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身体ナビゲーションVol.36 「様々なホルモンの種類と働き」

  • 2015.1.30
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ご相談ありがとうございます。健康管理士のSAYURIです。

前回までは甲状腺や副腎から分泌されるホルモンとその異常から起こる病気についてご紹介してきましたが、今回からはもっと身近な生活に関係するさまざまなホルモンの働きについてご紹介したいと思います。

●ホルモンの種類

ホルモンというと男性ホルモンや女性ホルモンを思い浮かべる人も多いかと思います。しかしホルモンには多くの種類があり、その化学構造から大きく3つの種類に分けられます。

●(1)ステロイドホルモン

ステロイドホルモンは肝臓などで作られたコレステロールを原料としているホルモンです。

ステロイドホルモンには副腎皮質から分泌され、体が受けたストレスに対し放出される“コルチゾール”や、体液中の塩分の調整や血圧を調節する“アルドステロン”、精巣から分泌される男性ホルモンや卵巣から分泌される女性ホルモンなどの“性ホルモン”があります。

●(2)ペプチドホルモン

ペプチドホルモンはタンパク質のもととなるアミノ酸が多数つながった構造で形成されるホルモンです。視床下部、下垂体、すい臓、消化管から分泌されるホルモンの大部分はペプチドホルモンです。

脳を覚醒し活動させる働きがある“甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン”や、体の成長を調節している“成長ホルモン”、血糖値を下げる“インスリン”など、さまざまなものがあります。

●(3)アミン型ホルモン

アミン型ホルモンはアミンという化学基を持った構造のホルモンです。快感ややる気の源である“ドーパミン”や、昼夜の生体リズムを調整する“メラトニン”、エネルギー代謝を調節する“甲状腺ホルモン”がこれにあたります。

さまざまなところからホルモンは分泌されています。

副腎や甲状腺から分泌されるホルモンについては先週までにいろいろお話しましたが、他にも一般的によく耳にする、すい臓や精巣、卵巣、脳からだけでなく、胸腺や胃、小腸や脂肪細胞からまでホルモンは分泌されているのです。

●ホルモン分泌におけるフィードバック

ホルモンが体のさまざまな機能を適切に調節するためには、環境の変化に対応して、その分泌量を変化させる必要があります。このホルモン分泌にとって必要なのが『フィードバック』という機能です。これには『ポジティブフィードバック』と『ネガティブフィードバック』の2種類があります。

●(a)ポジティブフィードバック

ポジティブフィードバックは、あるホルモンが増えるとそれが刺激となって、他のホルモンが分泌される仕組みのことをいいます。

例えば、視床下部から分泌される甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンが増えると、下垂体の前葉から分泌される甲状腺刺激ホルモンが分泌され、最終的に喉にある甲状腺から甲状腺ホルモンの“サイロキシン”や“トリヨードサイロニン”が分泌されます。

●(b)ネガティブフィードバック

ネガティブフィードバックは、ホルモンの量が過剰にならないよう分泌を抑制する仕組みのことをいいます。例えば、副腎皮質からコルチゾールが分泌され、血中濃度が上昇するとコルチゾール自身が下垂体の前葉を刺激し、副腎皮質刺激ホルモンの分泌を抑制します。

この結果、副腎皮質を刺激していた副腎皮質刺激ホルモンの量が減り、コルチゾールの分泌も少なくなります。

また、血液中のホルモン以外にもネガティブフィードバックが働くことがあります。例えば血糖値が高くなると、それが刺激となりすい臓から分泌される血統を処理するインスリンの分泌が増え、血糖値を上昇させるグルカゴンの分泌が減ります。

そして血糖値が低くなるとインスリンの分泌量が減り、グルカゴンの分泌量が上昇していきます。

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こうして見るとごくごくわずかな量のホルモンですが、とても複雑な働きをしているのが分かりますね。

【参考文献】

・総務省認証予防医学学術刊行物『ほすぴ』成人病予防対策研究会発行

(ライタープロフィール)

SAYURI(心理食育インストラクター)/長年の医療機器メーカー勤務の経験から健康管理士、食育インストラクター、心理カウンセラーの資格を取得し、健康管理士事務所『優縁』を設立。現在、食で愛を育む食愛ナビゲーターとして、食育の講演や執筆活動を中心に、NPO法人『予防医療推進協会』理事長として、成人向けの生活習慣改善のさまざまな提案を発信中。

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