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今年を良い年にするための心持ち【ひとみしょうの余談ですみません】

  • 2019.1.6

新年あけましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。今年もどうぞよろしくお願いします――とかと言いながら、気がつけばお正月はとっくに終わり、成人式も終わり、という感じで、1月はあっと言う間に過ぎますよね、毎年。

だからこそ、年が改まったこの時期に、心を落ち着けて、今年1年を良い年にするためにどんな心持ちを持つといいのかについて考える時間を持つ必要があると思いませんか?

時の流れに身を任せているだけだと、結局、雑事に追われて、気がつけば「2019年ももう終わるの?もうクリスマスなの?」なんてことになりかねないから。

去年ってこんな感じじゃなかったでしたっけ?

とくにここ数年、強く思うのは、「言葉で説明したことがすべて」という風潮についてです。

説明責任という言葉って、昔はビジネスの中だけで、しかもある特定の業界の中だけで使われていたと記憶しています。たとえば、聞きかじった話だと、広告業界の人は説明責任は負うけど、結果責任は負わない、みたいに。

でも、ここ何年かは、どの業界においても使われるようになった。とくに不祥事が起きたら、その会社のトップに説明責任を求める、なんてことがふつうに言われるようになった。

説明責任が「社会的風潮」になったら、必然的に「説明しときゃあいいんでしょ」と考える人が出てきます。それだけならまだしも「説明したことがすべてです。他に情報はありません。だからこれ以上わたしの責任を追及されても困ります。追求してくれてもいいけど、同じ説明しかできません」なんて、ふてぶてしいヤツが出てくる。

恋愛とは感覚の集積

言葉、つまり意識が優位で、説明できないこと、つまり感覚が劣っている――暗黙のうちに、こういう社会的合意が形成されてしまっている社会に、わたしたちは住んでいます。

これっておかしいでしょ?

言葉で説明しなかったことはなかったこと――仕事なら、報告書に盛り込まなかったことはなかったことになる。だから、自分にとって都合の悪いことを隠そうと思えば、言い方を変えるか、言わないことにしてしまえば、いくらでも隠すことができる。感覚を無視して意識だけが偉そうにしている。

恋愛って、言うなれば感覚の集積です。彼のことが好きだから彼にこれをしてあげたいと思う――この因果関係って、言葉では言い尽くせないですよね。なぜ「好き」と「してあげたい」という思いが結びつくのか、誰にも論理的に説明することはできない。だから、恋愛とは風邪と同じようなものです(一時的に熱が出ている状態だから、いずれ熱が下がれば治ります)と説明する人が出てきます。筋の通った説明だと思うものの、「なんかおかしな説明だな」と思わないですか?「わたしの恋を風邪と一緒にしてほしくない」と思わないですか?

豊かな恋愛を目指すなら

そのような社会の中で、豊かな恋愛を目指すなら――ひとりの人として豊かな生活を目指すなら――当たり前のことを理屈抜きに当たり前にやれる人になるしかないように思います。

たとえば、早起きしたら美容にも精神衛生的にもいいです、と、いろんな人が言っていますよね。それに対して「なぜですか?」と、理由を求める人がいるでしょ?

その求めに対して、ある識者が「なぜもなにもないんです。人は縄文時代から早起きする生き物なんです。人のカラダってそういうふうにできているんです」と答えたら、きっとその人には次の仕事はやってこない。今の世の中って、そんなもんです。

でも、そういうふうに答えるのが、じつは正解なんですよね。早起きに理屈なんか、本当はないから。

というようなことが理解できれば、今年1年は、きっといい年になります。

恋愛も人の生活も、もともとは感覚優位にできています。それを「意識が上、感覚が下(劣っている)」と決めたのは、きっとあなたではないですよね。偉い人たちが無意識のうちに自然とそう決めてしまったことであるはずだから。

自分に嘘をつかない生き方

「好き」と思ったら、理屈抜きに「好き」と言う、あるいは好きという態度をとる。「これをやれば恋の駆け引きに勝てそうだけど、卑怯かもしれない」と思えば、やらない。感覚優位な生き方って、たとえばこういうことです。自分の気持ちに正直に暮らすことを、感覚優位な生き方と呼びます。

去年1年は、そこここで説明責任を果たしているふりをしている人たちがいたから、今年もきっとそういう人が目につくことでしょう。社会の風潮って、年が改まったからといってすぐに変わるものではないから。

でも、そういう社会においてであっても、少なくとも個人のレベルで、自分に嘘をつかない生き方を模索してみる。

そういうところから、いい恋が、いい生活が、引いてはいい1年が生まれるように思います。

世知辛くしょっぱい世の中で、今年もお互いがんばりましょう。

(ひとみしょう/作家)

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