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雨のシーンが美しい映画7作品。(Anna Togashi)

  • 2018.6.20
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雨のシーンが美しい映画7作品。(Anna Togashi)
2018.06.14 12:00
雨の日は、家にこもって専ら溜め込んでいた映画を鑑賞することが多い私。本格的に梅雨入りしたこのシーズン、雨のシーンが美しい作品で、センチメンタルな気分に浸りませんか?

きみに読む物語(04) 突如降り出した雨の中で、7年越しの再会。


平成の恋愛映画の名作を尋ねられたら何と答えますか? 私の一押しは、ニコラス・スパークス小説原作の『きみに読む物語』です。


時は1940年代、身分の差による恋愛・結婚が厳しかった時代にレイチェル・マクアダムス演じる良家の娘アリーは、家族とバカンスで訪れた田舎町に住むライアン・ゴズリング演じるノアと17歳の時に出会い、やがて2人は愛し合うようになります。が、無情にも2人の仲は認められず、休暇の終わりとともに引き裂かれてしまいます…。


このシーンはそれから7年後の2人が再会する場面で、長い月日を経て、互いに対する確かな想いが再燃します。このストーリーは2人が出会った17歳から老いて最期を迎えるその時までの長い時間軸を辿るのですが、やはり雨の中で再会の喜びに満ち、7年前の2人と重なるシーンは何度観ても涙を誘います。


ちなみに、ケンダル・ジェンナー(Kendal Jenner)も『73の質問』内でお気に入りの映画と語っています。彼女への『73の質問』を見るにはこちらから。

IT それが見えたら終わり(17) 大雨の日に起きた事件の真相は?


雨のシーンと考えて、真っ先に浮かんだのが恋愛映画でもミュージカル映画でもない、スティーヴン・キング小説原作のホラー映画『IT それが見えたら終わり』。昨年末に公開されたこの映画は'90のリブート版で、スティーヴン・キングシリーズの中で"最恐"と囁かれるほど。


特に冒頭と洗面台のシーンは観た人の脳裏から離れないのではないでしょうか。オープニング、少年ビルの弟が大雨の日に出掛けたまま、行方不明になってしまうという場面からストーリーは始まっていきます。2019年にはそれから27年後を描いた続編の公開も予定されているので、まだの方はぜひ観てみてください。背筋が凍ること間違いなしです。

ショーシャンクの空に(94) 僅かな希望を捨てずに自由を手にしたアンディ。


スティーヴン・キングシリーズと言えば、彼を語る上で欠かせないのが不朽の名作『ショーシャンクの空に』。妻とその愛人を殺した冤罪によって投獄された有能な銀行員アンディが、腐敗したショーシャンク刑務所での日々でも、微かな希望を捨てずに生き抜いていくヒューマン物語です。


約20年間の投獄生活中、アンディは密かに自分の房の壁に穴を掘り続け、遂には脱獄に成功するのです。このシーンは自ら自由を手にしたアンディが雨に打たれながら両手を広げ、天に向かって声を絞り出すように叫び、溢れんばかりの感情を表しています。降り注ぐ雨が、アンディへ天から贈られた20年分の讃美にも思えます。

雨に唄えば(52) 雨×タップダンスの絶妙なコラボレーション。


『雨に唄えば』は、メインキャストの3人がオープニングで雨の中を軽快に歩くシーンが観る者の心を一瞬にして掴んでしまうほど印象的なハリウッドを代表するミュージカル映画です。サイレント映画全盛期からトーキー映画へ移行する時代をコメディタッチで描かれています。


歌って踊る、心弾むミュージカルはどのシーンも一瞬足りとも見逃せないですが、その中でも印象に残っているのが、ジーン・ケリー演じる俳優ドンが土砂降りの雨の中、主題歌『Singin' in the Rain』を歌いながらタップダンスする姿です。タップに合わせて地面の雨水が跳ねる画が美しく、また土砂降りでも形振り構わず感情を全身で表現する姿が意気揚々としていて、雨すらも楽しんでいるように見えます。晴れではなく、雨でなければ成り立たない心に残る名シーンです。

言の葉の庭(13) 雨の日が待ち遠しくなる新海誠監督の隠れた名作。


アニメーション映画からは新海誠監督の『言の葉の庭』を。2016年の大ヒット作『君の名は。』が公開されるよりも3年前の作品で、この映画では雨が単に情景としてではなく、一演者としてその意味をなすほど重要なキーワードになっています。実際にストーリー全体の約8割が雨のシーンで構成されています。


靴職人を目指す高校生のタカオと、日中からビールを飲んでいる謎の女性ユキノは庭園で出会い、雨が降った日の午前中だけ会える、という不思議な交流が始まっていきます。


物語の中ではいくつか雨にまつわる万葉集の短歌が詠われるですが、ユキノが去り際に発する「鳴神の 少し響きて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」は彼女の本心がよく現れています。これに対するタカオの返歌はぜひ実際に観てみてください。

ティファニーで朝食を(61) ポールによって真実の愛を見つけたホリー。


『ティファニーで朝食を』とタイトルを聞くだけでその情景が浮かんでくる、言わずと知れたオードリー・ヘップバーンの代表作。


この映画の名シーンの一つといえば、オードリー演じるホリー・ゴライトリーが冒頭、ジバンシィ(GIVENCHY)のブラックドレスに身を包み、NY5番街のジュエリー店ティファニー(TIFFANY)のショーウインドウの前で朝食を食べるシーン。


もちろんこのシーンも好きなのですが、個人的にはクライマックスが見逃せません。自由奔放で華やかな生活に憧れるホリーは、同じアパルトマンの作家ポールに想いを寄せながらも、破談になった大富豪との結婚を諦めきれずブラジルへ行くため空港へと向かいます。そんなホリーに愛想を尽かしたポールは、指輪を渡してタクシーから降りてしまいます。タクシーに残されたホリーは目が覚めたように真実の愛に気づき、涙ながらに雨の中ポールを追うという場面です。


地位や名誉といった、自分の殻(理想)に閉じ込められたホリーに大切なことを気づかせてくれる意義深いシーンではないでしょうか。

シェルブールの雨傘(64) 雨傘店の娘の切ない恋物語。


個人的にもファンである名監督、ジャック・ドゥミの仏ミュージカル映画『シェルブールの雨傘』。


主演のカトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)の出世作ともなったこの映画は4部作による全編音楽で構成。「シェルブール雨傘店」を営む母とともに暮らしているカトリーヌ演じる17歳のジュヌヴィエーヴ。彼女は20歳の自動車整備工のギィと若いながらも結婚を誓い合った恋仲。


けれど、時代はアルジェリア戦争真っ只中のフランス。やがてギィには召集令状が届き、2人には2年間の別れが訪れます。戦争によって引き裂かれた切ない運命がつづられていくのですが、こちらはハッピーエンドで終わらないのがなんとも非情で儚い気持ちになります。


そんなストーリーにミシェル・ルグランによる音楽がより一層、情景を引き立てていて感情を揺さぶられます。「シェルブール雨傘店」に並ぶ色彩豊かな傘にも注目してみてください。

Anna Togashi

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