1. トップ
  2. 恋愛
  3. 迷子の大人にこそ観てほしい!トキメキを取り戻してくれる青春映画。 Part.2 【恋愛スイッチをONするラブストーリー編】

迷子の大人にこそ観てほしい!トキメキを取り戻してくれる青春映画。 Part.2 【恋愛スイッチをONするラブストーリー編】

  • 2018.11.12
  • 1463 views


迷子の大人にこそ観てほしい!トキメキを取り戻してくれる青春映画。 Part.2 【恋愛スイッチをONするラブストーリー編】
2018.11.12 21:00
胸焦がすような初恋や、複雑な人間関係に悩む学生ライフ。家族や自分自身とだってうまく付き合えないイライラを抱えながらも、何かを走り抜けるような疾走感とともに、今という永遠を一瞬つかみ取る。そんな多感な青春時代を題材にした映画をヴォーグエディターがジャンル別にレコメンド。どんな世代の心にも響くストーリーやキャラクターは、あなただけの青春時代を鮮やかに呼び覚ましてくれるはず!パート2では、王道の片思いから胸焦がす悲恋ストーリーまで、青春好きには欠かせない恋愛映画を紹介。

『恋しくて』(87)


あらすじ:ガソリンスタンドでアルバイトをしながら将来は画家を目指している高校生のキース。物静かでクラスからもちょっと浮いた存在である彼は、上級生で学校でも人気のアマンダに夢中になっている。そんな恋の悩みを唯一相談できる存在である幼馴染のワッツも実はキースに恋をしているが、思いを伝えることはできないまま。ついにキースはアマンダに告白しデートすることになり、ワッツもその準備を手伝うことに……。


みどころ:学校のマドンナに恋する物静かな少年と、好きなのに告白できない少年の幼馴染という、ベタな三角関係の物語りでありながら、とっても爽やかで胸がキュンとくるシーンやセリフが散りばめられている映画です。多くの学園青春ラブストーリーものが製作された80年代のアメリカですが、個人的にも大のお気に入りの一本です。とにかく俳優陣が素敵です。美形のエリック・ストルツに、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にも出演して人気女優だったリー・トンプソン。そして今ではちょっと恥ずかしいくらいボーイッシュなワッツをキュートに演じたメアリー・スチュアート・マスターソン。恋心を胸に秘めながらも、アマンダへのプレゼントを一緒に選んだり、「キスの練習をしてあげるよ」とキスを交わしたり……書いているだけでキャーっと赤面ものなんですが、透明感ある演技で忘れられないシーンになっています。最後は誰と誰が結ばれるのかは映画を観てのお楽しみですが、Lick The Tins の『Can’t Help Falling In Love』(プレスリーのカバー)に乗せてキースが語る最後のセリフに胸キュン度も倍増。なんとも幸せな気持ちにさせてくれます。

『エマ』(96)


あらすじ:舞台は19世紀初頭の南イングランドのハイベリー。主人公のエマは美しく、機知に富んだ女性。母を亡くし、姉が結婚して家を出て行ったあと、父親と2人で暮らしている。恋愛の橋渡しが得意と自負している彼女は、親友のハリエットと牧師のエルトンを結びつけようとするも失敗。彼女に唯一意見する友人のナイトリーは、恋のおせっかいを止めるように忠告するが、エマは気にもせず今度はハリエットにフランクを紹介した。ところがフランクは別な女性と結ばれてしまい……。


みどころ:この作品も青春映画?と思う人もいるかもしれませんが、19世紀を舞台にしていることを除けば、主人公の行動や悩みは現代のティーンにも通じるストーリー。90年代の青春映画の代表作『クルーレス』も、実はこの映画と同じく女性作家ジェーン・オースティンの『エマ』を原作としていることでも明らかです。もちろん『クルーレス』もオススメの青春映画なんですが、こちらの作品を観ていない人の方が多いかも?と思い今回リストに入れました。みどころは主役のグウィネス・パルトロウ!俳優一家に生まれたお嬢様で90年代当時イットガール的存在だった彼女、可愛いんだけどちょっと上から目線的なグウィネスの魅力はそのままエマに当てはまり、お節介だけど憎めないヒロインをキュートに演じています。人の色恋には積極的だけど、自分の恋心には気づいていなかったり、自分も理解できない行動が実は恋愛感情からきているものだったり。優雅なコスチュームプレイに包まれながら、普遍的な人間模様が描かれているからこそ、長く愛されるストーリーなんだと思います。グウィネスがまとうヴィンクトリアンドレスは可愛いのひと言。公開当時はこの映画にインスパイアされて多くのデザイナーがヴィクトリアン調のドレスを発表していました。

