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作り置きはしない! 伝説の家政婦・タサン志麻さん「自宅レシピ」4つの鉄則

  • 2018.12.21
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“伝説の家政婦”として注目を浴び、テレビや雑誌などあらゆるメディアで活躍するタサン志麻さん。

仕事で依頼を受けると一般家庭に出向き、たった3時間で1週間分の食事を作り置きをします。その手際の良さと料理の腕前が評判を呼び、伝説の家政婦と呼ばれるようになったのです。

そんな志麻さんですが、なんと調理器具や調味料は各家庭にあるものを使、特別な準備はしていないそうなのです。毎回、調理の条件が異なるのに、どうしてそこまで手際よく作ることができるのでしょう?

ワーキングママにはやっぱり無理!? いえいえ、そんなことはありません。ちょっとしたコツをつかめば、忙しくても毎晩の食事づくりがもっと楽しく、スムーズになるはずです。志麻さんの自宅料理を一冊にまとめたレシピ本『「作り置き」よりカンタンでおいしい! 志麻さんの自宅レシピ』より、そのアイデアを学んでみましょう。



タサン志麻さん プロフィール


大阪あべの・辻調理師専門学校、同グループ・フランス校を卒業し、ミシュラン三つ星レストランでの研修を終了。その後、日本の有名フランス料理店等で15年働く。2015年にフリーランスの家政婦として独立。家事代行マッチングサービス『タスカジ』で定期契約顧客数がナンバーワンとなり、「予約が取れない伝説の家政婦」と呼ばれるようになった。NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』でその仕事ぶりが放映され、クール最高視聴率を記録。現在は『つくりおきマイスター養成講座』の講師や食品メーカーのレシピ開発などでも活動。フランス人の夫と子どもと3人暮らし。



■志麻さん家の鉄則その1:作り置きはしない! 平日の「ちゃちゃっと料理」が基本

――志麻さんといえば「作り置き」が有名ですが、プライベートでも作り置きを日々の献立に活用しているのでしょうか?

タサン志麻さん(以下、志麻さん):そのイメージが強いようですが、実は自宅ではほとんど作り置きをしていないんです。毎晩、仕事から帰ってきたら30分ほどで作ってしまうので、わざわざ作り置きしておく必要がないんです。

それに、休日に作り置きを用意するとなったら、3~4時間は調理時間に費やすことになります。その時間があったら、家族でのんびり過ごしたいので、あえて作り置きはしないんです。

また、もともと料理をするのが好きなので毎回の食事づくりが楽しいこともありますが、今のように手早く作るようになったのは、フランスでのシェフ見習い時代が大きく影響しています。

■志麻さん家の鉄則その2:調理に時間はかけない! 「作る時間」より、「食べる時間」が大事

――というと?

志麻さん:日本の昔ながらの食卓は、お母さんが時間をかけておかずを作り、食卓にずらりと並べていただくことが多いですが、フランスはその逆。“食べる時間”を重視するので、その分調理に時間はかけず、また献立もグリルした肉とゆで野菜だけだったりと、普段の食事は意外と質素なんです。

ただ、料理の手間は省きつつもポイントを抑えて作っていますのでどれもおいしいですし、なによりワイン片手にみんなでわいわい言いながら食事をするのが本当に楽しくて!

ささやかながらも、その豊かな暮らしぶりが印象的で、自分が家庭を持つようになってからも自然と調理は手早くすませて、食事の時間を重視するようになっていきました。

それに毎日食べたい献立は変わります。だから、食材も近所のスーパーに毎日ちょこちょこ買い出しに行って、その都度、食べたいものをさっと作るのが我が家の平日のスタイルですね。






■志麻さん家の鉄則その3:下準備を怠らない! 手早くおいしく作るコツ

――仕事を終えて帰宅後、短時間で作るとなると、メニューや味が偏ってしまいそうですが…。

志麻さん:そうならないためにも、手抜きはせず、ポイントを押さえながら調理することが大切になってきます。なんだか難しそうに聞こえるかもしれませんが、コツさえつかめば、誰でも時間をかけずにおいしいごはんを作ることができるんですよ。

――具体的にどんなことに気をつければよいのでしょう?

