齊藤工 活動寫眞館・拾伍 TAO。

俳優、斎藤工。そして、映画監督、齊藤工。表舞台であらゆる「男」を演じ、裏方にまわり物語をクリエイトしていく。齊藤工がいま見つめるものとは、何か。彼自身がシャッターを切り、選び出す。モノクロームの世界に広がる、「生きた時間」を公開していきます。今回はニューヨークにて、モデル・女優のTAOの撮影が実現。

7月に、齊藤はニューヨークを訪れた。自身の監督作品『blank13』(2017年)をはじめとする出演作3作品が上映される北米最大の日本映画祭「JAPAN CUTS 〜ジャパン・カッツ!」にゲストとして参加するためだ。

多忙なスケジュールの合間を縫って、齊藤はニューヨークを拠点に活躍するTAOを撮影した。ふたりが初めて話をしたのは今年1月、共演を果たしたジョン・ウー監督作『マンハント』(18年)のジャパンプレミアだったという。

「昔、ショーなどを拝見したことはありましたが、ちゃんとお話したのはその時が初めてです。TAOさんはモデルとしての活動から世界へ羽ばたき、いまなおファイティングポーズをとっている感じがする、尊敬に近い思いを抱いていた方。

僕は日本人という括りを超えて、アジア人が世界でどう戦うか、ということに対する執着のようなものがすごく強い人間なので、近年スポーツでもエンタメでも、“アジア人だから”という枠を覆しだしている人たちにサクセスストーリーを見ていて、その中でもTAOさんはその佇まいが世界の頂点のような場所にいて引けを取らない、そしてニューヨークに拠点を移して活動しているところにも強さを感じていた方でした。出会った時から、ぜひ撮らせていただきたいなと思っていました」

撮影のロケーションについてやりとりする中で、TAOが齊藤の拠点とするエリアでの撮影をと提案してくれたそうだが、最終的にはTAO自身が日常の中で気に入っている場所、居心地がよいと感じる場所で敢行。

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TAOが齊藤やスタッフにさまざまな場所をレコメンドし、皆をケアしてくれながら、撮影は順調に終了。ニューヨークの空の下で束の間を過ごし、齊藤がTAOに抱いていた印象は変化しただろうか。

「いい意味で日本的なものをすごく大事にされていると思いました。ニューヨークに染まるというより、ニューヨークにいるからこそ自身のルーツやアイデンティティについて、感覚をクリアに研ぎ澄ませているんじゃないかと。TAOさんが連れていってくれたおしゃれなレストランで、ご出身地の千葉の話をして盛り上がったり(笑)、懐かしさを感じるくらいでした。

ニューヨーク在住で、華やかな世界でお仕事をされて、僕ら日本人からしたらスタイリッシュな日常なんじゃないかと思いますが、それ以上にTAOさんは、人にどう見られるかということを生業としている人として、本当に大事にしなければいけないことを分かっている、写らない部分の魅力もすごくある人だなと思いました。TAOさんのそんな一面を撮れたらと思っていましたが、撮影中、鎧を下ろしている瞬間みたいなものがあって、本当のTAOさんでいてくださったなという感じがしました。

『JAPAN CUTS』にも来てくださって、エリック・クー監督にTAOさんを紹介したのですが、エリックもすごく彼女に惚れ込んで、次回作に出てほしい、と。人に愛される方だなあとあらためて思いましたし、日本出身の彼女が今後さらに活躍されると思うとすごく誇らしいですし、僕自身にとってもいいタイミングで、ニューヨークで撮影ができたなと思っています」

世界を舞台に活躍するジョン・ウー監督作品で出会ったTAOと齊藤は、それぞれが世界に向けて表現し、挑戦を続けている。そのふたりがニューヨークで再会、撮影者と被写体として共演した時間は、齊藤の言う“鎧”を必要としないひとときであったことが、モノクロームのTAOの澄んだまなざしから伝わってくる。

TAO千葉県出身、ニューヨーク在住。14歳でモデルを始めた後、2013年『ウルヴァリン:SAMURAI』のヒロインとして女優デビュー。以降、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(16年)やドラマ「ハンニバル」「高い城の男」(ともに15年)など話題の映画やテレビドラマに出演。18年はHBOドラマ「ウエストワールド」や、日本では『ラプラスの魔女』が公開され、国内外で活躍の場を広げる。9月下旬より、madameFIGARO.jpで連載スタート。

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TAKUMI SAITOH移動映画館プロジェクト「cinéma bird」主宰。監督作『blank13』(18年)が国内外の映画祭で7冠獲得。アジア各国の監督6名を迎えて製作されたHBOアジアのドラマ「Folklore」に日本代表の監督として参加。企画・プロデュース・主演を務める『万力』が20年に公開予定。www.b-b-h.jp/actor/saitohtakumi

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