『永遠の僕たち」(11)


あらすじ:イーノックは他人の葬式に参列をすることを趣味とする孤独な少年。両親を事故で亡くしてから叔母と2人で暮らし、彼だけが見える幽霊のヒロシ(第二次世界対戦で戦死した特攻隊員)が唯一の友だち。ある日、いつものように見ず知らずの葬儀に出向いたところ、関係者に故人とは関係ないことが見つかってしまうが、参列者の少女アナベルが自分の彼氏であると嘘をついてくれ助けられる。癌病棟の職員だという彼女に惹かれるイーノックだが、実はアナベルは脳腫瘍が再発し余命3ヶ月だった……。


みどころ:青春映画のひとつのジャンルとして悲恋がありますよね。片思いが実らなかったり、思いがけない別れが訪れたり。短く儚い恋だからこそ永遠と輝くものになるのかもしれません。そんな悲恋な青春映画って探してみるとかなりあるのですが、今回紹介するのはガス・ヴァン・サンド監督の『永遠の僕たち』。「死」があまりに身近にある2人がゆえ戸惑いながらも、ちょっと変わった方法で愛を確かめ合っていく姿は、主演2人の瑞々しさがあってこそ美しさが際立ちます。舞台劇を脚色しているからか、どこか演劇的なムードがあったりして好みが分かれる作品だと思いますが、想像力豊かで繊細な10代の世界をポエティックに描き出していると僕は感じました。薄命なヒロインを演じるのはミア・ワシコウスカ。ショートヘアにヴィンテージライクなファッションが似合っています。イーノック役には名優デニス・ホッパーの息子ヘンリー・ホッパー、日本人兵士の幽霊という不思議な役どころを見事に演じた加瀬亮にも注目です。

『プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』(86)


あらすじ:個性的だけどセンスのいい女の子アンディは、離婚から立ち直れない父親と2人暮らし。もうすぐ卒業の高校ではプロムを一ヶ月後を控え、アンディも出席するかどうか悩んでいた。ある日、大企業の御曹司である同級生ブレーンにデートを誘われ2人は恋に落ちる。アンディから振られたことを恨むステッフや彼女の友達たちは、身分が違いすぎる交際を止めさせようとする。それに影響されたブレーンにプロムを一緒には行かないことを告げられ傷心したアンディだが、それでもプロムに行くことを決める……。


みどころ:空想大好きな女の子が理想の恋物語をピンクのノートに書いたら、きっとこんなストーリーになるはず!そんな表現をしたくなるくらい乙女心が凝縮されている映画です。白馬の王子さまばりのお金持ち男子とか社交界ともいえるプロムとか、まるでシンデレラのような夢物語りをアメリカの80sカルチャーに包み込んで、一度観たら忘れられない輝きを放っています。その魅力はやはり主演のモリー・リングウォルドの存在抜きでは語れません。とりたてて美人ではないけれどセンスが良くて性格もキュート。自分の学生時代にもこんな女の子が確かにいて、実はモテてた記憶があります。そんなヒロインだからこそ「自分のストーリー」として多くの女性に愛され続けるのだと思います。「おしゃれはセンスと頭を使え」的な鮮やかな80年代ファッションも見ているだけで楽しい!スザンヌ・ヴェガやニュー・オーダー、ザ・スミスなど錚々たるアーティストが名を連ねるサウンドトラックも名盤。ファッション界では80年代が再びトレンドとなっていますが、アンディのような女の子が現れたら、今だってみんなを虜にしちゃいそうです。

『君の名前で僕を呼んで』(17)


あらすじ:豊かな自然に囲まれた北イタリア。ギリシャ・ローマ考古学の教授である父とインテリの母をもつアカデミックな環境で育った主人公エリオは、知性も感性も豊かに育った17歳。父は毎年、博士課程の学生を1人アシスタントとして招き、一夏を家族とともに過ごしている。今年やってきたのは、24歳のアメリカ人オリヴァー。自信と知性にあふれた彼に魅了されたエリオは、そんな気持ちを隠すように最初は嫌厭するものの、次第に恋の思いを抑えることができなくなっていく……。


