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「子ども食堂ってどんなところ?」政府発表のアンケートから見えてくるのは…

  • 2018.5.11
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ⓒmilatas-stock.adobe.com

全国各地に着々と増えつつある「子ども食堂」。その総数はなんと現在2,200以上という調査結果があります(「こども食堂安心・安全向上委員会」の調査による)。この数年で爆発的に増えているといっても過言ではない普及ぶり。

しかし、まだ一度も行ったこともない、その場を見たこともないというママも多いはず。そもそも「子ども食堂」とはどんなところなのでしょうか?

■今や6人に1人…貧困対策として始まった「子ども食堂」

子どもの相対的貧困率が16%を超えている(内閣府「子どもの貧困」)、つまり子どもの6人に1人が“見えない貧困”に陥っているという今、満足に食事をとれない子のために、無料または1食100~300円ほどで夕食を提供しているボランティアワーク。料理を作る人や食材を提供する協力者がいて、社会貢献のために活動している。それが「子ども食堂」の基本的なスタイルです。

具体的な運営形態について、農林水産省が3月にまとめた運営者へのアンケート(農林水産省「子供食堂と地域が連携して進める食育活動事例集~地域との連携で食育の環が広がっています~」)を参考にしました。

まず、開催会場は公民館、児童館などの公共施設が最も多く39%、ほかにはお寺や教会、飲食店などが多いようです。

そして、開催頻度は「月1回」が最も多く48.5%。続いて「2週間に1回」が24.5%を占めています。「週1~2回」は10.3%、「ほぼ毎日」はわずか3.3%に過ぎません。“食堂”というと、毎日オープンしているというイメージを抱きがちですが、実際は月1~2回ほどの開催がほとんどという現状です。食堂というよりはイベントのような感覚で参加する子も多いのかもしれません。

「子ども食堂」を運営する人たちの根底には、生活困窮家庭の子どもを支えるセーフティーネットになりたいという思いがありますが、ほかにもいろいろな目的があるようです。

農林水産省のアンケートによると、「子ども食堂」の活動目的として最も強く意識されているのは「多様な子どもたちの地域での居場所づくり」(78.8%)。たとえば低所得世帯ではなくても、親が仕事などで不在がちで夕食をひとりで食べなければいけない「孤食」の子や、親の虐待やネグレクトがあって家庭ではごはんを食べられない子など、さまざまな事情が考えられます。

また、「子どもたちにマナーや食文化、食事や栄養の大切さを伝えること」という「食育」や、「高齢者や障害者を含む多様の地域な人との共食の場の提供」という「共食」についても、約3分の1の運営者が「とても意識している」と回答しています。

■半数が母子で利用「ママもごはんをゆっくり食べられる」が魅力

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そして、1回の参加者数を見てみると、平均値は子ども23.7人、大人14.9人。つまり、「子ども食堂」を訪れる子どもの半数以上が、親といっしょに来ていることがうかがえます。

「うちは生活困窮家庭じゃないから」と遠慮することはなく、ママも気軽に利用していいのです。ママがワンオペ育児の重労働や子どもの反抗期に疲れた時や、ごはんを作りたくない、誰か家族ではない人と話したいと思ったら、子どもを連れて行ってみるのもいいでしょう。そこで“ママ友”ができることもありうるのです。

農林水産省のアンケート結果では、実際にそうした保護者の実例も紹介しています。

仙台市の子ども食堂のコメント
「初対面の参加者同士でもスムーズに、楽しそうに話されています。70代のボランティアメンバーにたびたび相談に訪れる母親もいます。小さい子どもを抱っこしながらの食事は“両手を使って食べる”ということがなかなかできません。子ども食堂では、ボランティアが子どもと遊んだり見守ったりするので、親も安心してゆっくりと食事ができ、リフレッシュされているようです」

千葉県の子ども食堂のコメント
「引っ越してきて、周囲に知り合いがいない母親は、ボランティアが子どもの世話をしている間にゆっくりごはんを食べられ、悩みごとを気軽に相談できる」

新潟県の子ども食堂のコメント
「子どもが家族以外の大人とコミュニケーションをとる機会になる。親がゆっくり食事をとれるなど、親にとって息抜きの場にもなっています。食べ終わった後には子どもたちはトランプで遊び、親同士はおしゃべりして情報交換する様子も見られます」

こうした実際の声を聞くと、行ってみようかな? という気になりますよね。自宅の近くにあるか分からない場合は、地域名と「子ども食堂」というワードを組み合わせてネット検索してみるといいかもしれません。また、「こども食堂ネットワーク」のWEBサイトには、全国の子ども食堂の一部が掲載されています。

大人が利用する場合の多くは有償ですが、子どもが無料で食べさせてもらうのは気が引けるという人は、食材を持参して寄付するのはいかがでしょうか? ほとんどの食堂が寄付を歓迎しています(事前に確認するほうがベター)。

共助の精神を忘れず気軽に参加して、困った時はちょっと甘えてみる。そんな母子にとって居心地の良い場所が、ますます増えてくれるといいですね。

・「こども食堂安心・安全向上委員会」
・内閣府「子どもの貧困」
・農林水産省「子供食堂と地域が連携して進める食育活動事例集~地域との連携で食育の環が広がっています~」
・「こども食堂ネットワーク」
(小田慶子)

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