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年齢より20歳以上若い脳を持つ“スーパーエイジャー”に学ぶ、ヤングハートの入手法。

  • 2018.10.22
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年齢より20歳以上若い脳を持つ“スーパーエイジャー”に学ぶ、ヤングハートの入手法。
2018.10.22 10:00
たとえ何歳になっても失いたくない、若々しいハートやマインド。そこで注目したのが「スーパーエイジャー」といわれる人たちだ。いつまでも若々しい心を保つためのティップスを、脳科学者の杉浦理沙先生と精神科医の名越康文先生に教えてもらった。

ヤングハートを持ちつづけることが可能な、今話題の “スーパーエイジャー”って?


「スーパーエイジャーとは、健康的なライフスタイルを維持し、大人になっても好奇心や意欲を失わず、自分の能力より少し高いレベルの挑戦を続けることなどにより、人生を楽しみ、脳を成長させつづけている人たちです」(杉浦先生)。


学術的にはっきりとした年齢の定義はないが、実年齢より20歳以上若い脳を保つには、脳に適切な刺激を与える生活を続けること。そんなスーパーエイジャーには、ヤングハートを維持するための大きなヒントがありそうだ。

健康的な食生活で、脳から若返りを。


歳を重ねても、見た目だけでなく、脳や心の若々しさをキープしたい。そのための大前提が、ヘルシーなライフスタイルの維持。フィジカルな側面からいえば、まず実行すべきは食事を見直すこと。「毎日の食事は、人の健康や見た目だけでなく、脳のパフォーマンスも左右します」(杉浦先生)。


炭水化物(糖質)は脳の主要なエネルギー源として必須だが、過剰摂取は認知機能の低下や老化を早める原因に。一方で、長期の糖質制限は死亡リスクを高める可能性もある。脳の構成要素であり、ドーパミンやセロトニンなど神経伝達物質の材料となるタンパク質も重要。


また水分を除いた脳の重量の60パーセントを占めるという脂肪も、欠かせない栄養素として挙げられる。脳によい影響を与えるオメガ3系不飽和脂肪酸のDHAやEPAなどを多めに、摂りすぎるとよくない飽和脂肪酸を控えめにするなど、バランスよく摂取することが肝要だという。

身体のコンディションを整えて、スーパーエイジャーに。


運動も必須だ。その理由は動くことで脳を含めた全身の血流量が上がり、パフォーマンスアップにつながるから。有酸素運動や筋トレなどは、記憶や高度な認知機能を担う部分の能力向上につながるというエビデンスもあるそう。ウォーキングも有効だが、「運動と知的刺激を同時に行うデュアルタスクトレーニングは、脳を鍛えるというデータがありますね」(杉浦先生)。


例えば友人やパートナーなどと一緒にウォーキングしながらおしゃべりする、などがそれに当たる。音楽を聴きながら振り付けを覚え、体を動かすダンスも効果的だ。


休息も重要視すべきポイント。世界的に見ても睡眠不足ぎみな現代の日本人だが、その現実は、体調や肌のコンディションはもちろん、脳や心にも悪影響を及ぼす。睡眠時間は1日7〜8時間が理想だが、難しい場合は入眠後90分の質を重視すべき。


就寝前は、眠りの質や深さを司るメラトニンの分泌量に関わるスマホやパソコン、また残業帰りに思わず立ち寄りたくなるコンビニの眩しい光の刺激なども控え、良質な眠りを確保したいものだ。

前向きな心&脳のために知っておくべきメンタルケア。


残念ながら、使わないと年齢を重ねるごとに衰えていく脳機能。「確かに神経細胞の数は加齢によって減りますが、細胞同士をつなぐネットワークは適切な刺激により成長しつづけます。スーパーエイジャーの脳では、生涯を通してその成長が見られることも」(杉浦先生)。


高齢となっても好奇心を失わず、その刺激によって若々しさを保つスーパーエイジャー。しかし、ネガティブな感情や思考は脳の成長の妨げになる。つまり、より長く若々しさを維持する決め手はメンタル面にもあるということ。「人間のマインドは、身体の変化や老化に影響を及ぼすことが研究でも示されています。“病は気から”といいますが、老化も気から、つまりマインドからといえるでしょう」(杉浦先生)。


とはいえ、人間だもの、仕事や人間関係などが原因でネガティブな心持ちに陥ることもある。そんな気分を切り替え、できる自分に変貌するために役立つのが、ポジティブシンキングだ。“自分は若い”と思うだけで身体も反応。知力や体力がアップする。アスリートたちが行っているように、ポジティブなイメージトレーニングを行うのも手だ。自己暗示により、脳の前頭前野が反応。無意識の行動をコントロールし、イメージに適合する行動に導いてくれる。


