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迷子の大人にこそ観てほしい!トキメキを取り戻してくれる青春映画。 Part.3【あの頃に出会った最高の仲間たち編】

  • 2018.11.16
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迷子の大人にこそ観てほしい!トキメキを取り戻してくれる青春映画。 Part.3【あの頃に出会った最高の仲間たち編】
2018.11.16 21:00
胸焦がすような初恋や、複雑な人間関係に悩む学生ライフ。家族や自分自身とだってうまく付き合えないイライラを抱えながらも、何かを走り抜けるような疾走感とともに、今という永遠を一瞬つかみ取る。そんな多感な青春時代を題材にした映画をヴォーグエディターがジャンル別にレコメンド。どんな世代の心にも響くストーリーやキャラクターは、あなただけの青春時代を鮮やかに呼び覚ましてくれるはず!パート3では、ユニークな仲間たちとの出会いによって、本当の自分らしさを見つけだす映画をピックアップ!

ブレックファストクラブ(85)


あらすじ:それぞれ問題を起こし、土曜日の朝から懲罰登校をする羽目になった5人の高校生。スポーツマンに秀才、お嬢様に不良、不思議っ子といったそれぞれ個性も異なる5人は、図書室で静かに「自分とは何か」をテーマに作文を書くように先生から命じられる。同じ学校に通いながら今まで接したこともなかった彼らは、休日に登校をしなければいけないイライラも相まって最初はぶつかり合うが、雑談から次第に自身の悩みや問題を語り合い、心を通わせていく……。


みどころ:恋愛青春映画編で紹介した『プリティ・イン・ピンク』の製作総指揮、ジョン・ヒューズが監督したこの作品。80年代のアメリカ青春映画の傑作で、アメリカのハイスクールにおける「スクールカースト」を始めた描いた映画として、後年の青春映画やドラマにも大きな影響を与えたそうです。「同じ学校に通っている」だけが唯一の共通点だから、接することも、相手を知ろうとする必要もない。学生生活ってそれがある意味当たり前のことなんだけど、そんな無関心な感覚や自分のテリトリーを破る方法が「恋」とか「喧嘩」だったから、あの頃はそれに夢中だったのかもと思いました。この映画でも、それぞれの持っている悩みや痛みを共有することで、価値観が違う人間にも優しくなれて仲良くなれるという、10代ならではのコミュニティ感覚が爽やかに描かれています。特に冒頭の生徒同士が喧嘩をしながらも、先生に対してはかばい合うシーンは、ティーンの感覚を的確に表現しているものです。それぞれのキャラクターを演じる5人の若手俳優たちも最高にキュートで、この映画に漂うノリの良さを体現していて、80sなハイスクールスタイルも5人5様で見応えあり。ただ、お嬢様役のモリー・リングウォルドのランチがお寿司で、いきなり机に寿司下駄や醤油を並べる姿には、今観るとちょっと笑っちゃうかも!

原題:Girl, Interrupted


あらすじ:薬物を大量に飲んで自殺未遂を起こした主人公のスザンナ。更生のため精神科病院に入院をさせられるが自分には問題があることを認めず、なかなかその環境に馴染めずにいたが病棟のリーダー的存在であるリサと親しくなる。精神疾患であることを恥じようとしない彼女の大胆不敵な言動に惹かれ、個性的な患者たちと過ごすうちに、スザンナは精神科病院での生活に心地よさを感じ始めていた。しかしある日、退院した仲間を追い詰め自殺に追い込んだリサの姿に、彼女や精神病院で過ごす自分自身の心のあり方に疑問を感じ始める……。


みどころ:心の成長を描いた秀作として多くの人のお気に入りでもあるこの映画。自身も境界線パーソナリティ障害で精神入院歴があるウィノナ・ライダーが、映画化権を手に入れ、製作総指揮とともに主演も務めています。「自分ってなに?ここは自分にふさわしい場所?」誰もが思春期に感じる自分探しの中で出会う、個性的な仲間たち。刺激的な仲間と過ごし、感化されていくうちに「見つけたはずの自分らしさが、望んだものではなかった」ことに気づくこともありますよね。精神病棟を舞台にしたこの映画は、設定としてはちょっと非現実ではあるけれど、「自分らしさを手にいれるためには、心地よいだけの環境や仲間から離れる痛さも必要」だということを教えてくれます。それっていくつになっても大切なことなんじゃないかな、と思います。ウィノナ・ライダーの他にも魅力的な演技陣にも注目。中でもこの作品で第72回のアカデミー助演女優賞を獲得したアンジェリーナ・ジョリーの不揃いなバングスと厚い唇に、エキセントリックな怖さを感じて「近くにいたら絶対に危ない女だな」と震えたのを覚えています。主人公の彼氏役で出演している若き日のジャレット・レトもキュートです。

ミーンガールズ(04)


