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戦争から遠く離れたように見える世代にも継承されるトラウマ。『運命は踊る』【今月のプロ押し映画!】

  • 2018.10.5
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戦争から遠く離れたように見える世代にも継承されるトラウマ。『運命は踊る』【今月のプロ押し映画!】
2018.10.05 10:00
ミハエルとダフナ夫婦の元に届いた、息子の戦死の誤報。それをきっかけに、家族の運命は、不条理にも翻弄されていく……。監督自らの実体験をベースに、人生のやるせなさを描いた話題作。

(C)Pola Pandora - Spiro Films - A.S.A.P. Films - Knm - Arte France Cinéma – 2017

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イスラエルのテルアビブに暮らすミハエルとファフな夫婦の元に、息子ヨナタンの戦死を知らせが入る。ショックで混乱する中、息子の死は誤報だったことが判明する。ミハエルは杜撰な対応に激怒し、すぐに息子を帰宅させるように要求する。


一方、ノーマンズ・ランドの検問所にいるヨナタンは、仲間たちとルーティンをこなしているが、ある日、取り調べ最中に予期せぬ事故が起こる……。


自分の意志とは裏腹に、運命に翻弄される一家を父、母、息子を中心とした3章から描く。


監督のサミュエル・マオズは、自身の従軍経験を元にした初監督作品『レバノン』がヴェネチア国際映画祭で最高賞である金獅子賞を受賞し鮮烈なデビュ—を飾ったが、8年後に満を持して撮った本作でも、ヴェネチアで審査員グランプリを受賞し再び脚光を浴びた。


原題の“フォックストロット”とは、進んでは元の位置に戻るダンスのステップの名称。前に進もうとしても、ホロコーストのトラウマの堂々巡りから抜け出せない、現代のイスラエル人の混迷の象徴だと監督はいう。戦争を知らない孫の世代が社会の中心となりつつある今日だが、この“闇”はイスラエルだけのものではないことに、多くの観客が気づくだろう。

『運命は踊る』

公開中

配給/ビターズ・エンド
http://www.bitters.co.jp/foxtrot/

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