊ぶ、8ヵ月の「ゆうゆう」と「しんしん」。特に「しんしん」は「まだちゃん」のことが大好きで、「まだちゃん」の様子を陰から見ていたかと思えば、気づかれないようにじりじりと距離を詰め、その距離をゼロにしていくのだとか。

年の離れた3匹のオス猫たちの飼い主、版画家の猫野ぺすかさんは、「まだちゃん」に恋焦がれる「しんしん」をまるで『おっさんずラブ』のようと笑います。なにをされても「なんだ?」とうっとうしそうにはするものの普段は寛容な「まだちゃん」も、尻尾にじゃれつかれるのは苦手で、この時ばかりは怒るのだそう。

ぺすかさんは様々な動物を描く版画家さんです。ぺすかさんが「ウッドバーニング」という手法で描く(木材を電熱ペンで焦がしながら描く)動物たちは、そのモコモコ・チクチク・フサフサとした毛の手触りまでもが感じられるほど生きているかのよう。もっと言えば、その毛に覆われた皮膚の体温すら感じられるほどに。

「『生きているというのは、やわらかく温かいこと』というのは、今まで飼ってきた、たくさんの猫をはじめ動物たちから教わったことです。死んだら固く冷たくなってしまう。やわらかく温かいあの感触は、生きている時にしかないもので、亡くなった猫を思い出す時、もう触れられないことを悲しく思います」

触った記憶で作った木彫りの猫・しろさん

ぺすかさんが小学2年生から20歳まで一緒にいた猫のミミが亡くなり、その後、動物を飼えないアパートでひとり暮らしをしていた時、“猫欠乏症”になって居ても立ってもいられずに作ったと言う木彫りの猫・しろさん。

リビングに飾られているそれを「生きていた頃のミミを触った記憶で作ったんです」と、ぺすかさんが筆者である私の足元に置いた瞬間、しろさんと目が合って息を飲みました。実寸の成猫よりもずっと小さく細く、つるんとした木の彫り物が、昔飼っていた自分の飼い猫に見えたからです。

「本物の猫に見られているみたいでしょ?猫を飼ったことがある人の足元に置くと、みんな『なに?ごはん?』って聞いちゃうんです(笑)。私の手が覚えているミミの感触で作りました。あごの下とか鼻筋、背中の丸みも触ってみてください」

やわらかくも温かくもない、少しひんやりとした木。でもそれは間違いなく、猫のあのあごの下、鼻筋、背中のカーブを描いた、慣れ親しんだ手触りでした。

何度もありありと思い出したいから

「こういう造形も絵も不思議なもので、作る人が感じているものが出るんです。生きているやわらかさ温かさを思いながら作ると、見る人もそういう風に感じてくれるんです」

大切な人の不在を思う時、時間が経つほどに薄れていく自分の記憶をうらめしく思うことがあります。その記憶をカタチにできるぺすかさんが、正直、うらやましいです。カタチにできないのなら、せめて記憶に焼き付けたい。命のやわらかさ、温かさ、姿、仕草、声、匂い…。五感をフル稼働させて、大切な人との時間を過ごさなければと思いました。

「まだちゃん」「ゆうゆう」「しんしん」、ぺすかさん、そしてぺすかさんと過ごしたたくさんの猫たちに感謝します。ありがとうございました。

writer / 宇佐見明日香 photo / 筒井聖子

取材協力

猫野ぺすか
https://www.nekonopesca.com/

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