あらすじ:動物学者である両親の仕事でアフリカのジャングルで伸び伸びと成長したケイティ。16歳になったとき、アメリカのシカゴに引っ越し始めての学校生活をスタートさせることに。大自然の中で育った彼女にとって、イマドキの男女が集まる都会のハイスクールは、ひと筋縄ではいかないキャラやルールが敷かれたまったく新しい世界。戸惑うことの多いケイティだが、はみ出し者の友人ができ学校ライフをサバイブする方法を教わっていく。そんな中、ひょんなことから女王的存在のレジーナを中心とした女子グループ「プラスティック」に気に入られしまい、ケイティも一員となるが……。


みどころ:素直でキュートな主人公が、自分の影響力を示すことに夢中の女子グループに振り回されながら成長していく姿を描いた大ヒット映画。よくあるキャラや舞台設定でながら、ユーモアとシニカルさが絶妙にブレンドされた面白さが漂うのは、サタデー・ナイト・ライブでも知られるコメディ女優ティナ・フェイの脚本の力。同じくサタデー・ナイト・ライブの常連で彼女の友人でもあるコメディ女優エイミー・ポーラーが怪演するレジーナのママ役も、この映画の隠れた見どころと言えるかもしれません。もちろん、若手女優たちの生き生きとした共演も大きな魅力。ケイティ演じるリンジー・ローハンの勝気だけど素直でキュートな雰囲気!意地悪なプラスティックスのメンバー役であるレイチェル・マクアダムス(撮影当時なんと25歳!)やアマンダ・サイフリッドはこの後、ハリウッドを代表する人気女優に。ブレイク間近だった彼女たちのキラキラした演技も見ものです。ちなみに、当初リンジー・ローハンは学校の女王レージナ役を希望し、レイチェル・マクアダムスが主演のケイティ役のオーディションを受けていたというのは有名な話し。映画の中ではリンジーもレイチェルも当たり役、ってくらいそれぞれ似合っていたけど、その後のプライベートを見る限り、本当のレジーナはリンジーなのかも!

ウォールフラワー(12)


あらすじ:クラスメイトたちから「壁の花(ウォールフラワー)」とあだ名を付けられている高校生のチャーリー。兄弟からも相手にされず、唯一の親友も高校進学前に自殺でなくしてしまった彼は、架空の友に向けて手紙を書くことを日課としている内気でシャイな少年。そんな彼の冴えない毎日を変えたのは、ひと目惚れした美人のサムと、彼女の義理の兄パトリックとの出会い。2人から新しい友人を紹介されたり、パーティに誘われていくうちにチャーリーも高校生活を満喫するようになるが……。


みどころ:シャイで傷つきやすい思春期の心情を、精神的にも不安定な1人の少年の成長を通して繊細に描き出した映画です。主演のローガン・ラーマンや、彼が思いをよせるサム役のエマ・ワトソン、サムの兄パトリック役のエズラ・ミラーなど、主要登場人物を演じる3人の透明感が、この映画を特別なものにしています。普段は大人しいけど、ときどき感情のコントロールがつかなくなるチャーリーが、新しい仲間と出会うことで、恋や友情といった今まで感じたことのない他者とのつながりに、生きることの喜びや意味を知る。でも、そんな成長の過程では、傷つくことも必要だったり、蓋をしていた思い出したくない過去(最後に明らかになる彼の心の問題の原因についてはびっくりなエピソードで、好き嫌いが分かれるところだと思います)にだって向き合わないといけない……。サムとパトリックがそんな複雑な主人公を受け入れ、愛することができたのも、彼ら自身もまたどこか疎外感を感じ、何かに傷ついていたからなんだと思います。この「傷ついている」という感覚、僕は大人になる過程でどこかで捨ててきてしまったようなのですが、他者を自分のことのように愛するために必要な、素敵な感情だったのかも……と考えさせられました。

今を生きる(89)


あらすじ:59年バーモントの全寮制の男子校が舞台。厳しい校則をもち、生徒たちをエリートにすることだけを目的としたこの学校の新学期に、同校のOBである英語教師ジョン・キーティングが赴任してきた。彼は、厳格な教師たちに怯える真面目な生徒たちに向かって「教科書を破り捨てろ」と言ったり、机の上に立ち「物事は別の視点からみることで、世界が違って見える」と型破りな授業を行い、詩の素晴らしさや、生きることの本当の意味を教えようとする。最初は戸惑う生徒たちも、キーティング先生に刺激され、自由な生き方を模索していく……。


