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【海外ドラマ】知的な会話の虜になる、人気法廷ドラマのスピンオフ。

  • 2018.10.25
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ここ数年にスタートしただけでなく、今日的なテーマを取り入れた海外ドラマを紹介する短期連載。第4回の「The Good Fight/ザ・グッド・ファイト」は、ダイレクトに取り入れた政治や社会の動きが魅力のひとつ。人気ドラマ「グッド・ファイト」のスピンオフ作品だが、本作から観ても十分に楽しめる。

2度のトニー賞に輝く実力派のクリスティーン・バランスキー。賢くタフで、したたかさを持つ弁護士ダイアンを好演。

「The Good Fight/ザ・グッド・ファイト」(2017年~)

人気リーガル・ドラマ「グッド・ワイフ」で、主人公アリシアのメンターとも言える存在だった弁護士、ダイアン・ロックハートを主人公にしたスピンオフ。「グッド・ワイフ」を視聴済みの人ならニヤリとするネタも多いが、単体で成立しているのでここから入ってもまったく問題はない。

本作がアメリカで放送開始となったのは、トランプ政権が発足した直後の2017年2月から。熱烈なヒラリー支持者であるダイアンは、トランプの勝利に呆然自失の中、巨額の金融詐欺によって貯蓄もすべて消えてしまう。悠々自適な引退生活を撤回し、黒人主体の有名法律事務所が多様性を求めて「白人枠」として入ることに。政治や社会の動きをダイレクトに取り入れながら、面白おかしく、痛烈なシニシズムとともにダイアンたちの奮闘の日々が描かれる。

ダイアンと事務所の面々。優雅に装いながらも、水面下では弁護士たちの熾烈な生き残り合戦が展開する。

現政権に対して、非常に挑戦的な作品だ。しかし、リベラルの牙城であるハリウッドを代表するクリエイターのロバート&ミシェルのキング夫妻は、紋切り型の批判に終始せず、なぜ自分たちが負けたのかを番組を通して追求し続ける。いわゆるエスタブリッシュメントと言われるダイアンたちが、いまや説得力を持たなくなった自らを省みながら、それでも前を向いて闘う道を選ぶ。ダイアン役のクリスティーン・バランスキーを筆頭に、メインキャストの”毎日が勝負服”といった気合いの入った着こなしや、粋で洗練された会話の応酬は楽しく、何があってもメゲない人々のタフさには、晴れ晴れとした気持ちになる。

シーズン1の「ここまでやるのか!」といった驚きは、シーズン2では「よく頑張るなあ」という感嘆と感動に変わる。トランプに振り回された1年を経て、ダイアンたちは何を信じて、どう生きていくのか?いずれにせよ、世の中の理不尽で納得できないもろもろに、むざむざと屈することはない。ダイアンたちの闘いは、まさに”グッド・ファイト”(善戦、健闘)という言葉がふさわしい。

父親が巨額の資金詐欺を行っていたことが発覚し、窮地に立たされる新米弁護士マイアの運命は……?演じるのは「ゲーム・オブ・スローンズ」のローズ・レスリー。

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