ついに海外上陸。篠山紀信「写真力」in 台湾!(Mayumi Nakamura)


ついに海外上陸。篠山紀信「写真力」in 台湾!(Mayumi Nakamura)
2018.07.16 10:00
篠山紀信のスーパー写真展「写真力 THE PEOPLE by KISHIN」が、日本全国29カ所の巡回を経てついに海外へ。9/1まで、台湾の話題のエリア、台北・松山文創園区にて開催されています。


「写真力 THE PEOPLE by KISHIN」は、2012年6月に熊本市現代美術館でスタートして以来、東京オペラシティ アートギャラリーをはじめ、新潟県立万代島美術館、札幌芸術の森、松本市美術館など、日本全国29会場を巡回、これまでに100万人近くを動員してきたまさに “Super!” な写真展。


2012年の熊本市現代美術館、東京オペラシティアートギャラリー以来、久々にあの圧巻の写真たちに会いたくて、私も台湾のオープニングへ駆けつけました。


この「写真力」展が通常の写真展とは大きく異なるポイント、それは写真の大きさ。

美術館の壁面に大きく引き伸ばされた写真の数々。まるで写真の中に入り込む、インスタレーションのような展示方法が取られています。


この「写真との対峙」がこの展覧会の醍醐味。

すべての写真の被写体は、日本人なら誰もが心に残っている人や出来事ばかりなのです。

鑑賞ではなく、体感。この空間にただ身を置くと、そこにいる被写体の気持ちだったり、その写真が撮られた時代の自分の思い出、その時聞いていた音楽、感情……さまざまなものが自分の心に溢れ出していくのを感じます。


見どころはたくさんありますが、「シノラマ」と呼ばれる、複数のカメラ使い写真を結合させた大パノラマ写真もその一つ。

横幅にして9メートル以上にもなる大きなパノラマ写真には、篠山さん自身も森の中に吸い込まれていくような感覚を得たそう。

まるで不思議の国のアリス。この写真の不思議さ、ファンタジックさをより魅惑的にしているのは、もちろん被写体である若き後藤久美子さんの圧倒的な美しさです。


こちらは、見るたびに目が釘付けになる写真。

相撲協会90周年を記念して撮られたものだそうですが、8×10インチの大判カメラを3台、国技館に配置して同時にシャッターを切ったものだそう。

ここには当時の相撲協会に携わっていた人々が勢ぞろいしていますが、スーツ姿の方や、見習い中の方々まで含め、皆さんが完璧なカメラ目線なんです。皆さんが、「あの篠山紀信に撮られるんだ」「これは歴史的瞬間を記録する写真なんだ」ということに真剣に対峙していらっしゃる、この感じ。

本当にシノヤマ・マジックだなあ……と、この写真を見るたびに感動します。


ここに数多く展示されている歌舞伎俳優たちの写真もまた、篠山さんのライフワークのひとつ。歌舞伎に関しては篠山さんだけが許された撮影がとても多く、文化的に非常に貴重な写真もたくさん。

鮮やかに並ぶ歌舞伎俳優たちの写真は、舞台の上の彼らの姿をとらえたもの。35mmのカメラに1200mmの望遠レンズ。シャッタースピードは1/500から1/1000、全てデジタルカメラで撮影されたものです。

「感度がここまでないので、フィルムでは撮れない写真。昔ならこれは撮れなかった」と篠山さん。フィルムやデジタルに対しての垣根なく、「今を撮るなら今のカメラで」と、時代に合わせてその撮影手法も変化させてきたからこそ、このような名作品も残っていくわけですね。


さて、この写真展は、日本全国を巡回するうちに、その演出を少しずつ変化させてきました。”ご当地” に合わせ、その街の出身のスターの写真を入れたり、舞台となるさまざまな美術館の設計に合わせて写真を少しずつ入れ替えたり。


そんな中で、一番の変化は、この写真展の中に組み込まれた東日本大震災の被災地を撮った写真が一つのセクション化されたことです。

最初の、熊本市現代美術館では「同時展示」という形をとっていたこの写真が、7年の時を経て、日本各地を巡回しながら、この写真展の中の1つの章として自然に融合されていきました。


ここに撮られているのは、震災から約60日後の被災地です。

なぜ篠山さんが被災地を訪れたか。それは、篠山さんが50年以上にわたって写真を撮り続けているその理由そのものなのかもしれません。


写真は、時代の写し鏡である —— これは篠山さんがよく口にする言葉です。


その時代に起こったこと、生きた人、物事、事件。たとえば東京にこれまでで一番高いビルが建ったとか、そういったことも含め……「何か、その時代に突出しているものを撮る」こと。それが篠山さんの写真への基本的な考えかたです。


震災が起きたとき、篠山さんはこう思ったそうです。

「この震災を、見て見ぬふりはできない」


2カ月後、8×10インチのカメラを担いで、篠山さんは被災地に向かいました。


震災の2カ月後とは、とても難しい時期だった、と篠山さんは言います。

復興に向けて、多少の道路ができていたり、電気を通すために自衛隊の人々が奮闘していたり。

復興への思いとともに、そこにある複雑な気持ち ——「映さないでほしい」という気持ちも。


突然、自分の生活が奪われてしまう。そんな理不尽を味わわなければいけなかった人々の表情。

その時にしか撮れなかったもの。

それも、また写真の力に他なりません。

だから、この被災地、被災者のポートレイトを「写真力」の中に入れたのだと思います。


この写真展には、日本各地でこれまで100万人近くの人々が訪れました。

日本人にとっては全ての写真が思い出の中にあるものですが、この写真展が、ここ台湾でどのように受け止められ、どのように人々を揺さぶるのか。


台湾の皆さんの感想を聞くのが、とても楽しみです。


開催は、2018年9月2日まで。

ぜひ、台湾への旅行を兼ねて、異国の地での写真力を感じてみてください。


場所:松山文創園區5號倉庫(台北市信義區光復南路133號)

開館時間:10:00-18:00(17:30最終入場)

Text: Mayumi Nakamura

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