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フォーカスしてゆく心【自由が丘恋物語 〜winter version〜 第16話】

  • 2015.2.18
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慎吾の変化は周りの目から見ると驚くようなことだった。

まず毎日、家で筋トレをするようになった。時間があれば腕立て伏せや腹筋をする。コミックカフェのバイトは前にましてまじめに取り組み、評判のいいスタッフになった。後輩バイトの面倒見もいい、気合いが入った接客をするので客にも褒められる。

店長から「このままがんばれば正社員いけるぞ」と言葉をかけられた。鮎子も両親も「桃香のおかげだあ。桃香は慎吾の女神さまだね。付き合っちゃえばいいのに」と食卓で話題にした。

試合が近い金曜の夜、桃香は会社を早めに出て練習を見学に行った。スマホでフットサル部の連中の写真を撮っていた。なぜだか自然に慎吾にフォーカスしてしまう。慎吾がいきいき動いているのを遠目で見る。

片付けや水の補給など雑務も嬉しそうにこなす。ボールに触る時は選手の顔になる。走っていると脚の不自由さはそれほどわからない。想像以上に速く走っている。なんだ、心配することないじゃないと桃香の胸につかえていたものがすーっと降りてゆく。

冬馬がベンチに座っている桃香に話しかけてきた。

「桃香も、マネージャーなればいいじゃん。練習にこんだけ付き合ってくれるんだから、仕事もしてくれよ。スコアつけたりとかさ」

「え? 無理無理。慎ちゃんのおねえさんの鮎子に頼まれたから、たまに慎ちゃんの様子見に来てるだけ。慎ちゃんが慣れたらもう来ないから。私、もっと、歌のレッスン時間欲しいからさ。」

冬馬はいきなりマジ顔になってつぶやいた。

「桃香さ、慎吾のこと、好きなのか?」

(続く)

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(二松まゆみ)