美しく幸せに生きるための「人生100年時代の逆算思考」とは。ヘア＆メイクアップアーティスト藤原美智子さんインタビュー【第1回】

ヘア＆メイクアップアーティストとして女性の美しさを引き出し続けてきた藤原美智子さん。30代で事務所を立ち上げた藤原さんは、33歳のときに「行動する人生が始まった」と言います。「逆算思考」をすると、時間に追われず逆に、時間を追うことができる！ と。自分らしく充実した人生を送ることができる、その方法を教えていただきました。

33歳で「いつかやるは捨て、今やる」という行動する人生が始まりました

ーーアラサーの頃、藤原さんはどんな生活を送っていらっしゃったのでしょうか？

「今までの生き方や考え方について『これでいいのかな』と悶々としていたのが31、32ぐらいだったかな。それまで、私は縛られる人生はイヤ、自由に生きたいと思っていました。でもそこでふと『今まで私はそういう自由な考えのもと、ちゃんと行動してきたのかな』と考えてみました。そして振り返ってみるとそれほど行動していないって思ったの」

ーー本当の意味での自由ではないと。

「自由ではなくてただの根無し草なんじゃないのかなって。自由って自分の核、根を張った上でこその自由じゃないかって。だから、これからキチンと人生を歩んでいきたいって思ったんです。で、33歳のときに思いたって、今まで“いつかこうしよう”、“いつかはやってみよう”と思っていたことを“今やろう”という1年間にしてみました」

ーー「いつかやってみよう」と思ったことを全部やった後には何が残りました？

「全部やり尽くした後、次に出てきたのが“そうだ、責任ある人生というものを体験してみようかな”と。そう思って事務所を作りました。そこからが私の行動する人生の始まりになったのかなって思っています」

行動するための勇気はいらない。一生懸命やるのは当たり前と考える

ーー行動しなければ何も始まらないと。

「そう、例えば行動すると大変なことも起きたりする。でもそれこそが人生なんだなってすごく思うのね。行動しなければ失敗もしないけれど、積み重ねることもない。人生って行動してこそ積み重なっていくもんなんだなって思いました」

ーー行動する勇気を出す一歩はどうすれば踏み出せるのでしょうか？

「実はね、勇気はいらないの。何も考えなければいいの（笑）。あれやこれやいろんなことを考えてしまうと、一歩踏み出すことがハードル上がってすごく重くなってしまうのよね」

悩みを解決したいなら思い煩っていることの本質をまずは見極める

ーー昨年15年間の連載をまとめた書籍「LIFE IS BEAUTY〜美しく幸せに生きるための逆算思考」を出版されました。アラサー女性の悩みや考え方の変化は感じられましたか？

「世の中は大きく変わったし、連載していた15年分、私も世代が変わりました。ただ20代後半、30代前半、30代後半とそれぞれで思う悩みというのはそんなに変わらない。そこでいちばん言いたいのは、悩んでいるときって、みなさん『私だけ何でこんなに大変なの!?』って思いがちでしょ？ でも実はね、みんな同じように悩んでいるの。だとしたらただ単に思い煩うんじゃなくて、具体的な悩みを解決するために思考や考え方をチェンジしてみる。そして行動できるように考えたほうがいいんじゃないかなと思いました」

ーー悩みを乗り越えるためにはまずどうすれば？

「悩みを解決したいなら、まず自分は何に対して思い煩っているんだろうって、悩みの正体を見極めること。そしたら『なんだ、別に大したことなかったわ』ってわかるかも知れない。そして具体策を考える。こうした積み重ねをしていく人は、大人になるほどどんどんラクになっていくの」

ーー自分を知ることが大事だということですね。

「そう、船というものは灯台の方向に進みますよね。灯台は船の進む目標になるけれども、人生の航路もどこかに灯台があって、その方向に向かって生きていくんだなって私は思います。つまり普段からどんなことを思っているか、漠然とでもいいから自分の人生はこういうふうになっていけばいいなとイメージすることが大事。だから、自分が何が好きでどうしたいのか、自分を知ることが大事。そうすると、瞬間瞬間に迷わずに選び取ることができるようになるんです」

人生の目標は逆算思考で実現できる！

ーー本のタイトルでもありますが、「逆算思考」はどうしたらできるようになるのでしょうか？

「人間ってそんなに強くはないから、行く方向がわかっていないと、“あっちかな？ こっちかな？”って迷いもでてくるし不安にもなると思うのね。それに生きていく上での満足感も得られない。例えばオリンピック選手だって、金メダルという確固とした目標があるからツライ練習も耐えられるわけじゃない？ だからまずは1週間分でもいいから目標を立ててみる。そしてその次の1週間、また次の1週間というふうに1週間ごとに目標を作っていけば、それが人生の目標になることもあると思うんです」

ーー1週間分の目標なら具体的にすぐ浮かびそうです。

「それができるようになったら、もう少し先の目標を決めてみる。徐々に“じゃあ1年後までには”と期間を長くする。そして“それができるようになるためには”と逆算して、“これとこれとこれをしなくちゃ”って小さな目標を立てていくの。そうやって小さな目標を実行していくうちに、やりがいも生まれていくの」

時間を追う女性になる

ーーこれも目標の一つなのかなと思うのですが、藤原さんはTo doリストを作っていらっしゃるとか。

「手帳に1週間のスケジュールを書いて、To doリストとしてさらに付箋紙を貼っています。そして毎週日曜日の朝にその付箋紙にやること振り分けて書いています。こうして書き出すと何がいいかというと、まずはやることがわかって頭の中がクリアになるのね。そうしないとやることがたくさんあるような気がして、すごく焦る！（笑）。まずは次の週にやることを書き出してみて。いつまでに何をやればいいかわかると、頭がすごくクリアになるのよ」

ーーできたことにチェックしていけば、そのたびに達成感も味わえそうですね。

「書き出して、できたらチェックマーク！ これもやった、これもやった、こんなにやった私って、すごい！ って（笑）。自分に達成感を味わわせるのって大事だと思うの。そうして何が変わったかというと、時間に追いかけられていると思いながら仕事をしていたのが、追いかけるようになったの。つまり『今日の分はもうやったから、明日のことを今やっちゃおう』って予定を前倒しにできるようになった。そしたらすごく楽しくなって、私変わったの（笑）」

ーー最後に読者にメッセージをお願いします。

「自分の30代の頃を思い出すと本当に大変だった！ だから私もわかっています。でも30代をどのように過ごすか、それによって40代、50代がすごく変わる。はっきり言うと、30代は人生の分かれ目だと私は思います。だから今を本当に大事にして、日々を暮らしていって欲しいなと思います」

Movie Director：Yohei Takahashi （f-me）
Writing：Yuko Sakuma
Edit：Natsuko Hashimoto (TRILL編集部)