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ここが変だよゲティおじいちゃん!家族よりも金を優先する大富豪の人生哲学

  • 2018.5.23
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出典:https://news.walkerplus.com/article/147572/

1973年。世界一の大富豪ジャン・ポール・ゲティの孫が誘拐された。犯人側の要求は、1700万ドル(当時の日本円にして約50億円)。その身代金の莫大さに世間は驚いたが、もっと衝撃を受けたのは祖父であるゲティが即座に支払いを拒否したこと。金は腐るほど持っているだろうに…。

映画『ゲティ家の身代金』(5月25日公開)は、犯罪史上最もスキャンダラスと称されたこの誘拐事件を、御年80歳の巨匠リドリー・スコット監督が映像化した渾身作。もちろん、見どころはスリリングに描かれた誘拐事件の顛末だが、同時に浮き彫りにされる“世界一の金持ち”のユニークすぎる人生哲学にも興味は尽きない。そこで、その驚きのエピソードをいくつかご紹介しよう。

■ 身代金を支払わなかったその理由とは?

物語の核となる“身代金支払い拒否”は、もちろん事実。大富豪ゲティ曰く「ここで身代金を支払えば、ほかの14人の孫にも誘拐の危険がおよぶ」という、視点を変えればもっとも(!?)な理由で拒否し続けた。

が、とうとう4か月後に犯人側から孫の片耳(!)が送られてきたことから渋々交渉に応じ、値切りに値切って約320万ドルを支払うことに。とはいえ彼自身が支払ったのは所得控除が受けられる220万ドルのみ。残りは息子=人質の父親に4%の利子で貸し付けた。この期におよんで節税対策をする彼に“守銭奴”“金の亡者”の評判が立つのも当然だろう。ちなみに、この4か月の交渉期間中には、こよなく愛する美術品を高額で購入しているのだから…呆れたものだ。

■ 自宅に公衆電話!?節約の限度を超えたドケチ・エピソード

しかし、ゲティには独自の哲学がある。石油会社を設立して財を成した父親から「金は働いて稼ぐもの。特権を利用せずに、理性と合理性を持って世間と戦え」と叩き込まれ、類い希な経営センスと徹底した節約習慣を身に付けていたのだ。言わば、世間で言うところの“ケチ”は、彼にとっては“節約”にほかならない。

例えば、イギリスにある彼の大邸宅には、公衆電話ボックスを設置。来客が外部にかける電話代を客自身に払わせるためだ。また、高級ホテルに宿泊してもルームサービスを頼まないばかりか、洗濯物もバスルームで洗い自分でアイロンがけをしていた。その“節約”は家族にも例外はない。本作で描かれた身代金拒否のほかにも、5番目の妻によれば脳腫瘍を患った幼い息子の治療費もケチってイギリスの屋敷から追い出し、葬儀にさえ列席しなかったというエピソードがあるくらいだ。

■ 人を愛することができない、ゲティの悲しい人生

そう、ゲティは5度の結婚で生まれた5人の息子たちを甘やかさず、自分と同じように「働いて金を稼ぐ」ことを期待した。しかし、家庭よりビジネスを優先した父親の教えは息子たちに届くことなく、彼らは早世、自殺、酒とドラッグに溺れるといった不幸に見舞われた。そんな家族への不満もあってか、ゲティは1976年にガンで亡くなるまで21回も遺言を書き直し、艶福家としても名を馳せた彼らしく遺言書には12人の女性の名前が記載されていたという。しかも、その莫大な財産の大半はゲティ美術館へ相続と明記されていたのだから遺族たちからの不満は続出。

ということで、最期まで人を愛せない悲しい人生だったのかもしれないと思えば、本作で描かれるゲティの奇行の数々も趣が違って見えるはず。ちなみに、誘拐事件で人質になったジョン・ポール・ゲティ3世の息子で俳優のバルサザール・ゲティは、家族の不幸の歴史を痛感したのか、「僕にとっては、お金は幸せを呼ばない」とあるインタビューで語っている。(Movie Walker・文/金子裕子)