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「ぼくのりりっくのぼうよみ」はなぜ活動を終了するのか? ラストライブを前にその真相を語る

  • 2018.12.12
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巧みなリリックとメロディーで注目を集めるアーティスト・ぼくのりりっくのぼうよみが、今年の9月に報道番組「NEWS ZERO」(日本テレビ系)で、来年1月をもってアーティスト活動を終了することを突然発表した。まだ20歳ながら、前アルバム「Fruits Decaying」が話題となり、さらなるブレイクが期待されていた中で、なぜ今活動を終了するのか。来年1月に行われるラストライブを前にその真相を聞いた。

WWD:これからというタイミングでなぜ、ぼくのりりっくのぼうよみの活動を終了することにしたのか?

ぼくのりりっくのぼうよみ(以下、ぼくりり):僕が僕でなくなっていくことが怖かったからですね。もともと核となる自分があって、その上のぼくりりという鎧をまとっていたのですが、活動を続けていくうちに本当の自分がだんだんとぼくりりに浸食されるようになってきてしまったんです。それで、自分自身を取り戻すために、ぼくりりの活動をやめようと思いました。

WWD:活動終了するのはいつ決めた?

ぼくりり:今年の4月くらいから考え始めました。12月12日にラストアルバム「没落」とベストアルバム「人間」をリリースし、来年1月にラストライブ「通夜」「葬式」をするという大枠を決めて、あとはそれに向けていかに活動を終了させていくかを考えました。

WWD:活動終了の発表をなぜ「NEWS ZERO」で行ったのか?

ぼくりり:なるべく影響力のあるメディアで発表するのがいいと思い、パワーのある報道番組の「NEWS ZERO」を選びました。

WWD:実際に発表してみて、心境の変化はあった?

ぼくりり:ありました。これまで僕自身が謎に守っていたルールから解き放たれて、「自分の思うようにやろう」と考えるようになって、すごく満たされていますね。今は本当に楽しいですよ。

WWD:やめることに対してもったいないという気持ちはない?

ぼくりり:全然ないですね。金銭的なことではなく内面的なことで、今はよくても将来的にはダメになるなって感じていました。だから、続けることよりもやめることの方がリターンは大きいし、ようやく自分が背負ってきた呪いから解き放たれると感じています。

WWD:3年間の活動で一番思い出に残っているのは?

ぼくりり:最近友だち夫婦と車で富士急ハイランドに行ったんですが、運転席に旦那さん、助手席に奥さんが座っていて、帰り道で奥さんが音楽を流し始めたんです。そのプレイリストの中に“ぼくりり”の曲があって、僕の人格とか関係なく、僕の作品が彼女の暇を満たしているという現場を目撃できたんです。それで全て救われた気分になり、音楽をやっていたのはこのためだと確認できて、それでじゃあやめようかなって思うきっかけになった出来事です。これまでそうやって聞いてくれている人がいることは知っていても、その場面に出合うことはなかった。あることは知っていた美しい景色を実際に目撃できたことで満たされた感じがしました。

WWD:最近はツイッターでの発信で炎上することもあるが?

ぼくりり:あれは積極的に炎上させているところもあって、もう他人からどう見られるかとかどうでもよくなったのと、あと「没落」のためでもあるんです。僕にとって、このラストアルバム「没落」はすごく大切な子どもみたいなもので、いかにいい環境にもっていくかを考え、多くの人々の称賛と非難にさらされることで、より大きく育つと思ったんです。だから炎上することで、多くの人に聞いてもらえるならいいかなって思っています。

WWD:ラストアルバム「没落」についてはどういう思いで作った?

ぼくりり:そのまま、ぼくりりが“没落”するぞっていうのに尽きます。これまでのアルバムの中でも断トツにいいと思えるものができたので、大勢に聞いてもらいたいです。後世に残っていけばいいなと。

WWD:「没落」のリリース前に全国ツアー「僕はもう……」を行ったが、「没落」のリリース後でもよかったのでは?

ぼくりり:全国ツアー「僕はもう……」は、これまでに応援してくれた人たちにお礼を言いに行くのが目的のツアーで、レコ発ではないんです。だから「没落」を出す前にやっておくべきことだったんです。

表現する人間に年齢は関係ない 人間という意味で対等

WWD:20歳にして、巧みな作詞センスだと思うが?

ぼくりり:年齢は関係ないと思いますよ。日本語が読めて、話せて、書けるなら、少なくとも芸術をやる人間という意味では対等なので。それは音楽に限らず、映画でも、絵画でも同じだと思います。

WWD:自己プロデュースがすごくうまい印象だが、意識している?

ぼくりり:そうですね。「こう見られたいんだったら、こうすればいい」っていうのは得意ですね。でも、それがぼくりりをやめることにつながっているんです。メジャーデビューして3年間、確たる目的や目標を持たずにやってきて、でもそのわりに自己プロデュースが得意だったのでぼくりりとしてはうまくいっていた。その分、核の自分が分からなくなってしまった。

WWD:文章を書いたりもしているが、今後は何をするか決めている?

ぼくりり:未定ですね、何も決めてません。今はぼくりりをいかに“破壊”するか、そればっかり考えています。小説は書いてみたいですけど、曲を作るのと比べると文章を書くのはかなり疲労するので、積極的にという感じではないです。

WWD:音楽以外の趣味は?

ぼくりり:マンガを読むこと。最近、知り合いにすすめられて「沈黙の艦隊」を読んで感動しました。マンガの手法ってデフォルメによって核となる部分が分かりやすいので、インスピレーションを受けることはありますね。あと、「HUNTER×HUNTER」の冨樫義博さんは神ですね。

WWD;ファッションについてはどう思う?

ぼくりり:当たり前ですが、服にはすごく力があるなって思っています。何を着るかによって、自分という人間がまったく違う風に映る。服って生地を組み合わせたものなのに、すごいなってあらためて思ったんですよね。どうりでみんな服にこだわったり、ファッションブランドもいっぱいあるんだみたいな。最近は「1017 アリクス 9SM(1017 ALYX 9SM)」が好き。服って何よりも自分のアティチュードを表現できるので、いつかは自分でも作ってみたいです。

WWD:ぼくりりとしてではなく、一人の人間として何かやってみたいことはある?

ぼくりり:目標ではなくまったくの夢想なんですが、「週刊少年ジャンプ」でマンガの連載をしてる自分を想像してみたりはします。めちゃ絵なんヘタですけど(笑)。

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