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【ヴォーグなお悩み外来】デキる女は睡眠上手!

  • 2018.8.21
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【ヴォーグなお悩み外来】デキる女は睡眠上手!
2018.08.21 17:00
誰もが抱えるものから人には聞けないものまで、あらゆるヘルス&ビューティーの悩みにその道のエキスパートが回答。第28回は、前回に引き続き睡眠にフォーカス。そもそも質の高い睡眠とは? 日中にウトウトした場合、あるいは夜眠れない場合はどうすればいい? ホットミルクは安眠効果があるって本当? 睡眠の素朴な疑問に睡眠コンサルタントの友野なおさんが回答。

自分にぴったりの睡眠スケジュールを把握。


まず、「8時間睡眠が理想」ということをよく聞くが、それは本当なのだろうか? 友野なおさん曰く、実は理想的な睡眠時間に科学的根拠はないという。


「3時間で足りるという人もいれば、9時間以上眠らないと調子がよくないという人もいて、かなり個人差があるものです。また、現段階では遺伝的要素が強いといわれており、自分で調整するのは難しいという見解です」


では、自分に合った睡眠時間を知るにはどうすればいいのか?


「スケジュール帳や睡眠日誌を活用して、寝た時間と起きた時間を書き込むだけでOK。そこに、例えば『8月1日 午前0時就寝 7時起床 生理5日目』というふうに、睡眠に関係ありそうなできごとも書き添えておきます。これを2週間続けると自分の『眠りのスタイル』が見えるようになり、ぴったりな睡眠時間やリズムが見えてきます」。自身に必要な睡眠時間を把握することで1日の、スケジュールを組みやすくなるのだ。


ショート/ロングスリーパーは全人口の約5%程度といわれており、一般的に推奨されている睡眠時間は7〜9時間。「毎日3-4時間しか眠らなくても大丈夫」と思い込んでいたとしても、実際は気合でなんとかやり過ごしているだけで体に負担がかかっている可能性も! 要注意だ。


「人の睡眠時間は季節によっても若干変わります。日照時間が長い夏は少し短くなる傾向があります。また、子どもの頃はたくさん寝る一方で、60歳以上だとまとまった時間眠るのが難しくなる傾向も。睡眠も老化するんです」

質の高い睡眠の条件は、メリハリとすっきりとした目覚め。


パーフェクトな睡眠に必要なのは時間だけではない、質も重要だ。しかし、そもそも質の高い睡眠とは何だろう?


「体を休ませるレム睡眠と、脳を休ませるノンレム睡眠が交互に繰り返されるというのは多くの人が知っていると思います。後者のノンレム睡眠は4段階に分かれていて、1〜2段階目までは浅い眠り、3〜4段階目は深い眠りとなります。眠りの前半に深いノンレム睡眠が集中し、後半になると今度は浅いノンレム睡眠とレム睡眠の時間が増える。このようなメリハリが質の高い睡眠です」


なお、以下の項目がYESならば、睡眠の質が高いといえるそうだ。

・朝、すっきりと目覚められる。

・朝、食欲がある。

・毎朝、排便している。

・午前中、眠くなることがない。

・休日でも平日に近い時間に起きている。


その他、Sleep Cycle alarm clockなどのアプリで睡眠の質をチェックしている人も多いだろう。目覚めはすっきりと感じていても、アプリが示すスリープ・クオリティの数字が低め。そいう場合も何か対策をこうじたほうがが良いの?


「アプリのクオリティも様々なので一概には言えませんが、あまり数字にこだわりすぎないほうがいいケースもあります。基本的には主観的な部分を大切にしたほうが良いでしょう。私たちが睡眠をとる目的はパフォーマンス向上と心身の健康なので、日中に眠くなるなどトラブルがなければ深刻に考えることはないです」

昼寝、そして眠れないときのマナー。


あまり睡眠の質が良くなくて日中に眠くて仕方がない、という場合、友野さんは昼寝を取り入れることをすすめている。ただし、「睡眠時間は15-20分にすること」「午後3時までに済ませること」を守るのが大切なのだそう。午後3時までに済ませる理由は、その後だと夜の睡眠に悪い影響を与え、睡眠の質を下げてしまう恐れがあるから。


「午後3時以降にウトウトと眠くなっても、起きる工夫をしましょう。ガムを噛んだり炭酸水を飲んだり、外を歩いたり、手や顔を洗うという人が多いです。また昼寝をするときは完全に横にならず、椅子に座ったまま、背もたれによりかった状態で目を閉じるだけにして。また、近くに壁があるようなら、壁に頭を預けて頭を固定するとラクです」