「どう生活習慣に入れ込むかもポイントですね。わずか1分間であっても、自分ができる範囲で必ず毎日行う。具体的なイメージを抱きにくい人は、光に向かって目を閉じ、まぶたを通した光と自分が一体になってゆくイメージを持つのも効果的。ずっと続けることで、自然とポジティブな心情になれるはずです」(名越先生)。

今すぐ実践!ヤングハートのためにとるべき行動。


さて、多忙さゆえのマルチタスクやデジタル機器の使用による脳の疲れが深刻な現代人。ストレスも健全なメンタルの大敵だ。そんなときには、瞑想で休息を。目を閉じて自分の呼吸に集中する。一つの音だけに集中するのもいい。移動中の電車の中、就寝前のベッドの中で、3分ぐらいをめどにトライしてみよう。消耗した脳も、落ち込んだ気持ちも、きっと回復してくるはず。


また、瞑想の他にも、ヤングハートを保つ為にとるべき行動があるという。今すぐ日常に取り入れられる4つの習慣を名越先生と杉浦先生に教えてもらった。

1. 複数のコミュニティに属し、いろいろな刺激を受ける。


新しい刺激を受けつづけることは、ヤングハートにとって最大の栄養。「人付き合いにおいても、疎遠になった人に再び会ってみるとか、あるいは新しい場所での出会いが重要です」(杉浦先生)。


「新たなコミュニティに顔を出すのも方法。できれば自分の趣味に基づくコミュニティを持つことを勧めますね。尊敬できる点を持つ若い友人、憧れを覚える年長の友人と付き合う。それを念頭に30代からは友人選びも考える時期です」(名越先生)

2. 朝、気分をリフレッシュするためのジンクスをつくる。


一日のスタートである朝は、どう過ごすか。「言うなれば、毎朝“生まれ変わる”。つまり、年波とともに訪れる“憂い”を払拭することが大事。毎朝をフレッシュに迎えている人には、運動や食事などに必ず何か習慣がある。それを真似する、または自分は何をしようかと考え、モチベーションをアップ」(名越先生)。そのためには「夜更かししない、夕方以降カフェイン類は摂らないなど配慮し、就寝時刻を極力一定に。生活サイクルを安定させると、心身もいい状態へ」

3. 大きな目標を立て、そこに向かうゴールを設定する。


「脳はマンネリを嫌います。スーパーエイジャーは、自分よりワンランク上の事柄に挑戦しつづける人たち。具体的な目標を達成することで脳からドーパミンが分泌され、さらに意欲も高まっていい結果へとつながっていきます」(杉浦先生)。


「趣味であっても、仕事であっても数年単位の長期スパンで大きな目標を定め、それを実現するために今月、今週、今日は何をすべきか決めて実行する。間違いなく、ヤングハートにつながる方法ですね」(名越先生)

4. “いつか始めたい”ことは、今すぐ始める。


「こうなりたいという目標や憧れを持つべきです。そのためにも40歳ぐらいになったら趣味を1つ持つ。50代になったら2つ、60代ではルーティンワーク的な趣味を3つ持ちましょう。そしていつか始めたいと思うことは、今すぐ始めることです」(名越先生)。


「脳の神経細胞は、使わないと衰えていきます。だからアンテナを広げ、未経験のことや、今より少し難易度の高いことに挑戦して。その選択の幅が広いほど脳は刺激を受け、成長します」(杉浦先生)

杉浦理砂先生


脳科学者、工学博士。米国スタンフォード大学医学部・心理学部や首都大学東京にて、認知神経科学の研究に従事。脳の休息術を指導する脳トレジム「ブレインフィットネス」のニューロ サイエンスラボ ディレクターを務め、5月に『ブレインフィットネスバイブル 脳が冴え続ける最強メソッド』(幻冬舎)を上梓。首都大学東京特任准教授を兼任。

名越康文先生


精神科医。相愛大学、高野山大学客員教授。専門は思春期精神医学、精神療法。臨床に携わる一方、TVやラジオ番組でのコメンテーターや映画評論、漫画分析などさまざまな分野で活躍。10月8日には吉祥寺・曼荼羅2で、自身が率いる「ザ・バーディック・バンド」の全曲オリジナルによるライブコンサートも開催予定。

Text: Midori Kurihara Editor: Mihoko Iida, Kyoko Osawa, Misaki Yamashita

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