みどころ:ティーン同士の交流を描いたものが多い青春映画ですが、この作品は「これからの人生に大きく影響するだろう考え方や感性を教えてくれる教師との出会い」と交流を描いたもの。僕は中学3年生のときに観て、ショックともいえるくらいの感動をしました。映画を通して自分自身もキーティング先生の授業を受けているような引き込まれ方をしたのを覚えています。「教科書に書いてあることが正しいとは限らない」とか「別の視点にたって物事をみる」とか「詩のような正解のないものから、美しさや人生の素晴らしさを発見する」とか。僕がこの映画から感じ取った価値観は、今も心のどこかで根付いているような気がします。もちろん、それらを学んだのはこの映画からだけではないのですが「あの頃にこの映画と出会っていて良かった」と思える一本です。映画の中の生徒たちも、キーティング先生に感化され次第に自分で考え動き出します。ある生徒は恋をしたり、俳優という夢をかなえようとしたり。両親や周りの大人によってその夢が断絶されてしまうことで、生徒の1人は究極の決断をしてしまい悲劇を生む。「同じ授業を受けている」心持ちだった僕にはそんな生徒たちの選択にも衝撃的だったことを覚えています。今は亡きロビー・ウィリアムスが演じる包容力ある教師役を観るたびに「僕もあの頃、実際にこんな先生と出会っていたら」と思わず想像をしてしまいます。

エンパイアレコード(95)


あらすじ:アメリカの田舎にある「エンパイア・レコード」は、個性豊かな店員とともに、音楽を通してカルチャーを発信する場として地元の若者たちから人気をあつめる老舗レコード店。ある日、店員のルーカスが前日の売り上げ金を持ったまま開店直前まで戻ってこないという事態が発生。心配した雇われ店長のジョーが問い詰めると、ルーカスは売り上げ金のすべてをカジノで使ってしまったと告白する。ジョーは激怒するが、ルーカスにはある思惑があって……。


みどころ:ティーンたちにとってアルバイト先とは、学校では出会うことのできない仲間たちと出会う場所でもありますよね。学校では違うグループでも同じバイト先では「小さな社会」ゆえ仲良くなれたり、違う学校の人や、年上の大学生と知り合ったり。この映画はそんな学校とは違う、ティーンのもうひとつの大切な世界を舞台にしたライトな青春映画です。ストーリーの軸は、自分たちが働く老舗レコード店が大手チェーン店に買収されそうになり、自分たちの居場所である店を守るために皆が結束しチャリティライブを開催するという奮闘記といったところ。でも、この映画が楽しいのは、6人の主な登場人物のキャラクターがそれぞれ違って魅力的なところ。店に現れるなりいきなりトイレで坊主になってしまう女の子とか、美術家志望の学生とか、一見真面目でキュートだけど(やはり)色々と問題を抱えている女子高生とか……。アルバイト先じゃなきゃ集まらない個性の強いメンツたち。趣向もバラバラの彼らが、そんなことなんか気にせずに皆でワイワイやっている姿を見るだけで「青春時代っていいな」と思わせてくれます。初々しいリヴ・タイラーやレネー・ゼルウィガーのショート丈トップとミニスカート姿や、男の子たちのグランジスタイルなど、当時の若者たちのファッションも可愛らしいし、レコードショップが舞台だけに、サウンドトラックも好感度の高いポップロックが楽しめます。

カラー・オブ・ハート(98)


あらすじ:オタク気質なデイビッドと自分大好きなイマドキの女の子ジェニファーは、高校生の双子の兄妹。テレビの故障をきっかけに、2人はデイビッドが夢中な50年代の白黒ドラマ『プレザントヴィル』の世界に入り込んでしまう。そこは全てがモノクロで同じ毎日が繰り替えされ、色恋沙汰といったドラマも犯罪もない平和な町。2人はこの世界での両親らしきジョージとベティとともに生活を始めるが、ジェニファーの気まぐれな火遊びから、白黒だった世界がほんのりと色づきはじめ……。


みどころ:今回最後に紹介するこの映画も、厳密に言えば青春映画というジャンルだけには収まらない、深いメッセージ性をもった作品です。しかしながら主人公の高校生たちが、自分の行動が周りの人を大いに刺激したり、思いもしなかった事態を招くことを知ったり、影響を与えた人たちからまた新たな影響を受けたりと、感度のよい人間関係がユーモアいっぱいに描かれているので、皆さんにもぜひ観ていただきたい1本として加えました。古風な50年代のモノクロの世界に、まずジェニファーが現代の価値観を持ち込むことで「変化」が色となって現れ始めるのですが、やはりその変化を積極的に受け入れはじめたのはティーンネイジャー。大人しい母親のベティが意外にも「カラー」に目覚めたりするのも印象的です。そして、そんな変化に恐怖を感じて対立していく保守的な男たちの姿……。「価値観」やそれに付随する「変化」をモノクロやカラーという視覚的表現で絶妙に表現されていて、観る人は「歳を重ねても色鮮やかな人間でいられるか(=変化を恐れない若々しい心を持ち続けられているか)」ということを問われているような気がします。軽妙だけど誠実な魅力をもつ主演のトビー・マグワイアとリース・ウィザースプーンの魅力によって、この映画はさらにヴィヴィッドな輝きを放っています。

Gen Arai

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