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旅とルイ・ヴィトンと篠山紀信のオリエント。(Maya Nago)

  • 2018.11.3


旅とルイ・ヴィトンと篠山紀信のオリエント。(Maya Nago)
2018.11.03 12:00
コレクターズアイテムとなりつつある、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の写真集シリーズ「FASHION EYE」の2018年エディションが発売! これを記念し、参加フォトグラファーの一人である篠山紀信さんの写真展が、ルイ・ヴィトン新宿店と六本木店で開催中です。

80年代、シルクロードの冒険。

ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の出版部門が2016年にスタートした「FASHION EYE」は、若手から大御所まで、世界のファッションフォトグラファーたちが切り取った都市の風景を1冊にまとめた写真集シリーズ。毎年5人のフォトグラファーが選ばれ、これまで、ギィ・ブルダン(マイアミとモンテカルロ)やピーター・リンドバーグ(ベルリン)、ソール・ライター(ニューヨーク)、ヘンリー・クラーク(インド)などがフィーチャーされてきた。


その2018年エディションに、日本人フォトグラファーとして初めて篠山紀信が参加。篠山が1980年ごろに出版した、全8巻からなる写真集に収められた作品が特別に再編され、当時と同じ『SILK ROAD』と題した写真集として出版されたのだ。これを記念したエキシビションが、ルイヴィトン新宿店と六本木店で開催中。『SILK ROAD』から選りすぐったプリントが、同書を含む2018年のラインアップを合わせた「FASHION EYE」全15巻とともに紹介されている。


東大寺に咲く妖艶な椿、半裸で踊るダマスカス(シリア)の女性たち、韓国・全州市の路上で魚を売る人、チトラル(パキスタン)の山岳に住む部族、イスファハン(イラン)のモスク……。新宿店は女性性を感じさせる赤を基調とした写真が、そして六本木店では、マスキュリンなブルーの作品が展示されているが、そのどれもが、おそらく私たちがよく知る篠山作品、つまり、著名人のポートレートや女性のヌードといった写真とは趣きを異にする、けれど同じように生っぽくてダイレクトな写真だ。当時すでに超売れっ子の名を欲しいままにしていた写真家は、きっと、この冒険の過程で出会うものすべてに驚き、興奮し、シャッターを切り続けたんだろう。

140点を超えるイメージの洪水。


それを実感させるのは、オレンジ色のカバーを纏った写真集。表紙をめくってみると、ごくごく薄い紙に美しく印刷された夥しい数のイメージが、次から次へと現れ出てくる。掲載点数は、およそ140点。写真集を分厚くしないためという、とても実用的な理由でこの紙が選ばれたそうだが、そのおかげで写真集自体の存在感がとても軽やかで、篠山紀信が見たオリエントを気楽に追体験できるのがいい。


篠山の『Silk Road』とともに、2018年の「 FASHION EYE」シリーズとして発売されたのは、インターネット時代の気鋭フォトグラファー、ハリー・ウィアーによる『IRAN』や、ファッション業界で引っ張りだこの若手写真家、ポール・ルーストーの『GENEVA』、ストリートの影響を存分に感じさせる自然体なファッションフォトグラフィーで知られるクエンティン・デ・ブリエが切り取った『BALI』、そして、ベネトンとコラボレーションした社会派キャンペーンで物議を醸したオリビエーロ・トスカーニによる『クレット・ディ・ブッリ』(イタリア人アーティスト、アルベルト・ブッリが遺した未完成のランドスケープアート)。各巻異なる色を纏った布張りの装丁も美しいので、旅好きの友人や家族へのホリデーギフトとしてもおすすめです(各5,700円、税抜)。

Maya Nago

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