一方で、夜になってベッドに入っても眠れないというときは、一度寝るのをあきらめるのが正解とのこと。


「ベッドのなかで長時間眠れない時間を過ごすと、『ベッドでは眠れない』という意識づけがされてしまい、ひどくなると睡眠障害につながってしまいます。床について30分以上眠れないならベッドから出て、読書や洗濯物をたたむ、靴を磨く、手芸をする、あるいは大人の塗り絵をするなど単調な作業を繰り返して、眠気を感じたらすぐにベッドに戻るようにしてみてください。そのときにスマホなど光の刺激が強いものを避けることと、時間の計算が始まってしまうので時計を見ないようにすることが大切です」

分食や寝る前のコップ1杯のお水で睡眠の質をアップ。


なかなか眠れない、あるいは目覚めたときの不快感の代表的な原因のひとつが、食べ過ぎや飲み過ぎによる胃のもたれではないだろうか? 睡眠の質を高めるため、食生活で注意したほうがいいことについても友野さんに伺った。 


「まず、お酒は就寝の2時間前までに切り上げるのが理想。お酒を寝る直前まで飲むと利尿作用があるため、寝ている間にトイレに行きたくなる、アルコールの分解作業に肝臓がエネルギーを使うため内臓が休まらない、など眠りが浅くなる原因になるからです。また、夕食も就寝の3時間前までにに終わらせるのが理想的」


とはいっても、残業などで夜9時、あるいは11時頃に食事をせざるを得ない人も少なくないだろう。そんなときはどうすれば?


「夕食を2回に分ける“分食”をオススメしています。まず夕方6時くらいに1回目の夕食としておにぎりなどお腹にたまるものを食べる。そして、帰宅後にスープやお味噌汁、温野菜、サラダ、ピクルスなど胃腸に負担をかけないものをいただくのです。」


空腹のまま眠るのは交感神経が優位になり、睡眠の質が悪くなるそう。ダイエットを考えている人であっても適度にお腹を満たすことが大切。また、就寝前に水分を十分に取ることも必須だ。


「寝ているときにはたくさんの汗をかくので、体が砂漠状態にならないように少なくともコップ1杯のお水を取るのがオススメです。トイレが近くて寝る前にあまり飲みたくないという人がいますが、夜中にトイレに起きてもまたすぐ眠れるようであればあまり神経質になる必要はありません」


温かい飲み物のほうが快眠促進効果が高いので、夏でも常温以上のものを飲むのが正解。ただし、「ホットミルクを飲むとよく眠れる」というのは都市伝説かも!


「牛乳には、確かにトリプトファンとメラトニンという睡眠の質を上げる作用がある物質が含まれていますが、ドラム缶半分くらいの量を飲まないと、安眠効果は出ないといわれているほどの微量なものです」

家族や職場の理解を得て、日本の女性よ、もっと寝よう!


最後に、日本人女性が世界的に見て睡眠不足だということ、ご存知だろうか?


「日本の女性の平均睡眠時間は7.36時間と世界的にもとても短いのです。(OCED女性平均睡眠時間は8.24時間)また、男性よりも女性の睡眠時間が短い国は、28カ国の調査国のなかで日本のほかに韓国、メキシコ、インドだけです」


はっきりとした因果関係のデータはないが、日本女性が眠れないのは、仕事、家事、子育て、介護など女性が担う役割が他の国より多いことの表れのようにも思える。いずれにしろ、「もっと寝させて!」と家族やパートナーにうったえてもいいのかも。


「母親の睡眠時間が少ないと子どもの睡眠時間が減るというデータもあります。社会全体の健康のためにも、女性の睡眠時間をもっと増やしたほうがいいのではないでしょうか」


家庭だけではなく、社会全体として睡眠時間の大切さ見直すべきなのかもしれない。なぜなら睡眠不足を我慢して働き続けると、精神的な疾患になりやすいというデータもあるのだ。


「周りの管理職の人たちに、無理をして働くと、あなた自身もあなたの部下もぼろぼろになるよ、とよくアドバイスしています。十分な睡眠がハイパフォーマンスやクリエイティブ力のアップにつながることは、学術誌『ネイチャー』で発表され、2008年に科学的に明らかになっています。『眠りを削って頑張ろう』というのは、グローバルスタンダードではかなり遅れた考えといえるでしょう。収入を上げたい、職場での評価を上げたいと思うなら、まずは睡眠の質を上げてみる。“眠るスキル=ビジネススキル”といっても過言ではないのではないでしょうか」


睡眠の質は人生の質、とも続ける友野さん。眠ることは無駄でも怠けていることでもない。家族やパートナー、職場などの理解を得て、あるいは説得して、日本の女性よ、もっと眠ろう!



話を聞いたのは……
友野なお

睡眠コンサルタント。日本睡眠学会生会員、日本睡眠環境学会に所属。順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科にて睡眠を研究し、修士号を取得。眠りのプロとして全国での講演活動、健康・美容市場における企業の商品開発やプロモーションのコンサルテーションなどを行う。近著に『毎朝、目覚めるのが楽しみになる 大人女子のための睡眠パーフェクトブック』(大和書房刊)など。

Text: Kyoko Takahashi Editor: Rieko Kosai

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