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アメリカの青春カルチャーを知るために観るべき映画5選。(Mihoko Iida)

  • 2018.10.11
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アメリカの青春カルチャーを知るために観るべき映画5選。(Mihoko Iida)
2018.10.11 21:00
『VOGUE JAPAN』10月号で、「青春」特集を担当した際に、ヴォーグでおなじみの作家で米『インタビュー』誌の元編集長のクリストファー・ボレンさんに、「アメリカの青春カルチャーを知るために観るべき映画リスト」をお願いしました。その中から一部をピックアップ。本誌ジーン・クレールのイチオシもお見逃しなく!

『ヘザーズ /ベロニカの熱い日』(1988)


アメリカの高校で存在する暗黙の上下関係にうんざりしている主人公のベロニカ(ウイノナ・ライダー)に、謎の転校生男子JD(クリスチャン・スレーター)が入れ知恵をして、(かなり暴力的な手段で)学園内の力関係を覆そうとするブラックな青春物語。高校生たちと言えども、1980年代ならでは価値観で、お金、ルックス、ステイタスへの執着が見え隠れする。そんな体制に反抗する主人公のの姿こそ、「アメリカの青春物語の中心的テーマ」だとボレンさんが解説。 


 監督:マイケル・レーマン 出演:ウィノナ・ライダー、クリスチャン・スレーター、シャネン・ドハーティー

『理由なき反抗』(1955)


第二次世界対戦後、アメリカの経済発展が生み出したと言われる若者文化。『理由なき反抗』では、特に経済的に困っているわけでもないのに、親世代に抗うアメリカの中流家庭の若者たちが描かれていることが当時新鮮だったと言われています。自由をめぐって親との口論や、会うことを禁じられた相手との恋愛など、青春映画にピッタリの要素が満載。また、映画公開時はアメリカの青春文化の「黄金期」だったと指摘するボレンさんは、主演のジェームズ・ディーンをはじめ、人気俳優をハリウッドスターとして売り出したセレブ雑誌などが台頭したのもこの時代だった、と指摘。 


監督:ニコラス・レイ 出演:ジェームズ・ディーン、ナタリー・ウッド

『キャリー』(1976)


ホラー小説の巨匠、スティーヴン・キングの原作本の映画化。学校でいじめにあい、家では虐待を受け、行き場を失った高校生キャリーは突然、超能力を解放。これまで自分を苦しめてきた人々をその能力で次々と殺害していく(!)という、映画史に残るスプラッター系ホラー映画です。キャリーがあ苛酷な人生の現実に向き合い、周囲よってどんどん悪魔化していいくという悲劇性。青春時代の悲劇性に焦点を当てるのは、戦争のメタファーではないか、と解説するボレンさん。解釈はさまざまですが、アメリカではちょうどベトナム戦争後の公開でもありました。


ちなみに、2013年にはクロエ・グレース・モレッツ主演でリメイク版も公開。 


監督:ブライアン・デ・パルマ 出演:シシー・スペイセク、パイパー・ローリー

『アウトサイダー』(1983)


アメリカの大ベストセラー小説の映画化で、キャストには当時人気青春スターたちが勢ぞろいをした大ヒット作。アメリカの中西部オクラホマ州を舞台に、貧困層と富裕層の対立を軸に、若者たちがさまざまな試練と悲しみを乗り越えて成長していく物語です。小説は1967年に出版されているため、物語の設定も60年代のアメリカかもしれません。が、映画が公開された1980年代はアメリカ社会の中でますます広がる格差問題を予見していたとも言われています。自分のルーツがどこにあるのか?自分のアイデンティティのために闘う成長物語だ、とボレンさんは解説。 


監督:フランシス・フォード・コッポラ 出演:C. トーマス・ハウエル、マット・ディロン、ラルフ・マッチオ、トム・クルーズ、ロブ・ロウ、パトリック・スウェイジ、エミリオ・エステベス、レイフ・ギャレット、ダイアン・レイン

『ランブルフィッシュ』(1983)


最後は本誌ジーン・クレール推薦の青春映画。実は、監督のフランシス・フォード・コッポラが『アウトサイダー』を撮影中に、原作者のS.E. ヒントンと一緒に脚本を書き、キャストには同作のマット・ディロンとダイアン・レインを起用。『アウトサイダー』とほぼ同時並行して撮影された作品です。主人公のラスティ(マット・ディロン)は兄でギャングのリーダー的な存在であるモーターサイクルボーイ(ミッキー・ローク)に憧れていたが、次第に闘い続けることから遠ざかったいき、これもまた悲劇的な展開に……。父親役にデニス・ホッパーも出演していたり、脇役にローレンス・フィッシュバーンが登場したり、豪華キャストも必見です。 


監督:フランシス・フォード・コッポラ 出演:マット・ディロン、ミッキー・ローク

Text: Mihoko Iida

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