みどころ:一見するとゲイストーリーでありながら、それだけではない多くの魅力を放っている作品です。舞台である北イタリアのまぶしい太陽や自然、たわわに実るフルーツといったみずみずしい世界は、この映画を忘れられないものにしています。主演のティモシー・シャラメとアーミー・ハマーも、彼らが送るライフスタイルも、それを彩る情景もすべてが美しい。美しさって永遠のものではないからこそ特別なものとして心に響きますよね。劇中でエリオはオリヴァーと激しいひと夏の恋に落ちますが、同性を好きになることへの躊躇や悩みもなく、女友達のマルシアとも関係をもったりもしたりします。最初は戸惑いながらも「男」とか「女」ということを取りはらい「人」として登場人物を見つめることで、自分なりにこの映画と向き合えたと思いました。つまり、この映画に存在する「情」は多面的なもので、愛情でもあり友情でもあるものだと。これはエリオとマルシアとの関係にも言えることです。ちなみにこのストーリーはギリシャ時代の慣習や哲学をベースにしているそうで、エリオがオリバーのパンツを被ったり、酔ってもどした後に激しいキスをするといった、ちょっと不可解な行動にも深い意味があるとか。絶対に取り戻せないひと夏の恋、その一瞬だからこそ美しい。そういった意味でこの作品も唯一無二の青春映画ではないでしょうか。

『恋する惑星』(94)


あらすじ:香港を舞台に2つのエピソードが交差するストーリー。失恋したばかりの警官223号はドラッグディーラーの謎の女と出会い、不思議な一夜を過ごすことに。一方、フードショップで働くフェイは、店の常連である警官633号に密かに思いを寄せている。ある夜、633号の恋人から手紙を預かったフェイは、それが別れを告げる手紙であることを知り、同封されていた合鍵を使って彼の家に忍び込む……。


みどころ:90年代を代表するこの名作は、やはり恋する青春映画には外せない1本。ストーリーそのものが青春を描いているわけではないのですが、10代の多感な頃にこそ観なければ味わえないドキドキが散りばめられている映画じゃないかなと思います。それは何かと言われても、監督のウォン・カーウァイの魔法、としか説明できないのですが。金城武やブリジット・リン、トニー・レオンにフェイ・ウォンといった4人のキャストは誰もが最高に魅力的だし、多くの説明を語らない人物や状況の設定ながら少しも飽きることのない展開も見事。クリストファー・ドイルが撮影したヴィヴィッドな映像は「香港に行きたい!」と異国情緒な憧れを誘ってくれる美しさです。個人的にもお気に入りなのは、フェイと警官633号が奏でる恋のエピソード。「本気で好き」というよりも「恋から生まれる浮遊感」を楽しんでいるような、他の映画では味わえない感覚を教えてくれる作品。10代で観ておけば、20代や30代、40代になったときに観ても、キュンとした青春気分を思い出させてくれるので、ティーンのみんなには超重要映画として指定したいくらいです!

『野生の葦」(94)


あらすじ:アルジェリア戦争が最終局面を迎えていた62年の夏の南フランス。寄宿学校に通う大学試験を控えた少年フランソワと仲良しの少女マイテは、フランソワの同級生セルジュの兄ピエロの結婚式に出席した。それまでは交流のなかったセルジュとフランソワだが、ある夜、得意科目での協力をし合うことを約束。セルジュはテストで良い点を取れ2人は仲良くなっていく。ある夜、2人はふざけてじゃれ合っているうちにより親密になり……。


みどころ:いわゆる一般的な恋愛青春ものとは違うのですが、60年代当時の社会情勢の影響を受けながら少年少女の恋と友情や性の目覚めを描いている印象深い作品としてオススメしたい作品です。青春時代につきものの、自己のありかたや悩みについて4人それぞれの事情が描かれています。主人公のフランソワは、自分が同性愛者であることに苦悩しながらも、好きになったクラスメートと関係を持つことや、大好きな映画のことに夢中な男の子。一方、彼の友人やクラスメートたちはアルジェリア戦争や政治的思想の影響で、家族を亡くしたりと大きな悩み抱えています。この映画のすごいところは、ゲイ問題や恋愛感情だけを特別視することなく、どんな環境に置かれた人でもそれぞれの苦悩がついてまわるということを、平等に捉えているところではないかと思います。どんな悩みもついてまわるのが青春だとしたら、恋の悩みが一番幸せなのかもしれない。観た後にそんな気持ちになりました。劇中やエンディングで流れるデル・シャノンの『悲しき街角』も不思議な余韻を残す、95年セザール賞(フランスのアカデミー賞に相当)で作品賞や監督賞をはじめ4部門を受賞した名作です。

Gen Arai

元記事で読む
の記事をもっとみる