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思い出のキス#11 「見慣れているはずの寝顔に」

  • 2018.5.9
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誰にだってある。思い出すと、ほのぼのしたり、なんだか恥ずかしくなったり、切なくなったり、涙がこぼれそうになったり。そういう特別な感情が生まれるキスのエピソードを、みなさまにお届けしていきます。

 

どうしてかはわからない。
ある朝わたしは、隣でまだ寝ている彼の顔を見て、不思議と心がきゅうっとした。

はじめて一緒に朝を迎えたわけではない。もちろん寝顔だって見慣れている。10歳も上の彼だし、「大人だなあ」「かっこいいなあ」なんてきゅんとする場面はよくあった。だけど、きゅうっとしたのはその時がはじめてだった。

なんだかいてもたってもいられなくなって、隣に彼がいることをちゃんと触れて確かめたいと思った。

だから、軽く唇にキスをした。

 

起きる気配はない。ただすこし体勢を変えただけ。その様子を見てまたきゅうっとした。当時20歳だったわたしは、その心の痛みをなんて言葉で表せばいいのかわからなかった。

 

でも、3年経った今ならわかる。しあわせなのはずなのに寂しさが込み上げてくる感じきっと、「愛おしい」という想いだったんだろう。

 

あの朝、わたしは彼をはじめて愛おしいと想い、そして、愛おしさがあふれてキスをした。

 

協力:M.A(23歳、編集アシスタント)