TAOによる新連載がスタート! 【vol.1】ダイエットと体型について Part1ペスカテリアンダイエット

ファッションモデル、女優として活躍中のTAOが、ニューヨークに生活の拠点を移して10年。現在、ハリウッドを中心にさまざまな作品への出演を重ねている彼女が、アジア人として、モデル出身の女優として、日々抱く想いを綴る新連載がスタート。初回は、苦手と語るダイエットのことを2回に分けてお届けします。

無性に「書いてみたい!」と思い始めて、何から手をつければいいかまったくわからないまま数年が経った今年の春。

パリでフィガロジャポンの副編集長KIMさんにお会いする機会があり、駄目元で「私、連載してみたいんです」と申し出てみた。その後、他の知人を通じてプッシュしてもらえたおかげもあり、今回このような形で私の「書いてみたい!」という衝動を受け止めてもらえることになった。恐懼感激である。

特にこれについて書きたい、というテーマがあったわけでもないので、一貫性のない文章になる可能性が高いけれど、ニューヨークを拠点に日本人(アジア人)女優として、妻として、そしてひとりの女性としての葛藤や疑問などを綴っていこうかと考えている。素人の拙い文章にお付き合いいただけると幸いです。

初回は、ダイエットについて書こうと思う。

でたでた、と思われるかもしれないけれど、実はいちばん苦手な分野の話なので、最初に書いておきたいのだ。

dietという言葉の意味は、食生活、特別食などを意味するのだが、日本では最近、ダイエットは「痩身のためにするプログラム」と解釈されることが多い。これは和製英語で、たとえば体重を増やしたくてタンパク質のものをたくさん摂るというスタイルも、ひとつのダイエットと言えるのだ。(ちなみに熟語にしたon a diet で減量の意味)それを踏まえて以下を読んでいただきたい。

私が去年から行っているダイエットは、Pescatarianである。カタカナ表記はペスカタリアン、ペスクトリアン、ペスカテリアンなど統一されていないのだけど、ここではペスカテリアンと書かせていただく。私のペスカテリアンダイエットは、固形の陸上動物は食さず、野菜、魚、鶏卵、乳製品を食べることだ。

ニューヨークに引っ越して10年、東京よりもベジタリアンやヴィーガン人口が確実に多い中、牛豚鶏はなんでも食べて育ってきた私からはとても理解できないダイエットだった。

引っ越してきた当初は、なんであんな美味しいものを拒絶するの? 人生損している! かっこいいと思ってファッションでやっているんだ!と思っていた。

英語が上達してからはファクトリーファームや温暖化ガス排出食など、決してファッションではなく、理由はそれぞれにポリシーを持って肉を食べない、乳製品を取らないという考えから、ダイエットを決めていると理解できた。

それでも自分には無縁のものだと思っていた。というか聞こえないふりをしようとしていた。皆が言う「どうして肉を食べるべきでないのか」という理論を聞いてしまうと、美味しい美味しいあのお肉たちが食べられないようにブレインウォッシュされてしまいそうだったからだ。大人として恥ずかしいと思いながら、私は無視を続けた。

そして去年の夏、どういった風の吹き回しか、突如身体が肉を欲さなくなったのである。

思い当たる理由は、夏だったのでバーベキューなどで固形の肉を普段以上に食べすぎたこと。外国人の友だちではヴィーガンがたくさんいたけど、仲の良い日本人の友だちが菜食主義になったこと。『What the Health』というアメリカの食品品質、医薬品などへの疑問を追ったドキュメンタリー映画を観たこと。

決定的だったのは、数年前から週末にコネチカット州の山の中で過ごす習慣ができ、牛や豚、鶏をいままで以上に生き物として身近に感じるようになったからだ。うちの周りで見られる牧場はファクトリーファームなどではなく、それが動物にとって狭いか広いかはわからないけれど、ある程度の大きなスペースで放牧されているようなのどかなもの。その動物たちが急にとても愛らしく思えて、口に入れていることが不自然に感じられたのだ。そして身体が赤信号を出した。

ちゃんと勉強をして固い信念を持って肉を食べることをやめたわけではない私は、この理由を周りに言っても「へぇ……」と理解されないことが多い。というか自分で話していても納得がいかないこともある。生き物で言えば魚は食べ続けているし、固形の肉の食感が苦手なだけで、ブイヨンなどはいまだに自分の料理にも使っている。滅茶苦茶だ。

健康のためにやっているわけでもないので特に変化は気にしてはいないけど、気付いたのはなんとなく朝起きた時の疲れが以前に比べてひどくないこと(お酒を飲んだ夜は同じだけど)、そして便の臭いが変わったことくらいである。体重や筋肉量の変化は感じられない。

このダイエットでいちばん得をしたと思ったのは、料理のレパートリーが広がったことだ。ひき肉をよく料理していた私は当初どうしたものかと困ったけれど、テンペというインドネシア発祥の大豆発酵食品が素晴らしい代用品となってくれている。前述の通り矛盾は生じるけれど、ブイヨンやコンソメなどはいままで通り使用しているので味はほとんど変わりがない。それでも肉を噛み砕く食感は回避できる。そして肉よりも重くないので、消化にエネルギーのすべてを持っていかれることもなく、次の朝の胃もたれはまずない。このようにぴったりの代用品を見つけることは快感で、いままで購入したことのない野菜や穀物を多く試してみるようになった。

テンペで作った担々麺。

自宅で採れたトマトとテンペで作ったタコライス。

確認しておきたいのは、私は読者の皆さんにこのダイエットをおすすめしているわけでも、肉を食べている人を否定的に思っているわけでもない。アメリカの84%のベジタリアンやヴィーガンが最終的に肉をまた食べ始めるという統計があるように、きっと私もいつかまた肉を食べるようになると思う。そしてそれを結構楽しみにもしている。ただ脳と身体がまだ青信号を出さないでいるのだ。

それまでは料理のレパートリーを増やしながら、楽しく、1年前までの自分とは違ったダイエットで存分に「食」を楽しんでいる。

【Part2痩せているは誉め言葉? へ続く】

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提供元: madame FIGARO.jpの記事一覧はこちら

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