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「しんどいなら、やめちゃえば?」猫が教えてくれた幸せの極意とは

  • 2018.6.30
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猫の猫らしい行動に自分の生き方を重ね、ハッとする瞬間があります。雑誌『天然生活』の元編集長・古庄修さんも、その一人。食べて寝てまた食べて、ときどき喧嘩してまた眠る。そんな兄弟猫の福(ふく・オス・7歳)と楽(らく・オス・7歳)から古庄さんが学んだこととは?

雑誌『天然生活』元編集長が飼う兄弟猫

7歳の兄弟猫、福(ふく)と楽(らく)の飼い主は、雑誌『天然生活』の元編集長・古庄修さんです。古庄さんが抱っこしているのはキジトラの福。古庄さんはつい先日、後進に道を譲るため同誌の編集長を退き、今後はフリーランスの編集者として新たな道を歩まれます。

「会社を辞めた後のことは、まだ具体的に何も考えていなくて。とりあえずは福と楽を撮るためのカメラを買おうかなと思っています。付き合いのあるカメラマンさんたちにどんなレンズを買ったらいいかと相談しているところです」。

これまで福と楽の写真はタブレットで撮っていたそう。取材先にも携帯していたタブレットは、福と楽の写真ばかりか、取材先で出会った猫たちの写真でいっぱいです。

「福と楽を飼ってから自然と猫に目が行くようになりました。取材先で猫が飼われていたら本題とは関係なくてもつい話題を向けてしまうし、シャッターを切ってしまう。不思議なのが、牧場に行くと必ずといっていいほど猫がいるんです。何かメリットでもあるんでしょうかね?
あとは陶芸家などの作家さんに猫を飼っている人がとてもに多い。『これが俺の最高傑作なんだ』と、猫が使っているエサの器を見せられたこともあります(笑)」。

震災後、忖度のない猫の態度に救われた

写真は古庄さんの奥様で美容ライターの永田みゆきさんとサバトラの楽です。福と楽が古庄さんご夫婦の元にやってきたのは7年前。東日本大震災の直後でした。今住んでいる一軒家に引っ越してきて、そろそろ猫でも飼いたいなと思っていた矢先、友人から「古庄さんちにぴったりの猫がいるよ」と連絡がありました。

「一匹だと思って引き取りに行ったら生後間もない兄弟猫で、神社に捨てられていたところを動物病院で保護したということでした。とりあえず二匹とも家へ連れて帰り、一週間のお試し期間を経た頃には、どちらか一匹なんてとてもじゃないけど選べないという心境になっていて、二匹とも引き取ることに。
妻なんかお試し期間中に猫アレルギーであることがわかって(笑)。アレルギーで目をパンパンに腫らしながら『それでも返したくない』って泣いて泣いて」

キジトラの福とサバトラの楽と名づけ、正式に飼うことを決めたのが2011年の5月初旬。

「東日本大震災でたくさんの方が亡くなり、生活さえままならない方々が大勢いる中で、雑誌を作っていていいのだろうかと悩み、無力感に苛まれていた時期でした。でもね、仕事から帰ると人間の事情なんかおかまいなしに、今で言う忖度のない、やりたいことしかやらない生き物が二匹。福と楽は当時の私たち夫婦にとって、大きな救いだったんです」

しあわせならそれでいい。そのままでいい

天井の梁の上から私たちを見下ろす福(右)と楽(左)。さすが兄弟だけあって顔も体格もそっくり。「大きな手から繰り出される猫パンチは相当痛いですよ」とやんちゃさえも可愛くて仕方がないといった風に目を細める古庄さん。福と楽から教わったことを聞きました。

「『何もしない事に焦らない』っていうことですかね。人はその場に止まることをよしとしないところがあります。昨日より今日、今日より明日と、前進していなければならないと思いがちです。でも、猫たちを見ていると思うんです。寝て食べてまた寝て。たまに喧嘩してまた眠る。それで十分幸せそうだなって。
もともと私たちだって幸せになるために生きているわけで、前へ前へ、上へ上へと成長を求めることで苦しくなるくらいなら、やめちゃえばいいんじゃないかって。猫に教えてもらったなんて言いながら、根っからの怠け者が、堂々と怠けられる正当な理由を見つけただけかもしれませんけどね(笑)」

「何もしない事に焦らない」という古庄さんの言葉に、不意を突かれたと同時に、心の芯を射抜かれたような気がしました。漠然とした「何かしなきゃ」という強迫観念は、何もしていない時の自分をいつも薄っすら責め続けます。幸せって何だろう?自分の幸せを見つけるために、まずは何もしない事に焦らない事から始めてみようと思いました。
さて、次回は「贅沢って何だろう?」という話で盛り上がります。お楽しみに!

writer / 宇佐見明日香 Photo/筒井聖子

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