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会社を辞めて、こうなった。【第9話】 英語が、わからない。

  • 2015.3.8
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会社を辞めて、こうなった。【第9話】 英語が、わからない。

37歳、独身、彼氏なし。長年勤めた出版社を退社し、なんの保証もないまま単身サンフランシスコに乗り込んだ女性が、異国の地で繰り広げられる新鮮な毎日を赤裸々にレポートします。

【第9話】英語が、わからない。
さて、2か月半が経ちました。
オーナーやハウスメイトにも恵まれ、新しい部屋での生活にも慣れてきました。

鉛筆と筆箱代わりのジップロック。鉛筆の素晴らしさを再発見。 そう、ようやく勉強に取り掛かる環境が整ってきたのです。そしてはたと気がついたわけです。英語という壁は、なんと高いのでしょう(今さら!)。

今の私はボルダリングでいうところの足を引っ掛ける場所もわからず、「う〜む、高いなぁ」と圧倒されてただ山を見上げているような感じです。

そしてぶち当たっているのは、“的確な言葉選び”という壁。

言葉というのは文脈とセットになっているので、間違ったコンビネーションで使うとなんだかちょっとヘン、さらには全く通じないということになってしまうようです。例えばrefuseとreject。どちらも日本語で訳すと“断る”という意味です。けれど語学学校の先生によると、この内容ではこっちを使うとなんだかヘンで逆もしかり、みたいな感じらしいんですよね。具体的には食事やらパーティーの誘いを断る場合には“refuse”を使えるけど、”reject”はなんかちょっとヘン。逆に何か考えやイデオロギーに反対するというニュアンスで法案や建設計画を拒否する場合は、“reject”なんだそうです。

壁が高すぎる。

わからない、わからない、全然わからないーーー。語彙を増やすために、ただ単語帳を作って暗記するってわけにもいかないのですね…。

こればっかりはネイティブの人がどう話し、どう書いているかに慣れるしかないそうです。本をたくさん読み、会話を注意して聞く…。はぁ〜、一体あと何年かかるんだろう!!

セレクトショップGeneral Storeの庭。たまにウィンドウショッピングに訪ねます。

今語学学校で勉強しているのは、TOEFLのコースです。ここでは徹底的にこの間違いを指摘されます。先日もハリーポッターのことを”novel”と言ったら、ブ~! 「“novel”は日本語で訳したら小説だからいいやん、別に」と思うのですが、ライトノベル的な児童文学なので”book”というほうがしっくりくるんだそうです。もうこのあたりにくると英和辞書に頼ったところで、お手上げです。英語を学ぶということは、まず日本語で訳すことを諦めることから始まるのかもしれません。

”novel”と”book”

今感じるのは、「この言葉の意味を私は本当に理解しているのだろうか?」ということ。つまり、「この言葉に関して本当にアメリカ人が持っているのと同じ概念を持っているのか」と思うわけです。正直、かなり怪しいです。そして考えれば考えるほど、無言になってきてしまっている今日このごろ。話せば話すほど誤解も産むし、バカもバレてしまうからです。

物価の高いサンフランシスコですが、ベリー類は安い! 毎朝頂いています。

言葉が出来ないということは、アイデンティティが無いも同然だなと思います。例えば今の私。どうしようもない英文を書いて、悲惨な英会話をする…。「あなた本当に編集者としてお給料をもらっていたの? ウッソー!!」と思われて仕方が無い、真っ赤に添削された英作文を片手にがっくりくるわけです。ここは恥も外聞も捨てて5歳の子供になった気分で、リンゴを見せられて「アップル」と教えてもらうところから改めてスタートしたほうが良いかもしれません。

私は5歳になりたい。

実は会社を辞めてこちらに来るという決断をする前、とても悩みました。37歳という年齢を考えると、ここでキャリアチェンジすると再就職はきっと難しいだろう。結婚や出産ももうできないかもしれない。なんて親不孝なんだろうと。そのときに尊敬している編集者の先輩に言われたのです。

「悩む、ということを味わい尽くしたらいい。そしたら次が見えてくるから」と。

だから今も英語ができずに落ち込んだり、語学学校の友達とお気に入りの先生の話で盛り上がったり、この先どうなるのかしらと不安になったり…。そんな毎日から目を逸らさず、しっかり味わいたいと思います。

SEE YOU!

ナパバレーのワインツアーに参加し、ベロベロになりました。 【関連記事】

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PROFILE 土居彩

会社を辞めて、サンフランシスコに住んだら、こうなった。」まとめ

編集者、ライター。14年間勤務したマガジンハウスを退職し、’14年12月よりサンフランシスコに移住。趣味は、ヨガとウォーキング。ラム酒をこよなく愛する。目標は、カリフォルニア大学バークレー校で幸福心理学を学ぶこと。

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