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子どもに言ってはいけない「なんで○○するの?」声がけは“愛情より戦略”【あなたは大丈夫? 話し方で得する人・損する人 第3回】

  • 2018.11.4
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ふだん、何気なく発している言葉は、良くも悪くもまわりに影響を及ぼします。

「うれしい」「楽しい」などのポジティブな言葉は、周囲をハッピーな気分にさせますし、「つまらない」「めんどくさい」といった言葉は、周囲を良い気分にはさせません。

家族の中でも、とくにママと過ごす時間の多い子どもの場合はどうでしょう? ママがポジティブな言葉をふだんから発していれば子どもも安心しますし、逆にネガティブな言葉ばかりでは…言うまでもありません。

ならば、ママたちはふだんからどんな言葉を意識すれば良いのでしょう? 知らず知らずのうちに、子どもに影響を与えている親の口癖について、『話し方で損する人 得する人』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を出したばかりの作家で心理カウンセラーの五百田達成さんにうかがってみました。




五百田達成さん プロフィール


作家・カウンセラー。東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂を経て独立。鋭い視点から「コミュニケーション」「人間関係」を分析し、そこから導き出す実践的なアドバイスは高い評価を受けている。「コミュニケーションのプロ」としてメディア出演多数。著書にベストセラーとなった『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(新潮文庫)など。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。
HP:五百田達成オフィシャルサイト



■子どもへのNGワード「なんでするの!?」子どもへのNGワード

――子どもがかまってほしいのに、忙しくてつい言ってしまう「ちょっと待ってね」。なにか失敗をした直後に口に出してしまう「だから言ったのに」。ほかにも、つい発してしまう何気ない言葉で、じつは子どもを傷つけているNGワードってありますか?

五百田達成さん(以下、五百田さん):会話全般にいえるのですが、否定的な言葉は極力避けたほうがいいですね。「〜しちゃダメよ」ではなくて「〜するといいよ」。「騒いじゃダメよ」ではなくて「静かにしようね」のほうが、大人だって言われて嫌な気分になりませんね? 子どもも5〜6歳になれば立派な人間です。大人に会話するのと同じように、丁寧に、相手を気づかった言い方を意識すべきでしょう。

冒頭の質問のように、「ちょっと待ってね」と言われても、ある程度成長した子どもでも、どのくらい待てばいいのかさっぱりわかりません。たとえて言うならば、職場で上司から「なる早でお願い」と仕事を頼まれたときと同じです。“なる早”の感覚は今日だったり、1週間後だったり、人それぞれ違います。こんなあいまいな会話ではコミュニケーションとしては成立しませんよね。

だから、子どもにお願いされたときもいい加減な返答はせず、「◯分待ってね」とか「片付けが終わるまで待ってね」ときちんと状況を説明してあげる。そうすれば、子どもも納得して待つことができるはずです。

「だから言ったのに」という一言も、なるべく使いたくないフレーズです。なぜなら、終わったことをグチグチ言い続けるのは、生産性のない会話だから。時間は戻せませんからね。

たとえば、子どもがレストランで水をこぼしてしまったとき。「なんでこぼすの!」と叱るのは、親としてイマイチな対応といえます。とても純粋な人間である子どもは、どうしてこぼしたのかと親に問い詰められたら、怖くて黙ってしまうか、もしくは原因をあれこれ言うでしょう。

でも、親は言い訳を聞きたいわけではなく、反省の弁を聞きたいわけで、子どものウジウジした態度にますます腹が立ってしまうのです。つまりこの質問は不毛なわけです。

では、どうすればいいか? もっと前向きな言葉がけをすればいいのです。

水をこぼしてしまったら、まずは「さあ、このテーブルをどうしよう?」と子どもと一緒に考えます。その後、店員さんに台拭きを持ってきてもらい、テーブルをきれいにしたら、「これから水をこぼさないようにするためには、どうしたらいいかな?」と、じっくり話し合えばいいのです。

子どもにガミガミ言わなくても、親が親身になって話を聞いてあげれば十分反省しますし、ある程度大きい子なら、今後注意するようになるでしょう。ポジティブな会話の方が、お母さんにも子どもにとっても“得”なのです。




■「そうだね、すごいね」ママの共感が子どもを育てる



――つい怒ってしまいそうな場面でも、前向きな声がけを意識するのですね。さっそく実践してみます! ちなみに、子どもの実力や個性を伸ばすOKワードはありますか?

五百田さん:特別これといったワードはありませんが、子どもの自信につながるコミュニケーションの取り方はあります。それは、子どもをよく見て、最後まできちんと話を聞いてあげること。

保育園や幼稚園でのエピソードや好きなキャラクターのことなど、大人にはたいした内容ではなくても、子どもにとっては重大な話題です。子どもが話しかけてきたら、適当に対応するのではなく、しっかり顔を見ながら最後まで話を聞いてあげてください。子どもも、大人と同様に誰かに共感してほしいのです。

このとき、「そうだね」「すごいね」などの言葉をかけてあげると◎。お母さんは僕・私に共感してくれるという安心感は、心の安定をもたらし、結果として自信につながるのです。

余談ですが、子どもはなにか上手にできると「ママ、見てー」と何度でも言ってきますね。お母さんもやることがたくさんあって大変かと思いますが、そこは忍耐が必要です! 鉄棒だったり折り紙だったり、子どもが自信をもってなにかに取り組んでいるときは笑顔で見守り、そして一言「すごいねー」と褒めてあげてください。

子どもとのコニュニケーションにおいて“聞く”姿勢も大切ですが、“見守る”姿勢も大切です。

――最後に、子どもとの会話で心がけるべきはどのような点でしょう?

五百田さん:子どもとコミュニケーションをとるうえで愛情が第一だと思われがちですが、それはちょっと違う気がします。愛情を前面に出しすぎると、どうしても感情的になってしまい、場合によってはコントロールがきかなくなってしまいます。ヒステリックになってしまうんですね。

我が子は愛すべき存在だからこそ、あえて戦略的に向き合うのが大切。良好な親子関係を築くためにも、意識して得する言葉を選び、そして心から褒めてあげる。このバランスがポイントになってくるのです。

子どもと会話するたびに感情的になっていたら、たしかにママも疲れてしまいますね。大人ならではの知恵を上手に使って、戦略的に言葉を選ぶ。これは試してみる価値がありそうです!

参考図書:
『話し方で損する人 得する人』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)


ベストセラー著者であり、話し方のプロフェッショナルである五百田氏渾身の話し方の決定版。話し方のちょっとした違いで、「損する人」にも「得する人」にもなる。よかれと思ってやっていたこと、ダメだなと思いつつ言ってしまっていること、その「損する話し方」を「得する話し方に」変えるだけで、こじれていた人間関係が改善したり、あたらしい出会いが広がる!? 本書では、各項目で「損」「得」2つの話し方を紹介。

取材・文/長谷部美佐

(ライターチーム123)

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