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私の人生は誰のもの? 母親が抱える苦悩と複雑な愛情を描いた漫画に涙が止まらない!

  • 2018.11.20
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いまだ世間で根強くささやかれる「母性神話」。

女性には、もともと母性が備わっているからこそ、子どもを生めば自然と愛情がわき、わが子に尽くすのが母親の真なる愛であること。

そして、自己犠牲もいとわない母の姿こそが本来の母親像であるという周りの評価。

しかし厳しい世間の目に悩まされながらも、子どもを持ったことで、自分のなかにふつふつとこみ上げる「母親」を強く意識するのもまた事実。

そんな「母親」という生き物について深く切り込んだ渋谷さえらさん(@voxxx)の漫画がツイッター上で話題を呼びました。

■母になって漠然と芽生える「私の人生は誰のもの」問題


これからの人生は私の物であって、私の物でない出典:渋谷さえらさんツイッターより





漫画の冒頭は、出産して、母親になった渋谷さんの率直な想いから始まります。

子どもが生まれた時点で、1人の女性から母親へと無条件に役割を与えられ、わが子に会えた喜びを感じるのもつかの間、その後は24時間体制のお世話がいよいよスタートするのです。

今まで自分に費やしていた時間は、ほぼすべて子どものお世話に費やされるようになり、行動も制限されます。

頑張ったからといって誰からもほめられることわけでもなく、母親の努力が当たり前のようにとらえられる育児の現実。

しかも向き合うのは、生身の赤ちゃんであり、わけもわからず泣き続けたかと思えば、突然笑い出したり、まるで読めないお天気のように気分次第で振り回されることもたびたび。

母親たちは、日々育児のプレッシャーを抱えながら、自分のなかの何かが奪われていく感覚さえ味わいます。

そんな「私」が「私」でいられなくなる不自由さを予測した渋谷さんの言葉は、育児の喜びの裏に隠された母親たちの虚無感や恐れ、寂しさを表すものでもあります。

「私の人生は誰のもの?」

そう問いかけたくなる瞬間を経ながら、私たちは確実に母親となり、いつの間にか体に染みついた役割から脱することさえ難しくなるのです。



■ずっと「○○すればいいのに」の想いで過ぎ行く子育て期間



そして育児のなかで常について回るのが、「○○すればいいのに」という子どもへの想い。



「早くまとめて寝るようになればいいのに…」

「早く普通のご飯食べられるようになればいいのに」

「早く言葉がわかる様になればいいのに」

「早く落ち着いてくれたらいいのに」
出典:渋谷さえらさんツイッターより




漫画のなかでは生まれてから、母親自身が死ぬ直前まで、シーンが変わるたびに言葉を変えて、「○○すればいいのに」と呪文のように唱え続けるのです。

「子どもはいつまでたっても子ども」という言葉通り、育児は一生続くように感じられ、同時に親は常に子どもに対して期待や心配を抱き続けながら、人生を終えていくようにも感じられます。

自分自身が子供時代には、“うざい”、”口うるさい“と感じた親の小言も、親の立場になれば気持ちが痛いほどわかるようになるもの。

ついつい口出ししたくなるのも親心であり、「○○すればいいのに」を口癖に駆け抜けるように子育てに励み、小さかった子どもたちはいつの間にか大人に成長していくのです。



■「愛」とは人それぞれ。美しいわけでも、特別なものでもない

常に子どもたちのお世話に追われ、ときに自己犠牲を強いられることさえある母親業。



しかし、漫画で描かれる母親のように、ずっと死ぬまで子どものことを気にかけ続けてしまうのも母親であるがゆえ。

誰かに無理やりやらされているのではなく、ただ単純に子どもを愛しているからこそ、気になって心配になるのです。

愛情とは、キラキラまぶしくて、華やかなもののように感じられるけれど、本当はめんどくさく、うざったくて、だけどいつも当たり前のようにそばにあるもの。

世の中が期待するような美しいものではなく、一筋縄ではいかないもっと生臭いものでもあるのです。

だからこそ、母親が子どもへの向ける愛情は、特別美化されるものでもなく、親子の形がそれぞれあるように、もっと自由で自然であるべきものだと思います。

自己犠牲を強いることがあるべき母の愛なのではなく、放っておいても子どもへの愛情は何らかの形ではみ出し、責任が一生付きまとうからこそ、考えることはもっと別にあるはず。

それは、自分のなかにある“愛があるゆえめんどくさい母親”という存在といかにうまく付き合うかということ。

いつになっても子どもへの心配が尽きない親としての悲しい性を受け止め、ある意味死ぬまで続く育児との折り合いのつけ方についても、いつか子どもたちが成長したときに考えるべきときがくるのかもしれません。

■ウーマンエキサイトで渋谷さえらさんの連載決定!

今回ご紹介した漫画の作者である渋谷さえらさんの作品が、なんとウーマンエキサイトでも楽しめるようになります!!

母親という立場に縛られることなく、自らの想いを率直に表現する渋谷さんならではの魅力をたっぷりお届けしたいと思います。

ぜひご期待ください!

渋谷さえらさん

母親の本音を鋭い視点で描く漫画がツイッター上でも話題のコミックライター。「母親らしさ」、「よき母親像」について、素直に切り込んで描いた内容は、母親が抱えるプレッシャーや苦しみを代弁し、多くのママたちから共感を呼んでいます。

●渋谷さえらさんのツイッター:@voxxx
●渋谷さえらさんのインスタグラム:@firedog510
●渋谷さえらさんのHP:「現筒」



(倉沢れい)

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