志麻さん:まず心得ていただきたいのが、下準備には一つひとつ、ちゃんと意味があるということです。

例えば、食材の切り方をすべてそろえるのは、火の通りと食感を均一にするため。肉や魚の水気をふいて、塩・こしょうをしてから調理するのはくさみを取るため。

ちょっとしたことですが、こうした作業を惜しまず丁寧に行うことで仕上がりの味がバシッと決まり、結果的には調理の時間短縮につながるんです。

同書で紹介している「シャキッと野菜炒め」でも、しめじのサイズに合わせて、ほかの食材を切りそろえています。



志麻さん:余談ではありますが、切り方はそろえるときとあえてそろえないときがあります。

例えば「じゃがいもカレー」の場合。我が家ではじゃがいもは大きめと小さめ、2種類の切り方にします。大きめに切ったじゃがいもはホクホクに、小さめに切ったじゃがいもは溶けてトロトロになるので、一皿でいろいろな味わいが楽しめます。

ちょっとしたことですが、こうすることで味のマンネリを防ぐことができるんですよ。カレーを作る際に、ぜひ試してみてください!



志麻さん:調理の順番も手早く作るうえで重要なポイントです。よく、すべての材料を切って(整えて)から調理に入るように書かれているレシピ本がありますが、時間のロスになる場合もありますし、必ずしもその通りにしなければならないということはないかなと思います。

それよりも、何かを炒めている間に別の食材を用意するなど、隙間時間を有効に使いましょう。

レシピ本のとおりに作るのも悪くはありませんが、ときにはいったん本から離れて、自分の頭で考えながら作ることも大切です。失敗することもあるかもしれませんが、手を動かしていくうちにムダのない調理法がだんだんと身についていくはずです!

■志麻さん家の鉄則その4:市販の「〇〇の素」も使う! 一気に味のベースを作る

――味つけでのコツというのはありますか?

志麻さん:よく驚かれるのですが、我が家では市販の合わせ調味料やスープの素などを活用することもあります。本格的な味を一から作ろうと思ったら、それなりに食材や調味料、時間も必要になってきます。

でも、仕事帰りの疲れた体には、そこまで作る気力はありません。だから、あらかじめ味のバランスがとれている市販品をベースに使い、そこに調味料や食材をちょい足しして、オリジナルの味を楽しみます。

たとえば「コーンスープドリア風」。これは市販のコーンクリームスープの素を使用した一品です。コーンクリームスープの素があれば、あとはごはんやベーコン、とろけるチーズなどを用意すればあっという間に濃厚ドリアのできあがり。これなら小さなお子さんも喜んで食べてくれるはずです。



このように、ちゃちゃっと作るにはアイデアや工夫も大切です。ぜひ楽しみながら日々の献立づくりに励んでください。

たしかに、作り置きを用意するためには、それなりの時間が必要になってきます。でも、せっかくの休日を作り置きするだけの日にしたくはありませんよね。

だったら、普段の献立や調理を見直して、志麻さんのようにもっと手軽に短時間で作るように心がければ、忙しい日も楽しく食事の用意ができるかもしれません。試してみる価値あり、ですね!

引き続き後編では、一児のママでもある志麻さんに、ふだんの自宅レシピをアレンジした離乳食や幼児食、さらにイベントやお祝い事にも応用できるパーティーメニューのコツをうかがいました。

参考図書:
『「作り置き」よりカンタンでおいしい! 志麻さんの自宅レシピ』(講談社)


志麻さんが仕事から帰って、30分以内にちゃちゃっと作って食べたレシピを中心に76レシピをご紹介。使われている食材は近所のスーパーの特売肉や、特売野菜、冷蔵庫の残りものなど身近なものばかり。そんな普通の食材をおいしく生まれ変わらせるためには、志麻さんの長年のシェフ経験を生かした調理ポイントに秘密があった!? レストランの味わいを、ぜひ自宅でご堪能あれ。

取材・文/長谷部美佐


(ライターチーム123)

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