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【男から見た結婚のリアル】第25回 妻の手料理がもたらした「結婚後のちょと困った変化」

  • 2018.8.11
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じつは現在、妻と一緒に住む家の事情で週末婚状態でして、週末しか妻と食事をともにしていないのだけれど、それでも結婚後、食事が僕にもたらした変化は特筆すべきものでした。

ふたりでゆっくり食事をすることの豊かさを知ったとか、ふだんの朝食みたいななんでもないものを一緒に食べることの幸せを知ったとか、そういう発見がさらなる発見を呼んできたのです。

むろん、これまでも誰かとゆっくり美味しいものを食べることを楽しんだことはありました。イタリア料理やフランス料理などのコース料理をワインを楽しみながら食べて、最後にデザート&デザートワイン&エスプレッソを食べたり飲んだりすると3時間くらいあっと言う間に過ぎて、美味しかったね、楽しかったね、と言い合ったことだってあるけれど、でもそういう豊かさとか楽しさとはまた別の豊かさや楽しさを発見し、その発見が僕の気持ちをちょっと困った場所に運んでいったのでした。

鮭の上にガーリックバターだかレモンバターだかを乗せたやつと、ナスの煮浸しと、ポテトサラダと、あとなにかありふれたものを、週末に妻とゆっくり味わい、家庭的な時の中で豊かさと楽しさに心が支配されたとき、「分刻みでアクセク働くこともないかなあ」とふと思ったのでした。

じつは思うところがあって、4月に大きな連載が終わってから仕事を増やしていないのだけれど、それでも秋に出版される小説の直しやらなにやらで忙しく、平日の食事は松屋でそこにいるお客さんの誰よりもはやく牛丼をかきこんでおしまいとか、やよい軒でしょうが焼き定食をなかば味噌汁で流し込むように食べたりという暮らしをしています。

そういう平日が終わって週末、妻と一緒に決して豪勢ではないふつうのご飯を楽しくおいしくいただいていたら、食事はホントにふつうのもので十分なのだから、稼ぎは新卒の初任給くらいでよく、働く時間も10:00~16:00くらいのパートタイマーくらいでよく、あとの時間は主夫として家庭的なことに費やしたいなあと思えてくるのでした。

ご飯を食べたらテレビは30分だけ、テレビを見終えたら自分の部屋に行ってお勉強……みたいな暮らしを小学生の頃からしてきたから(あ、頭良くないですよ、頭なんて持って生まれたもの以上には良くならないと思います)、家庭的なものに飢えているのかもしれないのだけれど、でもねえ、この歳で、しかも新婚早々「では今日から僕は主夫になります」と妻に言うと、これまた離婚の原因になるんだろうなあ。2回も離婚したくないしなあ。

(ひとみしょう/文筆家)

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